海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
医者も農夫も店員も学生も——立場も職業もまるで違う人たちを、ひとまとめにして「いろんな人」と言いたくなる場面があります。
その「さまざまな境遇の人々」を上品に言い表す「walks of life」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン8第23話、レナードが母ビバリーに、信心深いシェルドンの母への気づかいを頼む階段のシーンから、一緒に見ていきましょう。
「walks of life」の意味とニュアンス
walks of life
意味:(さまざまな)職業、身分、社会的な境遇
walk には「歩く」のほかに、「歩む道=人生の進路・職業」という古い比喩的な意味があります。walk of life で「人生の歩み方=その人の職業や社会的立場」を指し、複数形の walks of life で「さまざまな立場・境遇」を表します。
実際には all walks of life(あらゆる境遇)、different walks of life(異なる境遇)、every walk of life(あらゆる立場)といった形で使われ、職業・身分・生き方の多様さをまとめて言い表します。上下の序列ではなく「種類の幅広さ」に焦点があるのが特徴で、誰も排除しない包括的な響きを持ちます。スピーチや広告で多様性を語るときの、やや格調高い定番表現です。
【ここがポイント!】
- 「人生の歩み方(walk of life)」=職業・立場、が意味の核
- all / different / every を伴い「あらゆる境遇の人々」を表す
- 序列ではなく「種類の多様さ」を指す、包括的な響きがコツ
『ビッグバン★セオリー』S08E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
レナードが、無神論者で歯に衣着せぬ母ビバリーに、敬虔なクリスチャンであるシェルドンの母メアリーの信仰を尊重するよう頼みます。ビバリーは「いろんな境遇の人との付き合い方は心得ている」と請け合うのですが、直後のひとことで本音が漏れるところが見どころです。
Leonard: She’s a very sweet and God-fearing lady, so please be respectful of her beliefs.
(彼女はとても優しくて信心深い人なんだ。どうか信仰を尊重してあげて。)Dr Hofstadter: Leonard, I’m an adult. I know how to conduct myself around people from different walks of life.
(レナード、私は大人よ。さまざまな境遇の人とどう振る舞うべきかは心得ているわ。)Leonard: Where is she from again?
(彼女、どこの出身だったかな?)Dr Hofstadter: East Texas.
(東テキサスよ。)The Big Bang Theory Season8 Episode23(The Maternal Combustion)
シーン解説と心理考察
「私はいろんな walks of life の人とうまくやれる大人だ」と寛容さを誇示したビバリーが、相手の出身地が東テキサスだと知った途端に顔をしかめる——その落差が、このシーンの可笑しさを生んでいます。洗練された言い回しで知性と包容力を示した直後に、地域への偏見をあらわにしてしまうわけです。
自分は偏見とは無縁だと信じて疑わないビバリーの自己像と、実際の反応とのずれが、ここに端的に表れています。寛容を語る言葉ほど、その人の本音を裏側から照らし出すことがある、という皮肉のきいた場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
一本の長い道を、白衣の医者、作業着の農夫、エプロン姿の店員、リュックを背負った学生——まるで違う身なりの人々が、それぞれの歩幅で歩いている光景を思い描いてみてください。一人ひとりの「人生の歩き方(walk of life)」が、同じ一本の道に集まっているイメージです。
ビバリーが「私はどんな歩き方の人ともうまくやれる」と胸を張った直後に、「東テキサス? うえっ」と本音を漏らした場面と結びつけると、この言葉の意味と、それを使う人の皮肉まで、まとめて記憶に残ります。
例文で覚える「walks of life」
walks of life は、人の多様さを語るときに活躍します。集まり・職業・作品の三場面で見てみましょう。
People from all walks of life attended the festival.
(あらゆる境遇の人々がそのお祭りに参加した。)
最もよく使われる all walks of life の形です。年齢も職業も立場もばらばらの人が集まった、という賑わいを一言で表せます。
As a nurse, she meets people from every walk of life.
(看護師として、彼女はあらゆる境遇の人と出会う。)
単数形 every walk of life の形です。仕事柄、実にさまざまな背景の人と接することを、自然に言い表せます。
A: Who is this book written for?
B: Honestly, it speaks to readers from all walks of life.
(A:この本は誰に向けて書かれているの?)
(B:正直なところ、あらゆる境遇の読者に響く本だよ。)
作品の普遍性を語る会話です。walks of life を使うと、「特定の層だけでなく、広く万人に」という包括的な響きが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
background
(経歴、生い立ち、背景)
個人の出自や経歴を指す中立的な語です。walks of life が多様な層を束ねて言うのに対し、background は一人ひとりの背景に焦点を当てます。
all sorts of people
(あらゆる種類の人々)
口語的で広い言い方です。walks of life のほうがやや格調高く、職業や社会的立場の多様さに焦点が当たります。
social standing
(社会的地位)
こちらは上下の序列を含意します。walks of life が序列ではなく「種類の幅」を表すのとは、向きが異なる表現です。
Note|「walk」が「職業・生き方」を意味するわけ
walks of life を読み解く鍵は、walk という語が持つ、歩行以外のもう一つの顔にあります。
walk には古くから、「歩む道=人生の進路・職業・生き方」という比喩的な意味がありました。人生を一本の道に見立て、その上をどう歩むか——どんな職業に就き、どんな立場で生きるか——を walk of life と呼んだとされています。この「人生という道の歩み方」という発想が、表現の土台になっています。一人ひとりが別々の道を歩いていると考えれば、その道の種類は無数にあります。だからこそ複数形にした walks of life が、「さまざまな職業・立場・境遇」を表す言葉として定着していったと言われています。とりわけ from all walks of life(あらゆる境遇の人々)は、誰ひとり締め出さない包括的な響きを持つため、スピーチや広告で多様性や一体感を語るときの決まり文句として重宝されてきました。「道」という素朴なイメージから、これほど豊かな人間模様を一語で描けるところに、この表現の懐の深さがあります。
ビバリーがこの上品な言い回しを口にした直後に本音を漏らしたのも、言葉の格調と本心とのギャップを際立たせる、巧みな笑いの仕掛けでした。
言葉の成り立ちを知ると、見慣れた単語の別の表情が見えてきます。
まとめ|ビバリーの建前から学ぶ「あらゆる境遇の人々」
walks of life は、「人生の歩み方=職業・立場」という walk の比喩から生まれた、「さまざまな境遇の人々」を表す表現です。
all walks of life、different walks of life といった形で、職業も身分も生き方も異なる人々を、序列をつけずにまとめて言い表せます。多様性や包括性を語る場面で、やや格調高く響くのがこの言い回しの持ち味です。
幅広い人々を一言で束ねたいとき、この表現を使ってみてください。建前と本音のずれをユーモラスに描いた劇中の場面とともに、記憶に留めておくと忘れにくくなります。
ビバリーが寛容を口にした直後に顔をしかめた後ろには、自分は公平だと思い込みたい誰もが抱える、ささやかな自己矛盾が顔をのぞかせていました。


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