海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン8 第22話に登場する、ドローンを分解するハワードに対しシェルドンが保証を心配する場面の言い回しです。物事を全く気にかけていないと大げさに言い切る表現が、後の場面でそのまま人物の行動として言い換えられて戻ってくる様子を扱います。
ひとつの大げさな比喩が、会話の中でどう転がっていくのかという流れが見どころです。
保証を心配する問いかけと、それを大げさに切り捨てる言い方
分解を始めようとするハワードに、シェルドンはこう問いかけます。
Sheldon: Won’t that void the warranty?
(それをやったら保証が無効にならないか?)Howard: Sheldon, I have a master’s degree in engineering. I wipe my bottom with warranties. Except for AppleCare. That pays for itself in the long run.
(シェルドン、俺は工学の修士号を持ってるんだぜ。保証書なんて尻を拭く紙も同然さ。AppleCareは別だけどな。あれは長い目で見れば元が取れるんだよ。)TBBT Season8 Episode22
void the warrantyは「保証を無効にする」という決まった言い方で、Won’t that void the warranty?は分解や改造によって保証が失われることを心配する定番の問いかけです。対するI wipe my bottom with warranties.は、直訳の生々しさをそのまま利用して「保証書なんて尻を拭く紙も同然だ」と、物事を全く気にかけていないと大げさに言い切る言い方です。
工学の修士号という自信を裏付けに、保証という制約そのものを軽視してみせる様子が伝わってきます。日常会話でも、家電や家具を自己流に手直しする場面で、Won’t that void the warranty?とまず心配してみせるところから話が始まることがあります。
それに対してI wipe my bottom with warranties.のような大げさな比喩で切り返せば、心配そのものを笑い話に変えてしまう効果も見込めます。Except for AppleCare. That pays for itself in the long run.という限定を付け加えている点も見どころです。
何もかもを一括りに軽視するのではなく、自分にとって価値があると判断したものだけは例外として扱う、線引きの仕方がここに表れています。
前に出た大げさな言い方を、そのまま人物の行動として言い換える言い方
場面はいったんペニーの部屋のシーンを挟み、後のアパートの場面では、返品を巡るやり取りの中で同じ比喩がこう戻ってきます。
Sheldon: You can’t return it. Howard wiped his bottom with the warranty.
(返品はできない。ハワードは保証書で尻を拭いたからな。)Raj: What?
(は?)Sheldon: I think metaphorically. But he was in the bathroom for a while.
(比喩的にだと思うが。もっとも、しばらくトイレにこもっていたが。)TBBT Season8 Episode22
Howard wiped his bottom with the warranty.は、先の場面でハワードが使った大げさな比喩表現を過去形に変え、そのまま人物の行動として言い換える言い方です。一人称のI wipe my bottom with warranties.が、三人称のHoward wipedへと姿を変えたことで、本人が語った冗談が、その場にいない人物の行動として語り直される形になっています。
ラージが困惑してWhat?と聞き返すと、シェルドンはI think metaphorically.と、直前の発言が文字通りではなく比喩だったのだと言い添えます。metaphoricallyは「比喩的に」という意味で、字義通りに受け取られかねない発言に念のため注釈を添えるときに使える語です。
But he was in the bathroom for a while.と付け加えることで、比喩だと断ったそばから字義通りの状況証拠を持ち出し、比喩と字義の境目をあえて曖昧にしたまま茶化す仕上げになっています。
まとめ|保証書への大げさな軽視が生んだ言葉遊び
I wipe my bottom with warranties.という大げさな軽視の言い方から、Howard wiped his bottom with the warranty.という言い換え、そしてI think metaphorically.という念押しまで、ひとつの比喩表現がアパートの会話の中でどう転がっていくかをたどりました。同じ表現が形を変えながら場面をまたいで戻ってくる面白さも、この言葉の使い回し方に表れています。
次回も『ビッグバン★セオリー』の会話から広がる英語表現を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


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