アメリカの「空の巣(empty nest)」と、子どもがまだ家にいる親の英語|『モダンファミリー』S08E21で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: アメリカの「空の巣(empty nest)」と、子どもがまだ家にいる親の英語|『モダンファミリー』S08E21で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン8第21話では、フィルとクレアが、子どもたちのいる家を後にして車で飛び出します。二人が口にするのは、子どもが巣立った後の親の暮らしを指す「empty nest」にまつわる言葉です。

子どもの独立をどう迎えるかは、国や家庭によって受け止め方が異なります。この回の夫婦の会話を入り口に、アメリカで語られる「空の巣」の考え方と、それを表す英語を見ていきます。

目次

親が「running away from home」する

フィルとクレアは、子どもたちのいる家を後にして車で出かけます。車中での二人の会話です。

Claire: so we’re running away from home.
(つまり、私たち家出するってこと。)

Claire: I mean, i-i-is that okay?
(ていうか、そ、それっていいのかな?)

Phil: Yes.
(いいとも。)

Phil: We live with three adults.
(うちには大人が3人いるんだ。)

Phil: We’re basically landlords in an apartment building.
(俺たちなんて、ほぼアパートの大家だよ。)

Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)

run away from home は「家出する」で、ふつうは親元を飛び出す子どもについて使う表現です。それを親の側が自分たちに使っているところに、この場面のおかしさがあります。

フィルの We live with three adults. は、子どもたちを「子ども」ではなく「大人」と呼んでいる点がポイントです。続く landlords は「家主、大家」で、自分たちを集合住宅の大家にたとえています。同じ家に住んでいても、もう世話をする親子というより、住まいを貸している側と借りている側のようだ、という冗談めかした見立てです。家族の誰を指しているかは言わず、家にいる大人の数だけで状況を伝えているのも特徴です。

大人になった子どもと暮らす親の立場を、英語では live with one’s adult children(成人した子どもと暮らす)のように表すことがあります。フィルの言い方は、その状況を少し大げさに切り取ったものと言えます。

「empty nest」と「full-nesters」

車中の会話の中で、フィルはこんな言い方をします。

Phil: We’ve earned the right to live the empty-nesters’ life even though we’re still full-nesters.
(俺たちには空の巣の暮らしをする権利がある。まだ巣はいっぱいだけどね。)

Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)

empty nest は直訳すると「空っぽの巣」で、子どもが独立して家を出た後の家庭を指します。そうなった親は empty nesters と呼ばれ、ひな鳥が巣立った後の鳥の巣にたとえた言い方です。子どもが離れた後に親が感じる寂しさや喪失感を empty nest syndrome(空の巣症候群)と呼ぶこともあります。会話では We’re empty nesters now.(うちもこれで空の巣になった)のように、自分たちの状況を説明する言い方として使われます。

アメリカでは、子どもが高校を卒業した後、進学や就職をきっかけに親元を離れることが、一つの区切りとして語られることが多いと言われます。その一方で、成人した子どもが実家で暮らし続けたり、いったん離れてから戻ってきたりすることも珍しくないとされ、状況は家庭や地域によってさまざまです。

フィルの full-nesters は、empty-nesters をもじった言い方で、「巣がまだいっぱいの親」という意味になります。earn the right to ~ は「〜する権利を手に入れた」で、ここまで子育てをしてきた自分たちへのご褒美のような響きがあります。巣立ちを待たずに、空の巣の暮らしを先取りしようとする夫婦の気持ちが伝わってきます。

行き先を決めない旅と「the next chapter」

車中で、クレアが行き先を尋ねます。

Claire: Where are we going?
(どこに行くの?)

Phil: Let’s let the universe decide.
(宇宙に決めてもらおう。)

Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)

Let’s let ~ decide. は「〜に決めてもらおう」で、the universe を入れると「成り行きに任せよう」という気ままな響きになります。行き先を決めずに出かけること自体を楽しもうとする言葉です。

子どもが独立した後の夫婦の過ごし方としては、二人で旅行に出かけたり、広すぎる家から小さな住まいへ移ったりする話題が語られることもあります。住まいを小さくすることは英語で downsize と言い、空の巣の時期と結びつけて話されることがあります。もちろん過ごし方は家庭によってさまざまで、決まった型があるわけではありません。

ところが、この外出は思いどおりには進みません。その後、クレアはこう言います。

Claire: Don’t you see what the universe is trying to tell us? We are never gonna reach the next chapter.
(宇宙が私たちに何を言おうとしてるか分からない? 私たちは次の章には絶対たどり着けないのよ。)

Modern Family Season8 Episode21 (Alone Time)

the next chapter は「次の章」で、人生の新しい段階を本の章にたとえた言い方です。子どもの巣立ちの後に始まる夫婦の時間も、英語では a new chapter や the next chapter と表されることがあります。クレアがフィルの the universe を拾い、今度は落胆の言葉として使っているのが面白いところです。

まとめ|空の巣をめぐる英語

子どもが巣立った後の empty nest と empty nesters、フィルのもじり full-nesters、人生の段階を表す the next chapter。子どもの独立を待つ親の気持ちを、英語がどう言い表すかが見えてくる回です。

家族それぞれの節目を描く『モダンファミリー』を観ながら、英語と文化の両方に触れていきましょう。

ジェイとミッチェルの鉢合わせや、思いどおりにいかないときの夫婦の言葉は、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。

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