海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン10 第20話から、「It’s like there’s no right choice」という一言を取り上げます。産休が終わりに近づき、職場に戻ることをめぐって揺れるバーナデットが、ハワードに迷いを打ち明ける場面で出てくる台詞です。
どちらを選んでも何かを手放す。そんな迷いを英語でどう言葉にし、聞き手はどう受け止めているのか。二つの場面から順に見ていきます。
「I’ll miss ~, but ~」で相反する気持ちを並べる
最初の舞台はハワードとバーナデットの家の台所です。オフィスのメールに目を通しているバーナデットに、スチュアートが声をかけます。
Stuart: Oh, that’s right, maternity leave’s almost over. Ah, you excited?
(ああ、そうか、産休ももうすぐ終わりだね。楽しみ?)Bernadette: Yeah, I mean, I’ll miss Halley, but it’ll be nice to get out of the house, be intellectually stimulated.
(ええ、まあね。ハレーと離れるのは寂しいけど、家から出て、頭を刺激されるのはいいことだわ。)TBBT Season10 Episode20
I’ll miss ~, but it’ll be nice to ~ は、「〜が恋しくなるけれど、〜できるのはうれしい」と、寂しさと期待を but で一文に並べる形です。どちらか一方だけを言うより、気持ちが揺れていることがそのまま伝わります。maternity leave’s almost over は「産休がもうすぐ終わる」です。
バーナデットはこのあと、スチュアートと両親がいるからハレーは大丈夫だと言い、託児所もいいところだと続けます。さらに、女性が母親でありながら仕事にも満足できることを娘に示す良い手本になる、とも話します。話すうちにスチュアートが「今どうしたらいいか分からない」と戸惑う一幕があり、バーナデットはこう言います。
Bernadette: It’s okay, I’m just being emotional about this.
(いいの、このことでちょっと感情的になってるだけ。)TBBT Season10 Episode20
I’m being emotional は be 動詞を進行形にした形で、「性格としてではなく、今だけ感情的になっている」という一時的な状態を表します。just を添えると「ちょっと〜なだけ」と、相手を安心させる響きが加わります。
「It’s like there’s no right choice」で迷いをまとめる
別の場面で、同じ台所が舞台になります。何かがバーナデットを悩ませていると感じていたハワードに、バーナデットが本当の気持ちを打ち明けます。
Bernadette: No. I didn’t want to tell you, but I’m having a really tough time about going back to work.
(違うの。言いたくなかったんだけど、仕事に戻ることが本当につらいの。)Howard: Oh. Okay, well, I get that. It was hard for me when I went back.
(ああ。そうか、分かるよ。俺も戻ったときはきつかった。)TBBT Season10 Episode20
I’m having a really tough time about ~ は「〜のことで本当に苦しんでいる」と、悩みの対象を名指しする言い方です。ハワードは I get that で受け止め、自分も戻ったときはつらかったと経験を重ねています。
やり取りが少し続いたあと、バーナデットは迷いの中身を言葉にします。
Bernadette: I just don’t know what the right thing to do is. If I go back to work, I’m abandoning Halley. If I don’t go, I’m giving up everything I worked for. It’s like there’s no right choice.
(何が正しいのか分からないの。仕事に戻ればハレーを置いていくことになるし、戻らなければ頑張って手に入れたものを全部手放すことになる。どっちを選んでも正解がないみたい。)Howard: Look, I don’t know what the best decision is, either. But whatever we choose, if we’re not happy, we can undo it.
(なあ、何が一番いいかは俺にも分からない。でも、どっちを選んだって、しっくりこなければ元に戻せばいい。)Bernadette: I guess.
(そうかもね。)TBBT Season10 Episode20
If I go ~, I’m ~. If I don’t go, I’m ~. は、肯定と否定の if 節を並べて、どちらの道にも代償があることを示す対句です。そのうえで It’s like there’s no right choice と、「正解の選択肢がないみたい」と迷いをひとことにまとめています。It’s like ~ は「〜のような気がする」と、断定せずに感覚を伝える前置きです。
受け止める側のハワードは、~, either で「自分にも分からない」と答えを押しつけず、whatever we choose と主語を we にして二人で決める形にしています。undo は「元に戻す」です。バーナデットの I guess は「そうかもね」という半分の同意で、この場面では結論は出ていません。
まとめ|迷いは対句で言葉にする
今回は、相反する気持ちを並べるI’ll miss ~, but ~、悩みを名指しするI’m having a tough time about ~、二つの道を並べる対句とIt’s like there’s no right choice、受け止めるI get thatやwhatever we chooseを見てきました。
答えの出ない迷いを、言葉にして分け合う夫婦の会話として味わえる場面です。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、登場人物たちの本音がのぞく英語を扱っています。


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