海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
苦手な食べ物をすすめられて、「嫌い」とは言いづらくて、なんとか角の立たない断り方を探した——そんな経験はありませんか。
そんなときに役立つ「be a fan of」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第20話の中盤、居候のスチュアートが夕食を作った理由を説明しながら、バーナデットの料理が苦手だと遠回しに打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「be a fan of」の意味とニュアンス
be a fan of
意味:〜が好きだ、〜を気に入っている
fan はもともと「熱狂的な応援者・ファン」を指す言葉ですが、be a fan of の形になると、有名人だけでなく食べ物・習慣・考え方など、幅広い対象への「好き」を表せるようになります。
このフレーズで特に覚えておきたいのが、否定形の使い方です。not a big fan of や not the biggest fan of の形にすると、「あまり好きではない」という意味を、角を立てずに伝えられます。「嫌い」とストレートに言う代わりに「そんなに大ファンというわけではない」と表現することで、やわらかく好みを示せるわけです。好きなものを語るときも、苦手なものをやんわり伝えるときも、どちらにも使える便利な一言です。
【ここがポイント!】
- 核は「うちわを振るファン」のイメージ、対象は有名人から食べ物まで幅広い
- not a big fan of にすると「あまり好きじゃない」をやわらかく言える
- 熱量を big / not a big で調整して、好みの濃淡を伝えるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S10E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
朝にバーナデットを動揺させたお詫びにと、居候のスチュアートが夕食を作ります。感謝するバーナデットに、スチュアートがつい本音を漏らしてしまうところに、このフレーズが登場します。
Bernadette: Stuart, you didn’t have to make dinner.
(スチュアート、夕食まで作らなくてよかったのに)Stuart: Yeah, well, I felt bad about upsetting you this morning. And to be honest, I’m not the biggest fan of your meatloaf.
(うん、今朝は怒らせちゃって悪かったし。それに正直に言うと、君のミートローフはそんなに好みじゃないんだ)The Big Bang Theory Season10 Episode20(The Recollection Reduction)
シーン解説と心理考察
スチュアートの「I’m not the biggest fan of your meatloaf」という一言には、気弱で正直すぎる彼の性格がそのまま表れています。「まずい」と直接言うのではなく、「いちばんのファンというわけではない」と最大級をぼかすことで、なんとか角を立てずに本音を伝えようとしているわけです。
ところが、お詫びに料理を作っておきながら、つい相手の料理への不満まで口にしてしまうあたりに、スチュアートらしい間の悪さがにじみます。せっかくの気遣いに余計な一言が乗ってしまう——この絶妙なバランスの崩れが、笑いとして響きます。直後にハワードが何も知らずにそのミートローフを食べようとする展開も、場のおかしさを引き立てています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
fan という単語から、スタジアムで応援うちわを振るファンの姿を思い浮かべてみてください。be a fan of は、その「うちわを振る対象」を、有名人から「ミートローフ」のような身近なものまで広げた表現です。
ポイントは、スチュアートが使った not the biggest fan of の形です。これは「いちばん熱心なファンというわけではない」、つまり「うちわをそんなに激しくは振らないファン」のイメージ。応援の熱量を少し下げることで、遠回しに「あまり好きじゃない」を伝えているわけです。うちわを控えめに振る姿を思い描けば、この婉曲な否定が記憶に残ります。
例文で覚える「be a fan of」
好きなものを語るときも、苦手なものをやんわり伝えるときも使える便利なフレーズです。3つの場面で見ていきましょう。
She’s a huge fan of Italian food.
(彼女はイタリア料理が大好きなんだ)
友人の好物を誰かに紹介する場面です。huge や big を付けると「大好き」と度合いを強められ、肯定の使い方の基本形になります。
To be honest, I’m not a fan of this new policy.
(正直に言うと、この新しい方針には賛成しかねます)
会議で反対の立場を穏やかに示す場面です。「反対だ」と言い切る代わりに使うことで、意見表明をやわらげられます。
A: Do you want to watch a horror movie tonight?
B: Honestly, I’m not a big fan of horror. Can we pick something else?
(A:今夜ホラー映画でも観る?)
(B:正直、ホラーはあまり得意じゃなくて。別のにできる?)
映画の誘いをやんわり断る場面です。not a big fan of で苦手を伝えれば、相手を否定せずに自分の好みだけを示せます。
あわせて覚えたい関連表現
be into
(〜に夢中だ、ハマっている)
be into は積極的にのめり込んでいる熱量の強さが特徴です。be a fan of は「好き」の度合いを fan of の前の語(big / not a big)で調整しやすい点が違います。
be keen on
(〜に乗り気だ、〜が好きだ)
主にイギリス英語で好まれる表現です。be a fan of の方がアメリカ口語で広く使われ、対象も幅広いという違いがあります。
care for
(〜を好む、主に否定文で)
I don’t care for 〜 で「〜は好みではない」と上品に否定する表現です。not a fan of よりフォーマルで、丁寧な場面に向いている点が使い分けのポイントです。
Note|”not a big fan of” で角を立てずに断る、英語の作法
スチュアートが使った not the biggest fan of という言い方には、英語ならではの「やわらかい否定」の作法が詰まっています。
英語圏では、苦手なものを I hate it.(嫌いだ)とストレートに言うのは、かなり強い表現として受け取られます。そこで、好みに合わないものを伝えたいとき、ネイティブは not a big fan of や not really into といった、熱量を下げる言い方でやわらげるのが一般的です。「嫌い」と切り捨てるのではなく、「そこまで好きではない」と度合いの問題に置き換えることで、相手や対象を全否定せずに済むわけです。スチュアートが「君のミートローフは好みじゃない」とそのまま言わず、「いちばんのファンではない」と最大級をぼかしたのも、まさにこの作法に沿っています。料理を作ってくれた相手への配慮と、正直さの板挟みのなかで、彼なりに角を立てない言い方を選んだ結果と言えます。
このやわらげの感覚を知っておくと、be a fan of は単なる「好き」の表現を超えて、相手との距離を保ちながら本音を伝えるためのクッションとして使えるようになります。
好き嫌いを、白黒ではなく濃淡で語る。そこに英語の人づきあいの知恵が見えてきます。
まとめ|「大ファンではない」が持つ、やわらかさ
be a fan of は、有名人から食べ物・習慣まで、幅広い対象への「好き」を表せるフレーズです。そして not a big fan of の形にすれば、「あまり好きじゃない」をやわらかく伝えられる、二つの顔を持っています。
このフレーズが使えると、好みを語る場面の表現がぐっと豊かになります。「大好き」を熱量たっぷりに伝えることも、「ちょっと苦手」を角を立てずに示すことも、同じ型の中で自在に調整できる、懐の広い表現と言えます。
スチュアートのように、正直さと気遣いのあいだで言葉を選びたいとき。be a fan of を、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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