海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン3第18話で、フィルは大きな売却物件の仲介をめぐって、同業者のミッツィと争います。その途中で3回、子どもたちを呼び集めて「人生の教訓」を語りますが、話すたびに、その中身がすっかり入れ替わっていきます。
今回は、改まった話を切り出す言い方と、それに返すヘイリーの一言、そして決まり文句を裏返す表現を、3回の教訓が語られる順に見ていきます。
「Kids, gather ‘round.」で始まる1回目の教訓
物件の担当が決まるかもしれないその日、フィルはルークとのやり取りのあと、子どもたちを呼び集めます。
Phil: Kids, gather ‘round.
(子どもたち、集まって。)Phil: It’s time for a life lesson.
(人生の教訓の時間だよ。)Haley: Aren’t we already gathered?
(もう集まってるじゃん。)Phil: Let me tell you something.
(いいかい、よく聞いて。)Phil: Hard work, determination, and perseverance always win out.
(努力と決意と粘り強さは、最後には必ず勝つんだ。)Phil: I am living proof that nice guys can finish first.
(いいやつだって一番になれる。俺がその生きた証拠さ。)Phil: Today I have a chance to get the biggest listing of my career.
(今日は俺のキャリアで最大の物件を任されるチャンスがあるんだ。)Modern Family Season3 Episode18 (Send Out the Clowns)
gather ‘round は gather around を縮めた形で、「周りに集まる」を表します。Kids, ~ と呼びかけてから It’s time for ~.(〜の時間だ)と続けることで、これから改まった話をするという合図になります。
ヘイリーの Aren’t we already gathered? は否定の疑問文で、「もう集まってるでしょ」というツッコミです。すでにその場にいる相手を、わざわざ呼び集めるフィルの大げさな切り出しを指摘する一言と読み取れます。
続く Let me tell you something. は、本題の前に置いて「いいかい」と聞き手の注意を引く前置きです。フィルはそのあとで、努力は最後に報われるという教訓を語ります。win out の使い方は同じ回のフレーズ記事で扱っているので、ここでは「最後には勝つ」という意味の確認に留めます。
注目したいのは nice guys can finish first です。英語には nice guys finish last(いい人は損をする、ビリになる)という決まり文句があるとよく言われます。フィルはこれを裏返し、「いいやつだって一番になれる」と言い切っています。
- A: Kids, gather ‘round. Let me tell you something.
(みんな、集まって。ちょっと聞いてほしいことがあるんだ。) - B: We’re already here, Dad.
(もうここにいるよ、パパ。)
「nice guys finish last」への反転と3回目の教訓
ところがフィルは、ミッツィに物件を取られたと家族に伝えます。「She cheated, she lied, and she won.」(ずるをして、嘘をついて、勝ったんだ)と言ったあと、また子どもたちを集めます。
Phil: Kids, gather ‘round.
(子どもたち、集まって。)Haley: Again, we are gathered.
(だから、もう集まってるってば。)Phil: You wanna get ahead? Don’t play by the rules.
(出世したいか? ルールどおりにやるな。)Phil: Turns out nice guys finish last in this cold, dog-eat-dog world.
(この冷たい弱肉強食の世界じゃ、結局いいやつはビリになるってわけさ。)Luke: It’s not fair.
(ずるいよ。)Luke: Why don’t you play dirty, too? You could take her down.
(パパも汚い手を使えばいいじゃん。あの人をやっつけられるよ。)Claire: Honey, ‘cause your dad is a better man than that.
(あのね、パパはそんなことをする人じゃないからよ。)Modern Family Season3 Episode18 (Send Out the Clowns)
1回目と同じ呼びかけに、ヘイリーは Again を足して返します。2回目は、1回目の教訓とは反対に nice guys finish last と決まり文句をそのまま使います。play by the rules(ルールに従う)と play dirty(汚い手を使う)は対になる言い方で、dog-eat-dog world は「食うか食われるかの世界」を表します。文頭の Turns out ~ は It turns out ~ の It が落ちた形で、「結局〜だと分かった」と、予想と違う結果を認めるときに使われます。
ルークの Why don’t you ~? は「〜すればいいじゃん」という提案の形で、take someone down は「(相手を)打ち負かす」という意味です。クレアが「パパはそんなことをする人じゃない」と止めかけると、フィルは Shh. で制し、ルークには Keep talking.(続けて)と先を促します。
3回目は、ミッツィが物件を譲ると言って帰った直後です。
Phil: Kids, gather ‘round!
(子どもたち、集まって!)Haley: We are right here!
(ここにいるってば!)Phil: Oh.
(おっと。)Phil: Let me tell you something– people are fundamentally good.
(いいかい、人は根っこのところでは善良なんだ。)Phil: The key is, you find that goodness deep within ‘em.
(大事なのは、その善良さを心の奥に見つけること。)Phil: Twist it, and turn it to your advantage.
(それをひねって、自分に有利に使うんだ。)Modern Family Season3 Episode18 (Send Out the Clowns)
ヘイリーの返しは Aren’t we already gathered? から Again, we are gathered.、We are right here! と、回を追うごとに強くなるのが分かります。turn ~ to your advantage は「〜を自分に有利に使う」という言い回しです。「人は善良だ」という前半が、最後の一文で「それを利用しろ」に変わるところが面白いところです。この教訓のあとには、ルークとフィルがミッツィへの声かけを前もって打ち合わせていた場面が続きます。
- A: Nice guys finish last, right?
(いい人は損をするって言うよね?) - B: Not always. Sometimes they finish first.
(いつもじゃないよ。一番になることだってある。)
まとめ|3回の教訓で入れ替わる決まり文句
Kids, gather ‘round. と Let me tell you something. は、改まった話を切り出す言い方です。nice guys finish last を裏返したり、そのまま使ったりすることで、フィルの教訓の変化がはっきり見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の会話を観ながら、一緒に英語表現を拾っていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、物件争いのやり取りそのものや、家族のSNSをめぐる場面も取り上げました。


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