「jinx」と「bad luck」はどう違う?ゲン担ぎをめぐる英語の使い分け|『モダンファミリー』S06E04で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「jinx」と「bad luck」はどう違う?ゲン担ぎをめぐる英語の使い分け|『モダンファミリー』S06E04で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン6第4話では、キャメロンが率いる学校のフットボールチームが勝ち続け、キャメロンは勝ちにつながると信じる習慣を崩そうとしません。やがてその矛先は、夫のミッチェルにも向かいます。

「運」にまつわる英語は、jinx、bad luck、bad energy と似た言葉が多く、使い分けに迷いやすい分野です。2人の会話を追いながら、それぞれの言葉が誰に、何に向けられているかを見ていきます。

目次

「lucky meal」と「superstitions」——ゲン担ぎを語る言葉

試合の日の食事の席で、ステーキを切り続けるキャメロンに、ミッチェルが声をかけます。

Mitchell: You’ve been sawing at that chicken fried steak for 10 minutes.
(そのチキンフライドステーキ、もう10分もギコギコ切ってるよ。)

Mitchell: Just order something else.
(別のを頼めばいいじゃないか。)

Cameron: Mitchell, it’s game day.
(ミッチェル、今日は試合の日なんだ。)

Cameron: I can’t.
(無理だよ。)

Cameron: It’s my lucky meal.
(これは僕の勝負メシなんだから。)

Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)

lucky ~ は「縁起のいい〜」「験のいい〜」を表し、lucky meal のほか lucky shirt や lucky number のように名詞の前に置いて使えます。game day は「試合当日」で、それだけで特別な日だと伝わる語です。

ミッチェルは「別の料理を頼めば」と実際的な提案をしますが、キャメロンは I can’t. と短く断ります。理由を長々と述べず、it’s game day と lucky meal の2語だけで押し通すところに、ゲン担ぎを譲れないものとして扱う姿勢が表れています。自分の習慣を説明するなら、I always wear this on game day. It’s my lucky shirt.(試合の日はいつもこれを着るんだ。験のいいシャツなんだよ。)のように使えます。

家での別の場面でも、キャメロンは同じ調子です。

Cameron: I forgot them on the day of our first win, and it’s worked ever since.
(初勝利の日にそれを忘れていって、それ以来ずっと効いてるんだ。)

Cameron: Now scooch to the left.
(ほら、左に詰めて。)

Mitchell: I’m not letting you do the coffee-table thing again.
(またコーヒーテーブルのあれをやらせる気はないからね。)

Cameron: Mitchell, superstitions are a big part of sports.
(ミッチェル、ゲン担ぎはスポーツの大事な一部なんだよ。)

Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)

it’s worked ever since は「それ以来ずっとうまくいっている」で、ゲン担ぎを続ける理由を説明する決まった形と言えます。superstition は「迷信、縁起担ぎ」で、複数形にすると習慣の数々をまとめて指せます。スポーツの世界では選手やコーチが試合前の決まった行動を大切にすることが多いと言われ、キャメロンの言い分もその考え方に沿ったものと読み取れます。

「jinx」は人に向けると角が立つ

試合の終盤、仕事の食事会があるはずだったミッチェルが会場に現れ、チームを応援したいと言います。ところがキャメロンは、試合はもうすぐ終わると言って帰りを促します。

Mitchell: You better go, Dolphins!
(がんばれ、ドルフィンズ!)

Cameron: Yeah, love that, but, you know, the game’s almost over.
(うん、いいね、でもほら、試合はもうすぐ終わるし。)

Cameron: You might want to beat traffic, so
(渋滞は避けたほうがいいんじゃないかな、だから)

Mitchell: I thought you’d be happy that I was here.
(僕が来たら喜ぶと思ったのに。)

Mitchell: Why do I feel like you’re trying to get rid of me?
(なんで追い返されそうな気がするんだろう?)

Cameron: I have no idea.
(さあね。)

Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)

You might want to ~ は「〜したほうがいいかも」と遠回しに勧める言い方で、ここでは帰ってほしい気持ちを包んでいます。get rid of ~ は「〜を追い払う」で、ミッチェルはその空気を言葉にしています。続くやりとりで、問題の単語が出てきます。

Cameron: It’s not because you’re a jinx.
(君が疫病神だからってわけじゃないよ。)

Mitchell: A jinx? Do you think I’m a jinx?
(疫病神? 僕が疫病神だと思ってるの?)

Cameron: No! No, no, no, no, no.
(違う! 違う、違う、違う、違う、違う。)

Cameron: This all can’t be on you.
(これ全部が君のせいってことはないよ。)

Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)

名詞の jinx は「不運を呼ぶ人やもの」を指し、日本語の「疫病神」に近い響きがあります。人に向けると相手そのものを不運の原因と見なすことになるため、言われた側にはこたえる言葉です。キャメロンは打ち消しの形で口にしていますが、ミッチェルがすぐに聞き返すことから、その一語の重さが伝わってきます。be on ~ は「〜の責任だ」で、This all can’t be on you. は責任を一人に負わせないための一言です。

なお jinx には動詞の用法もあり、良いことを口に出すと台無しになるという意味で Don’t jinx it.(縁起でもないこと言わないで)のように使われることが多いとされます。人を指す名詞の jinx とは向け先が違う点を押さえておくと、使い分けがしやすくなります。

「bad luck」と「bad energy」の違い

試合後、ミッチェルは自分から話を切り出します。

Mitchell: I get why you don’t want me here.
(僕にここにいてほしくない理由は分かるよ。)

Mitchell: I-I know there’s no such thing as bad luck, but there there is bad energy, and I bring a lot of that to your whole sports world.
(ふ、不運なんてものはないって分かってる、でも、その、悪い空気っていうのはあって、僕はそれを君のスポーツの世界にたっぷり持ち込んでるんだ。)

Mitchell: And that’s that’s because of my own history with it and you deserve better.
(それは、それは僕自身のスポーツとの過去のせいで、君にはもっといいものがふさわしいよ。)

Cameron: I couldn’t do better.
(君以上の人なんていないよ。)

Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)

bad luck は「不運」という現象そのものを指す言葉で、there’s no such thing as ~(〜なんてものはない)と組み合わせると、運のせいにする考え方を退ける言い方になります。一方の bad energy は、人や場が持つ「悪い空気、悪い雰囲気」です。ミッチェルは運の存在を否定しながら、自分が持ち込む空気については認めていて、その線引きが分かる台詞です。bad luck が「起きる出来事」、bad energy が「人がまとうもの」と考えると、2つの違いを整理しやすくなります。

表現 指すもの
lucky meal 縁起がいいと信じる習慣の対象
jinx 不運を呼ぶとされる人・もの
bad luck 不運という現象
bad energy 人や場がまとう悪い空気

キャメロンの I couldn’t do better. は、you deserve better への返しで「これ以上の相手はいない」という意味になります。2人の会話は、ミッチェルの次の一言にもつながっていきます。

Mitchell: You know, actually, I-I didn’t hate this.
(ねえ、実はさ、こ、これ、嫌いじゃなかったよ。)

Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)

I didn’t hate this. は「嫌いではなかった」という控えめな肯定で、素直に「楽しかった」と言いにくいときにも使えます。

まとめ|運をめぐる言葉の向け先

縁起を担ぐ lucky meal や superstitions、人に向けると重く響く jinx、現象としての bad luck と雰囲気としての bad energy。同じ「運」の話でも、言葉が何に向いているかで受け取られ方が変わることが見えてきます。

『モダンファミリー』を観ながら、言葉の向け先にも目を向けてみると、会話の温度差がよりはっきりしてきます。

家族5人のホテル暮らしの英語や、話の要点がずれたときの言い直しは、同じ回のほかのコラムで、表現ごとの解説はフレーズ記事で読めます。

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