「give you a pass」と「let him get away with」はどう違う?お気に入りの子に甘くなるときの英語|『モダンファミリー』S08E12で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「give you a pass」と「let him get away with」はどう違う?お気に入りの子に甘くなるときの英語|『モダンファミリー』S08E12で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン8第12話では、息子のジョーが学校で問題を起こし、ジェイがジョーと話をします。ところが後の場面で、その接し方が甘すぎると、妻のグロリアから指摘を受けます。

「見逃す」を英語で言おうとすると、一度だけ大目に見るのか、いつも好き放題にさせるのかで表現が分かれます。ジェイとグロリアのやり取りには両方の表現が出てくるので、その違いを比べるのにうってつけです。

目次

「give you a pass」は一度だけ大目に見る

ジョーの学校から連絡があり、ジェイとグロリアは先生に会いに行きます。クラーク先生の話では、ジョーから不適切なバレンタインの贈り物を受け取ったとのことでした。その後、ジェイはジョー本人とこう話します。

Joe: Did I do something wrong?
(僕、何か悪いことした?)

Jay: You did take something out of your mom’s drawer without asking.
(ママの引き出しから、黙って物を持ち出したのは確かだな。)

Jay: But I’m gonna give you a pass on that one.
(でも、それは大目に見てやる。)

Jay: The thing is, the gift was inappropriate.
(問題はな、あの贈り物がふさわしくなかったってことだ。)

Modern Family Season8 Episode12 (Do You Believe in Magic)

give someone a pass は「(人を)見逃してやる、今回は許す」という意味で、くだけた会話で使われます。pass には「通行証」の意味があり、本来なら止められるところを通してやるイメージでとらえると覚えやすくなります。on that one を付けると「その件については」と対象を一つに絞れます。

ここでジェイが見逃しているのは、黙って物を持ち出したことです。そのうえで The thing is, と前置きし、本当の問題は贈り物そのものだと話を戻しています。The thing is, は「問題は〜だ」「実はね」と、言いたい核心に入る前に置く前置きです。

見逃す部分と叱る部分を分けて伝える組み立ては、子どもに限らず、同僚や友人に注意する場面でも応用できます。たとえば I’ll give you a pass this time, but don’t be late again.(今回は大目に見るけど、もう遅れないでね)のように、this time を添えると「一回限り」がはっきりします。

「let him get away with murder」と「a mini me」

ところが、同じようなことが再び起きます。グロリアはジェイに、こう言います。

Gloria: I knew I shouldn’t have trusted you talking to him, because you will let him get away with murder because he’s a mini you and you like it.
(あなたにあの子と話をさせるんじゃなかった。だってあなたは、あの子が何をしても見逃すもの。あの子はちっちゃいあなたで、あなたはそれが嬉しいのよ。)

Gloria: And you know what’s worse? That you’re so mean to Manny because he’s different than you.
(それに、もっとひどいのは何だと思う? マニーには冷たいってこと。あなたと違うからって。)

Jay: First off, Joe is not a mini me.
(まず第一に、ジョーはちっちゃい俺なんかじゃない。)

Joe: Crap.
(ちくしょう。)

Joe: Crapola.
(ちくしょうめ。)

Joe: Crapinski.
(ちくしょうスキー。)

Jay: Well, maybe a little, and maybe I kind of like it.
(まあ、ちょっとはそうかもな。で、それが気に入ってるのかもしれん。)

Jay: But why would you want to knock the Jay out of Joe? Instead of one trophy, you get two.
(だが、なんでジョーからジェイらしさを叩き出したいんだ? トロフィーが一つじゃなくて二つになるんだぞ。)

Modern Family Season8 Episode12 (Do You Believe in Magic)

let someone get away with ~ は「(悪いことを)罰せずに済ませる」で、get away with murder は「何をしても叱られない、やりたい放題にさせる」という慣用句です。文字どおりの意味ではなく、甘やかしを大げさに言う決まった形として使われます。will が入ることで「あなたはいつもそうする」という習慣のニュアンスも含まれます。

表現 見逃す範囲 ニュアンス
give someone a pass (on ~) 特定の一件 今回だけ許す
let someone get away with ~ 繰り返し・全般 叱らずに済ませ続ける

a mini you や a mini me は「小さいあなた」「小さい自分」で、子どもが親にそっくりなことを冗談めかして指す表現です。ジェイが否定した直後に、ジョーが冒頭でジェイが口にしていたのと同じ系統の言葉を続け、ジェイが「ちょっとはそうかも」と認める流れが面白いところです。knock ~ out of someone は本来「(性質や癖)を叩き直す」という形で、ジェイはそこに自分の名前を入れて、言葉遊びに変えています。

「don’t ever disrespect」と「a kick in the gut」

別の場面では、ジョーの言葉づかいにジェイが反応します。ジェイがその場に加わると、ジョーはゴルフの選手のことを口汚くこき下ろしている最中です。

Jay: What’d I miss?
(何かあったか?)

Joe: This overpaid bum missed a putt.
(この給料もらいすぎのろくでなし、パット外したよ。)

Jay: I’m supposed to not like this.
(本当は、こういうのを喜んじゃいけないんだがな。)

Modern Family Season8 Episode12 (Do You Believe in Magic)

I’m supposed to not like this. は「これを気に入らないのが本来の立場だ」という意味です。be supposed to は「〜することになっている」で、決まりや建前を表します。少し前の maybe I kind of like it とあわせて読むと、たしなめる立場と、まんざらでもない本音の両方を口にしている台詞だと分かります。ところが、マニーが話している途中でジョーが口を挟むと、ジェイの反応は一転します。

Joe: Oh, my God! Is it still talking?!
(うわ、まだしゃべってるの?)

Jay: Joe, you don’t ever disrespect your brother like that.
(ジョー、お兄ちゃんをそんなふうにばかにするんじゃない。)

Modern Family Season8 Episode12 (Do You Believe in Magic)

you don’t ever ~ は命令文より強く「決して〜するな」と線を引く表現です。disrespect は動詞で「軽んじる、失礼な態度をとる」という意味の語です。さらに注意を重ねたうえで、ジェイはジョーを部屋に行かせ、こう語ります。

Jay: It’s fun when your kids get your best qualities, but it’s a kick in the gut when they pick up stuff you hate about yourself.
(子どもが自分のいいところを受け継ぐのは楽しいもんだ。だが、自分で嫌だと思ってるところを拾われると、腹を蹴られたみたいにこたえる。)

Jay: I saw that ugly, impatient part of me coming out of my adorable son.
(俺のみっともない、せっかちなところが、かわいい息子から出てくるのを見ちまった。)

Modern Family Season8 Episode12 (Do You Believe in Magic)

pick up ~ は「(癖や言葉を)自然に身につける」、a kick in the gut は「おなかを蹴られたような精神的な打撃」を表します。get your best qualities の get は「受け継ぐ」の意味で、inherit よりも日常会話寄りの響きになります。似ていることを喜ぶ気持ちと、似てほしくなかった部分を見たときの気持ちが、一つの台詞の中で対比されている点が見どころです。

まとめ|見逃し方の度合いと、似ることの両面

give you a pass は一件だけ大目に見る言い方、let him get away with murder は叱らずに済ませ続けることを責める言葉です。a mini me や pick up、a kick in the gut とあわせて覚えると、甘くなる気持ちと向き合う場面の英語がつながって見えてきます。

『モダンファミリー』の家族のやり取りを観ながら、こうした言い方の違いにも耳を傾けていきましょう。

同じ回のほかのコラムやフレーズ記事でも、この回の会話から別の英語を取り上げます。

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