海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン6第8話は、サンクスギビングの夕食をフィルが担当する回です。その陰で、クレアは夫に内緒でもう1羽の七面鳥を用意していました。
「念のため」の備えを口にするときは、相手を信じていないように聞こえないよう、言葉を選びたいところです。英語でも、理由の添え方ひとつで印象が変わります。予備を用意する側の言い方と、予備がないままその場をしのぐ側の言い方を、場面の順に見ていきます。
「in case」で伝える、もしものための予備
ガレージに置いた古いベビーベッドで七面鳥を保温していたクレアは、アレックスにそのわけを打ち明けます。
Claire: It is a backup turkey.
(予備の七面鳥よ。)Claire: I bought it in case your father’s doesn’t work out, which I hope it does.
(お父さんのがうまくいかなかったときのために買ったの。うまくいってほしいけどね。)Claire: But if it doesn’t, this could save him a lot of embarrassment.
(でも、もしだめだったら、これでお父さんに大恥をかかせずに済むでしょ。)Claire: Please don’t tell him.
(お父さんには言わないで。)Claire: He would die if he thought I didn’t trust him.
(私に信用されてないなんて思ったら、お父さん死んじゃうから。)Modern Family Season6 Episode8 (Three Turkeys)
backup は名詞の前に置くと「予備の〜」という意味になり、a backup plan(代わりの計画)や a backup battery(予備の電池)のように幅広く使える語です。
in case ~ は「〜の場合に備えて」と、備える理由を示すつなぎの表現です。ここでは doesn’t work out(うまくいかない)と組み合わせ、失敗した場合を想定していることを伝えています。直後の which I hope it does は「うまくいってほしいけど」と本心を添える一言で、相手を疑っているわけではないという気持ちを補う働きをしています。
続く But if it doesn’t で失敗した場合の話に戻り、save him a lot of embarrassment(恥をかかずに済ませる)で、予備は夫の面目を守るためのものだと説明します。日本語の「念のため」に近い感覚で、自分の段取りを説明するときにもそのまま使えます。最後に Please don’t tell him. と口止めし、理由を大げさな仮定で付け加えるところまでが、内緒の備えを打ち明けるときの一続きの流れと読み取れます。
「backstop」の役回りと、「Have a little faith.」の行き先
別の場面でも、クレアはガレージでアレックスにこうこぼします。
Claire: I don’t love being the person who hides in her garage with her secret crib turkey, but it’s not always fun being the backstop.
(ガレージに隠れて、ベビーベッドの秘密の七面鳥を抱えてる人なんて、好きでやってるわけじゃないの。でも、最後の守り役っていうのも楽じゃないのよ。)Alex: You’re telling me.
(それ、すごく分かる。)Alex: Until you get home from work every day, my main job is keeping Luke alive.
(ママが毎日仕事から帰ってくるまで、私のいちばんの仕事はルークを生かしておくことなんだから。)Modern Family Season6 Episode8 (Three Turkeys)
backstop は、野球で捕手の後ろにある防球ネットなどを指す語で、そこから「最後に受け止める役」「いざというときの支え」の意味でも使われます。誰かが失敗しても困らないよう後ろで構える役回りを、クレアはこの一語で言い表しています。アレックスの You’re telling me. は「それは私がいちばんよく分かってる」という強い同意の返しで、相手の苦労話に自分の苦労を重ねるときに使われます。
夕食の場所がジェイの家に移ったあと、アレックスはクレアに予備の七面鳥のことを尋ねます。
Alex: So, how long until you sneak home – and get the backup turkey?
(で、いつこっそり家に戻って、予備の七面鳥を取ってくるの?)Claire: Have a little faith.
(少しは信じなさい。)Alex: You’re really trusting dad to do this?
(本当にパパを信じて任せるの?)Claire: In me.
(私を、よ。)Claire: It’s in Lily’s backpack in the trunk of the car.
(リリーのリュックに入れて、車のトランクに積んであるの。)Modern Family Season6 Episode8 (Three Turkeys)
Have a little faith. は「少しは信じて」と相手をなだめるときによく使われる一言です。アレックスはフィルを信じるという意味に受け取って聞き返しますが、クレアは In me. と付け足し、信じてほしいのは自分の準備のほうだと言い直します。予備はすでに手元まで運んであるという答えで、言葉の向きがくるりと変わるのが面白いところです。
予備がないときの「Fill it in with ~」
一方、フィルは、目の前の七面鳥が思いのほか小さいことに慌てます。
Phil: Cranking up the heat must have dried it up and shrunk it! It’s tiny!
(火を強くしたせいで、乾いて縮んじゃったんだ! ちっちゃい!)Phil: How am I supposed to feed eleven people with this pigeon!?
(こんなハトみたいなので、11人にどうやって食べさせろっていうんだ!?)Modern Family Season6 Episode8 (Three Turkeys)
must have + 過去分詞 は「〜したに違いない」と、過去の原因を推し量る形です。How am I supposed to ~? は「どうやって〜しろというのか」と、無理な状況への嘆きを表します。be supposed to の「〜することになっている」という意味が、疑問文では「そんなの無理だ」という気持ちを帯びるのが特徴です。
フィルは手元にあるもので、その場を何とかしようとします。
Phil: We need a smaller platter or something that makes this look normal-sized!
(もっと小さい大皿か、これが普通の大きさに見えるような何かが要る!)Luke: How do you feel about a coaster?
(コースターはどう?)Phil: Fill it in with this sandwich turkey.
(このサンドイッチ用のターキーで隙間を埋めよう。)Phil: It’s past its sell-by date, but I always think that’s more of a suggestion, anyway.
(販売期限は過ぎてるけど、あれは目安みたいなもんだって俺はいつも思ってるし。)Modern Family Season6 Episode8 (Three Turkeys)
We need ~ or something that ~ は「〜か、何か〜するもの」と、代わりになりそうな物を幅広く求める言い方です。fill ~ in with … は「…で〜を埋める」で、足りない部分を別の物で補うときに使えます。more of a suggestion は「決まりというより提案に近い」という意味で、ここではフィルが販売期限を軽く見る冗談として使われています。前もって備えておくクレアと、その場で穴を埋めようとするフィルの対比が、この回の見どころの一つと言えます。
まとめ|もしもの備えを伝える言い方
backup、in case ~ doesn’t work out、backstop、Have a little faith. と、備える側の言葉には相手への気づかいがにじみます。予備がないときの Fill it in with ~ もあわせて覚えておくと、計画どおりに進まない場面でも言葉に困りにくくなります。
これからも『モダンファミリー』の家族の騒動を観ながら、場面に合った英語を見つけていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは子どもとのやりとりやサンクスギビングの食卓を、フレーズ記事では一つひとつの言い回しを取り上げています。


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