海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「あの場所(あの人)、悪く言われがちだけど、本当はそんなことないんだよ」——世間のイメージで損をしている誰かや何かを、思わずかばいたくなる瞬間はありませんか。
そんなときにぴったりの「get a bad rap」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン8第22話、母校のあるニュージャージーへ向かう前に、レナードがその土地の評判をめぐってペニーと交わすシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get a bad rap」の意味とニュアンス
get a bad rap
意味:不当に悪く言われる、不当な悪評を立てられる
rap は、ここでは音楽のラップではなく、「非難・とがめ・烙印」を表すくだけた語です。get a bad rap で「悪い非難を受ける」、つまり「本来そこまで悪くないのに、誤解やイメージのせいで実態以上に低く評価されている」という意味になります。
ポイントは、単に「評判が悪い」のではなく、「その悪評が不当だ」という擁護の含みがあることです。だからこそ、後ろに but …(でも実際は〜)と続けて、「悪く言われているが、本当はそうではない」とかばう流れで使われることがとても多くなります。対象は、人・場所・食べ物・動物など幅広く、世間のイメージで割を食っている存在全般に使えます。get のほかに have a bad rap(悪評がある状態)、take a bad rap(非難をかぶる)といった形もあります。
【ここがポイント!】
- rap は「非難・烙印」、bad と組んで「不当な悪評を着せられる」が意味の核
- 「評判が悪い」ではなく「悪く言われるのは不当だ」という擁護の含みを持つ一言
- 後ろに but … と続けて「でも本当は〜」とかばう流れで使うのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S08E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
母校のあるニュージャージーを訪れたことがないと話すペニーに、レナードがその土地を弁護します。テレビ番組のせいで不当に悪く言われている、と擁護したそばから、「本当はあんな感じじゃないの?」と聞かれて即座に前言を覆すところに見どころがあります。
Penny: I’ve never been to New Jersey before.
(ニュージャージーには行ったことがないの。)Leonard: It gets a bad rap from shows like Jersey Shore and Real Housewives.
(『ジャージー・ショア』や『リアル・ハウスワイブズ』みたいな番組のせいで、不当に悪く言われてるんだ。)Penny: So it’s not really like that?
(じゃあ、本当はあんな感じじゃないの?)Leonard: No, it’s like that.
(いや、あんな感じだよ。)The Big Bang Theory Season8 Episode22(The Graduation Transmission)
シーン解説と心理考察
レナードが get a bad rap で「ニュージャージーは番組のせいで不当に悪く言われている」と弁護しておきながら、ペニーの素朴な問いに「いや、あんな感じだよ」とあっさり前言を覆すギャップが、このシーンの可笑しさを生んでいます。一度持ち上げてから落とす、典型的なツッコミの構造です。
ここには、地元を擁護したい気持ちと、レナードの生真面目な正直さがぶつかっています。「不当だ」と言いかけたものの、嘘はつけずに事実を認めてしまう——その一瞬の手のひら返しが、彼のユーモアと律儀さを同時に見せています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
法廷を思い浮かべてみてください。本当は悪くない被告に、裁判官の小槌がコンと打ち下ろされ(rap)、「有罪!」の判決が不当に告げられる——その理不尽な一打が get a bad rap のイメージです。
劇中では、ニュージャージーがテレビ番組という「裁判官」に、勝手に悪評を叩きつけられている図と重なります。rap が「コツンと打つ音」から「非難・とがめ」へ転じた語だと知っておくと、なぜ rap が「悪評」を意味するのかも腑に落ち、記憶に残りやすくなります。
例文で覚える「get a bad rap」
get a bad rap は、世間のイメージで損をしている対象をかばうときに活躍します。場面を変えながら、3つの例で見てみましょう。
Spiders get a bad rap, but most of them are completely harmless.
(クモは不当に悪く言われがちだけど、ほとんどは全く無害なんだ。)
誤解されがちな対象を擁護する場面です。get a bad rap の後ろに but … と続けると、「悪く言われているが実は〜」という弁護の流れが自然に作れます。
Our department got a bad rap for being slow, but we’ve improved a lot.
(うちの部署は仕事が遅いと不当に言われていたが、かなり改善した。)
過去の評判を払拭したい場面です。got a bad rap for ~ の形で、「何について不当に言われたのか」を具体的に示せます。
A: Is that neighborhood really as dangerous as people say?
B: Nah, it gets a bad rap, but it’s actually pretty safe.
(A:あの地区って、みんなが言うほど本当に危ないの?)
(B:いや、悪く言われがちだけど、実際はかなり安全だよ。)
土地のイメージを訂正する会話です。劇中と同じ「場所の悪評」のパターンで、it gets a bad rap と受けて擁護に入れます。
あわせて覚えたい関連表現
give someone a bad name
(〜の評判を落とす)
「評判を悪くする(原因側)」に焦点を当てた言い方です。get a bad rap が「不当に悪く言われている(被害側)」の視点なのに対し、give a bad name は「誰かが評判を下げている」という加害側からの表現になります。
have a bad reputation
(悪い評判がある)
評判が悪いという事実を、そのまま中立に述べる言い方です。get a bad rap に含まれる「それは不当だ」という擁護のニュアンスはなく、良し悪しの判断を加えずに状態だけを伝えます。
be unfairly judged
(不当に判断される)
「不当に評価される」を直接的に述べるフォーマルな表現です。get a bad rap が口語の決まり文句として軽く使えるのに対し、be unfairly judged は文章寄りで、ややかしこまった響きになります。
Note|rap / reputation / name ―― 「悪評」を表す三者の違い
「悪く言われる」と一口に言っても、英語にはいくつもの言い方があり、それぞれ含みが微妙に異なります。
代表的なのが get a bad rap、have a bad reputation、give someone a bad name の三つです。get a bad rap の rap は「コツンと打つ」音から派生した「非難・とがめ・烙印」を指すくだけた語で、take the rap(他人の罪をかぶる)や a bum rap(濡れ衣)など、犯罪・非難系の慣用句と同じ仲間です。そのため get a bad rap には「実態にそぐわない不当なレッテル」という擁護の色が最初から含まれています。一方 reputation は「世間の評価そのもの」を指す中立的な語で、have a bad reputation は良し悪しの判断を加えず「評判が悪い」という事実を述べるだけです。そして name はここでは「名声・世評」の意で、give someone a bad name は「(誰かが)評判を落とす」という加害側の視点に立ちます。つまり、不当さを訴える rap、状態を述べる reputation、原因を指す name と、同じ「悪評」でも立ち位置がまるで違うわけです。劇中でレナードが reputation でも name でもなく get a bad rap を選んだのは、「不当に言われている」と弁護したい気持ちがそこに込められていたからでした(直後に自分で覆してしまいますが)。
似た表現の差を知ると、どの一語を選ぶかにも意味があると見えてきます。
まとめ|レナードの手のひら返しから学ぶ「不当な悪評」
get a bad rap は、実態以上に悪く言われる、つまり「不当な悪評を立てられる」を表す口語表現です。
世間のイメージで損をしている場所・人・食べ物などを、「悪く言われがちだけど本当は〜」とかばいたいとき、この一言が活躍します。rap という語に最初から「不当なレッテル」の含みがあるため、続けて but … と擁護を述べる流れに自然になじみます。
誰かや何かを弁護したい場面の一言として、表現の引き出しに加えてみてください。
レナードが弁護を即座に撤回した後ろには、イメージと実態のあいだで揺れる、誰もが一度は感じる「擁護したいけど嘘もつけない」気持ちが、ちらりとのぞいていました。


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