海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン8 第23話、アパートの部屋でシェルドンの母メアリーが幼い頃のシェルドンの逸話を語る場面に登場する言い回しです。過去の突飛な行動を振り返って紹介する言い方から、a handfulという同じ形容表現が話者を変えて繰り返される様子まで扱います。
一つの逸話が複数の人の口を通ってどんな形に変わっていくのか、そのやり取りの流れに注目してみましょう。
過去の突飛な行動を振り返って紹介する言い方
シェルドンの才能にいつ気づいたかと尋ねられたメアリーは、こう語り始めます。
Mrs Cooper: Well, I would have to say when he was 13 and tried to build a nuclear reactor in the tool shed.
(そうねえ、あの子が13歳のとき、道具小屋で原子炉を作ろうとしたときだと言うしかないわね。)TBBT Season8 Episode23
I would have to say ___ は「〜だと言うしかない」と、質問への答えを一呼吸置いてから差し出す言い方です。when he was 13 and tried to ___のように時期と行動をセットで振り返る型は、思い出話を切り出すときの定番の組み立てとして使えます。
続けてメアリーは、シェルドンの行動の動機をこう説明します。
Mrs Cooper: Now, the first thing you have to know about Shelly is ever since he was a little boy, he was always concerned with the well-being of others. And he didn’t think that it was fair for people to pay for electricity, so he was gonna power the entire town for free.
(まず知っておいてほしいのは、あの子は小さい頃からずっと他人の幸せを気にかけていたということ。電気代を払うのは不公平だと思って、街全体に無料で電力を供給しようとしたのよ。)TBBT Season8 Episode23
the first thing you have to know about X is ___ は、相手にまず押さえておいてほしい前提を差し出す言い方です。he didn’t think that it was fair for , so he was gonna という組み立ては、「不公平だと思ったから、こうしようとした」と行動の動機を筋道立てて説明する形として機能しています。
“a handful” という同じ形容表現を話者を変えて繰り返す言い方
原子炉建設の顛末を聞いたレナードの母ビバリーが感想を口にすると、メアリー、そしてシェルドン本人までもが、同じ言葉を手渡すように繰り返していきます。
Dr Hofstadter: Sounds like Sheldon was a handful.
(どうやらシェルドンは、手のかかる子供だったようですね。)Mrs Cooper: Oh, he was a handful.
(ええ、本当に手のかかる子だったわ。)Sheldon: I was a handful.
(僕は手のかかる子供だった。)TBBT Season8 Episode23
a handfulは「手のかかる人」「持て余す存在」を表す言い方で、子供やペットなど世話の焼ける対象について使われます。ビバリーの感想をメアリーがOh, he was a handful.と受け止め、当のシェルドン本人までがI was a handful.と同じ形容をそのまま自分に当てはめる様子が、この場面のテンポを作っています。
一つの表現が話者を変えながら手渡されていく流れが見どころです。
期待された自慢話が身も蓋もないオチで返される言い方
この流れに乗って、レナードは自分の逸話も披露してもらおうとビバリーに水を向けます。
Leonard: You still are. Uh, Mom, hey, tell Mary the story about how I made a Van der Graaf generator out of our vacuum cleaner.
(今でも手のかかるやつだよ。あ、母さん、僕が掃除機からバンデグラフ起電機を作った話、メアリーにしてあげてよ。)Dr Hofstadter: All right. He broke the vacuum cleaner.
(いいでしょう。あの子は掃除機を壊したんですよ。)TBBT Season8 Episode23
tell X the story about how ___は「〜した話をXに話して」と、自慢したい逸話の披露を人に頼む表現です。レナードが期待を込めてこの表現を使ったのに対し、ビバリーの返答はHe broke the vacuum cleaner.の一文で片づけられ、期待されたはずの自慢話が身も蓋もないオチに変わっています。
同じ「昔のエピソードを語る」場面でも、語り手の切り取り方ひとつで印象がまったく変わってくる様子が伝わってきます。
まとめ|過去のエピソードを語る言い方の幅
I would have to say という思い出話の切り出し方から、a handfulという形容が話者を変えて手渡されていく様子、tell X the story about how という自慢話の頼み方まで、一つの逸話が語られる過程には複数の言い回しが重なっています。誰かの過去を振り返って伝えるときの表現の引き出しとして、頭の片隅に置いておくと会話の幅が広がります。
次回も『ビッグバン★セオリー』と一緒に英語表現を見ていきましょう。
同じエピソードの他のコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。


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