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『モダンファミリー』シーズン3第20話で、ヘイリーはプールパーティーの会場としてグロリアの家を使わせてもらおうとします。本題をいきなり口にせず、ついでを装う前置きや条件つきの問いかけを重ねていく話し方が、一連の場面に集まっています。
頼む側はどんな前置きで切り出し、周りはそれをどう受け止めるのか。ヘイリーとグロリア、クレアたちの会話を場面の順に見ていきます。
「since I’m already here」と「thinking out loud」で切り出す頼みごと
ヘイリーはグロリアを訪ね、まず届け物を手渡してから本題に入ります。
Haley: Gloria, I was driving by and saw this outside your door, so here.
(グロリア、車で通りかかったら、これがドアの外にあったから、はい。)Gloria: Thank you.
(ありがとう。)Haley: No problem.
(どういたしまして。)Haley: Hey, so since I’m already here, my friend was gonna have a pool party tonight, but he got sick.
(あ、それでさ、せっかく来たから言うけど、友達が今夜プールパーティーをやる予定だったのに、その子が具合悪くなっちゃって。)Haley: Could we have it here?
(ここでやらせてもらえない?)Gloria: Mm.
(うーん。)Gloria: Good thing that you saw this paper or if not, you would have never been able to ask.
(この紙を見つけてくれてよかったわ。そうじゃなかったら、頼みに来られなかったものね。)Haley: Yeah.
(うん。)Modern Family Season3 Episode20 (The Last Walt)
since I’m already here は「せっかくここに来たついでに」という前置きで、頼みごとが本来の用件ではないように見せる働きがあります。Could we ~? は許可を求めるていねいな形です。グロリアの Good thing that ~ は「〜でよかった」という形ですが、ここでは届け物がなければ頼みに来る理由もなかった、という皮肉に聞こえる一言です。
- A: Since I’m here, can I ask you something?
(せっかく来たから、ひとつ聞いてもいい?) - B: Sure, what is it?
(いいよ、何?)
グロリアが今夜は予定があると答えると、ヘイリーは別の前置きで話を続けます。
Gloria: I’m sorry, but Jay and I are going to Mitch and Cam’s for dinner tonight.
(悪いけど、今夜はジェイと私、ミッチとキャムの家に夕食に行くのよ。)Haley: I’m just thinking out loud here.
(ちょっと思いついたことを言ってるだけなんだけど。)Haley: What if I get a chaperone that my parents approve of? Would it be okay then?
(もしパパとママが認める付き添いの人を見つけたら? それならいい?)Gloria: Well, I guess so.
(まあ、それならいいわ。)Gloria: You know, it would be good for Manny to have a little bit of fun.
(そうね、マニーにとってもちょっと楽しむのはいいことだわ。)Gloria: Do you mind if he stays here for the party?
(パーティーの間、あの子をここにいさせてもいい?)Haley: Mind? The plan depended on him.
(いいかって? 計画はあの子頼みだったんだから。)Modern Family Season3 Episode20 (The Last Walt)
I’m just thinking out loud here. は直訳すると「ここでは声に出して考えているだけ」で、まだ決まったお願いではないという体裁をつくる前置きです。続く What if ~? は「もし〜したらどう?」と仮定で持ちかける形で、Would it be okay then? と重ねることで、条件つきの返事を引き出しています。ヘイリーの The plan depended on him. からは、付き添い役にマニーを数えていたことが読み取れます。
グロリアの Do you mind if ~? は「〜してもかまわない?」と許可を求める聞き方で、かまわなければ No、困るなら Yes と答える形になる点に注意が必要です。ヘイリーは Mind? とその語をそのまま聞き返し、続く一言で、断る理由などないことを示しています。
- A: I’m just thinking out loud, but what if we leave a little earlier?
(ちょっと思いついただけなんだけど、少し早めに出るのはどう?) - B: That could work.
(それもありかもね。)
皮肉と「technically」で見える口実のほころび
クレアも付き添い役のことを確かめますが、ヘイリーは皮肉で返します。
Claire: I don’t suppose you’ve thought of a chaperone?
(付き添いの人のことなんて、まさか考えてないわよね?)Haley: Of course not, mom, because it’s going to be a wild party and I’m trying to get away with something, as usual.
(考えてるわけないじゃん、ママ。だってめちゃくちゃなパーティーにして、いつもみたいに何かやらかすつもりなんだから。)Modern Family Season3 Episode20 (The Last Walt)
I don’t suppose ~? は否定の形で控えめに確かめる聞き方です。ヘイリーの Of course not, …, as usual. は、疑われている中身をわざと大げさに認めてみせる皮肉で、反発を逆の言葉で表しています。get away with something は「悪いことをしてもとがめられずに済む」という意味です。
パーティーの日、付き添い役が誰なのかが分かります。
Manny: So where are your parents?
(それで、君のご両親はどこ?)Haley: They’re not coming.
(来ないよ。)Manny: I was told there’d be a chaperone.
(付き添いの人がいるって聞いてたけど。)Haley: There is.
(いるよ。)Haley: It’s you.
(あんたが。)Haley: My parents are totally fine with it.
(パパもママも全然OKだから。)Modern Family Season3 Episode20 (The Last Walt)
I was told ~ は「〜と聞いていた」という受け身で、話が違うと伝える出だしになります。ヘイリーは There is. と一度受け止めてから、It’s you. で答えを明かします。最初に出していた付き添い役の条件は、あとになってこういう中身だったと分かる流れです。
グロリアが戻ると、ヘイリーは言い訳を始めます。
Haley: Listen, Gloria.
(聞いて、グロリア。)Haley: Okay, everything I told you technically was not–
(あのね、私が言ったことって全部、厳密に言うと……)Gloria: You lied to me so that you could have a party without supervision!
(監督なしでパーティーをしたくて、私に嘘をついたのね!)Haley: Oh, I had plenty of supervision.
(あら、監督ならたっぷりいたよ。)Haley: He was running around all night with his coasters and vacuum and his “make good choices” speech.
(あの子、一晩中コースターと掃除機を持って走り回って、「よく考えて行動しよう」って演説までしてたんだから。)Gloria: Good.
(よかった。)Modern Family Season3 Episode20 (The Last Walt)
technically は「厳密に言えば」という意味で、言い訳の前置きになりやすい語です。ヘイリーの言葉が終わる前に、グロリアの You lied to me が続きます。グロリアの supervision を拾った I had plenty of supervision. は、相手の言葉を逆手に取る切り返しと言えます。
- A: Technically, I didn’t break any rules.
(厳密に言えば、ルールは何も破ってないよ。) - B: That’s not the point.
(そういう問題じゃないの。)
technically で話し始めると、聞き手には「これから言い訳が来る」と受け取られやすい点も押さえておきたいところです。
まとめ|前置きから見える頼みごとの駆け引き
since I’m already here や I’m just thinking out loud here.、What if ~? は、頼みごとを軽く見せて切り出す前置きです。I don’t suppose ~? や technically も合わせると、頼む側と受け止める側の駆け引きが言葉からたどれます。
前置きひとつで頼みごとの印象が変わる様子を、『モダンファミリー』の会話がよく映し出しています。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、この回の会話を別の切り口から取り上げています。


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