海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かの話を聞いているうちに、いつの間にか自分の話にすり替わっていて、はっとした経験はありませんか。
そんな瞬間にぴったりの「make it all about me」を、『モダンファミリー』シーズン6第4話の中盤、ミッチェルが娘のリリーに自分の生い立ちを語るうちに、夫のキャメロンの気持ちを考えていなかったと気づく場面から、一緒に見ていきましょう。
「make it all about me」の意味とニュアンス
make it all about me
意味:何でも自分の話にする、自分中心にしてしまう
make it all about meは、本来は皆の話題であるはずのことを、自分の気持ちや都合を中心にした話にしてしまう、という表現です。allは「すべて」、aboutは「〜に関する」を表し、話のすべてが「私に関するもの」になっている、という構図を描いています。
形は「make + it / this + all about + 自分」が基本です。最後の部分は、話し手が誰かによって、me、himself、herself、youなどに入れ替わります。自分自身を振り返るときには、今回のミッチェルの発言のように、I’ve been making this all about myself.と、再帰代名詞のmyselfを使う形も自然です。主語の人が話題の主役を自分に引き寄せている、という点は同じです。
使われる場面は、他人の誕生日や相談の場で、いつの間にか自分の話が中心になってしまったときなどです。I don’t want to make this all about me.のように、自分の話にしたくないと前置きする使い方もあれば、Don’t make it all about you.のように、相手に注意する使い方もあります。話し手自身への反省にも、相手への指摘にも使える点が、この表現の幅です。
【ここがポイント!】
- 「make it all about me」の核は、話題のすべてを自分に引き寄せてしまうこと
- 自分への反省ならmyself、相手への指摘ならyouやhimselfと、最後の語を入れ替える形
- 「I don’t want to〜」を前置きにすると、自分の話にしたくないという気配りにもなるのがコツ
『モダンファミリー』S06E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルとリリーが話している場面です。ミッチェルが自分の事情を語ると、リリーも自分の話を返します。その流れの中で、ミッチェルが自分の言動を振り返る一言を口にします。
Mitchell: I mean, you have no idea, Lily, the bullying and the teasing.
(いいかい、リリー、いじめやからかいがどんなものか、君には想像もつかないだろうけど。)Lily: They put me in the ball bag.
(ボール入れの袋に入れられたの。)Mitchell: If I am a little dismissive, it’s only because of my harrowing backstory.
(僕がちょっと冷たいとしたら、それはつらい生い立ちのせいなんだ。)Lily: They said if I told, they would kill you and daddy.
(言いつけたら、パパたちを殺すって言われたの。)Mitchell: Oh, my God. I’ve — I’ve been making this all about myself. I haven’t even been thinking about Cam.
(なんてことだ。僕は…僕は何もかも自分のことにしてしまっていた。キャムのことをまったく考えていなかった。)Modern Family Season6 Episode4 (Marco Polo)
シーン解説と心理考察
ミッチェルは、リリーに向かって、いじめやからかいがどんなものか想像もつかないだろうと話し始めます。これに対してリリーは、ボール入れの袋に入れられたと、自分の側の出来事を短く返します。ミッチェルは「僕がちょっと冷たいとしたら、それはつらい生い立ちのせいなんだ」と、再び自分の事情の説明に戻ります。
会話の形に注目すると、ミッチェルの発言はどちらも自分の側の話を中心にしています。リリーが自分の話を挟んでも、ミッチェルはその内容に触れないまま、自分の話を続けています。二人の話がすれ違ったまま進む流れが、この場面の前半です。
流れが変わるのは、リリーが「言いつけたら、パパたちを殺すって言われたの」と打ち明けた直後です。ミッチェルはその話には触れず、「なんてことだ」と自分の気づきを口にし、自分が全部自分のことにしてしまっていたと言います。言い淀みを挟みながら「僕は…僕は」と繰り返す話し方から、気づいた直後の動揺がにじみます。
さらに、ミッチェルは「キャムのことをまったく考えていなかった」と続けます。make it all about meは、キャメロンが大切にしているフットボールの件を、自分の生い立ちの問題にしてしまっていたと気づく言葉として使われています。他人を責めるためではなく、自分の視点の偏りに気づく言葉です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
aboutの先に、いつも自分が立っている姿を思い浮かべてみましょう。話題という地図があって、どの道を進んでも最後は自分の家に着いてしまう、そんなイメージです。allが付いているので、寄り道の余地がなく、話のすべてが「私」へ続いています。
ミッチェルの場合、キャメロンのフットボールの件でも、ミッチェルの話の道筋は自分の生い立ちへ戻っていました。そのことに気づいた瞬間に出たのが、making this all about myselfという言葉です。
覚えるときは、all about meという形を、話題の中心に自分が座っている絵として頭に置いてみてください。meの部分を、himselfやyouに替えると、他人を主役の座から引き離す言い方になります。自分への反省と相手への指摘を、同じ型で言い分けられます。
例文で覚える「make it all about me」
会話の中で使えるmake it all about meを、3つの例文で確認していきましょう。
She always makes the conversation all about herself.
(彼女はいつも会話を自分の話にしてしまうんだ。)
話が自分中心になりがちな人について話す場面です。主語がsheのときは、最後の語がherselfになります。
A: Sorry, I’ve been making it all about me lately.
B: It’s okay. Tell me what’s going on with you.
(A:ごめん、最近何でも自分の話にしちゃってた。)
(B:いいよ。あなたの近況を聞かせて。)
自分の話ばかりだったことを謝る会話です。現在完了進行形のhave been makingで、しばらく続いていた状態だったと伝えています。
Try not to make every meeting all about your own project.
(会議のたびに自分のプロジェクトの話ばかりにならないようにしましょう。)
会議の進め方を注意する場面です。itの代わりに具体的な名詞を置いても、all aboutの後ろの形は変わりません。
あわせて覚えたい関連表現
be self-centered
(自己中心的である)
be self-centeredは、性格や態度を表す形容詞的な言い方です。make it all about meは、その場の話題や状況を自分に引きつける動作を表す点が違います。
hog the spotlight
(注目を独り占めする)
hog the spotlightは、周囲の注目が集まる先に重点があります。make it all about meは、話題や気持ちの中心が自分になっている点に重点があります。
turn the conversation to oneself
(話を自分のほうへ向ける)
turn the conversation to oneselfは、会話の向きを変える行為を客観的に述べる言い方です。make it all about meは、「全部自分の話にしてしまう」という反省や指摘の響きを含みます。
Note|「全部自分のこと」と「自己中心」の間にあるずれ
自分の話ばかりする状態を、日本語では「自己中心」や「自分勝手」といった評価の言葉で言うことがあります。ここでは、make it all about meの構成語の意味と、こうした評価語とのずれを整理します。
構成語を見ると、allは「すべて」、aboutは「〜に関する」、meは「私」です。全部つなげると、「それをすべて私に関するものにする」という、状態を描く言い方です。性格が自己中心的だと決めつける言葉ではなく、その場の話題がどこに向かっているかを述べる表現です。
これに対して、「自己中心」という日本語は、人の性格や態度を評価する言葉として聞こえます。make it all about meを「自己中心にする」と訳すと、人柄への評価まで含んで読まれやすい点が、和訳のずれです。表現そのものは話題の向きを述べているだけなので、その場の一度きりの振る舞いを指す言い方としても使えます。ミッチェルの「I’ve been making this all about myself.」も、自分の性格を責めているというより、キャメロンとの件を自分中心に考えていた、と気づいた発言です。
評価語ではなく状態の描写だと押さえておくと、使い方の幅が見えてきます。自分に向けるときも相手に向けるときも、話題の向きを確かめる言葉として使えます。
まとめ|話題の向きに気づいた、ミッチェルの一言
make it all about meは、本来は皆の話題であることを、自分を中心にした話にしてしまうことを表す表現です。最後の語をmyself、you、himselfなどに替えて、反省にも指摘にも使えます。
相手の話を聞く場面や、皆で集まる場面で、話題の向きを整えたいときに役立ちます。be self-centeredやhog the spotlightとの違いを押さえておくと、話題、性格、注目のどこに焦点を置くかで言い分けられます。
自分の生い立ちの話を続けるうちに、キャメロンのことを考えていなかったと気づいたミッチェルの一言には、視野が広がる瞬間がとらえられていました。会話のレパートリーに加えてみてください。


コメント