海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手の一言や態度が、思った以上に心に引っかかってしまう瞬間はありませんか。
そんな時にぴったりの「get to someone」を、『モダンファミリー』シーズン3第18話の中盤、恩師を偲ぶ集まりでミッチェルがキャメロンを気遣う場面から、一緒に見ていきましょう。
「get to someone」の意味とニュアンス
get to someone
意味:(人を)精神的に悩ませる、参らせる
get to someoneは、相手の言動が心に届いてしまい、悩ませたりイライラさせたりすることを表す表現です。get toはもともと「(物理的に)ある場所に到達する」という意味を持ちますが、対象が人になると、相手の言葉や態度が心の中まで「届いてしまう」という比喩的な意味に変わります。
特にDon’t let it get to youのように、命令文の形で使われることが多く、「それに参らされないで」「気にしすぎないで」と相手を励ます場面でよく登場します。誰かの挑発や批判に動揺しそうになっている人に向けて使われる、実用性の高い表現です。
主語には人だけでなく、状況やプレッシャーそのものを置くこともできます。誰かの一言が引き金になる場合も、長く続くストレスの積み重ねが引き金になる場合も、どちらの状況にも自然に当てはまる幅の広さを持っています。
【ここがポイント!】
- 「get to someone」の核は、相手の言動が心の奥まで届いてしまうイメージ
- Don’t let A get to youの形で、相手を励ます場面によく登場する表現
- 到達点が「場所」ではなく「心」であることを意識すると覚えやすい
『モダンファミリー』S03E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
亡き恩師アルを偲ぶクラウン仲間の集まりの場で、クラウン仲間たちに飲みに誘われたキャメロンが一緒に行くと言い出すと、ミッチェルはルイスとの再会でキャメロンの気持ちが乱されないか気にかけます。二人の短いやり取りに注目です。
Cameron: I should, you know, probably go. You know, for–for Al.
(僕、そろそろ行った方がいいと思うんだ。ほら、アルの……アルのためにも。)Mitchell: Oh, yeah, no, of course. But, hey, listen, don’t let him get to you, all right?
(ああ、うん、もちろんだよ。でもさ、聞いて、あいつに参らされないでくれよ、いいね?)Cameron: No. It’s fine. It’s all seltzer under the bridge. Just one drink, and then I’ll be home.
(ううん、大丈夫。もう水に流した――なんてね、水じゃなくて炭酸水だけど。一杯だけ飲んだら、帰るから。)Mitchell: Okay. Just drive me home first?
(わかった。とりあえず、先に僕を家まで送ってくれる?)Modern Family Season3 Episode18 (Send Out the Clowns)
シーン解説と心理考察
「そろそろ行った方がいい」と切り出すキャメロンに、ミッチェルは一度は送り出しつつも、「あいつに参らされないでくれよ」と一言付け加えます。この場には、キャメロンがかつて活動を共にしていたクラウン仲間ルイスも顔を出しており、その再会がキャメロンの気持ちにどう影響するかをミッチェルが気にかけている様子がうかがえます。
キャメロンは「もう水に流した」と気丈に答え、waterをseltzerに言い換える言葉遊びを交えながら、「一杯だけ飲んだら帰るから」と約束します。ミッチェルも「先に僕を家まで送ってくれる?」と軽く返しており、互いに相手の様子を見ながら短いやり取りを交わす二人の距離感が伝わってきます。
軽い言葉遊びを挟みながらも、キャメロンが自分から「大丈夫」と念を押すように答えているところに、相手を安心させたいという気持ちがにじんでいます。深刻になりすぎずに気持ちを伝え合う、二人らしいやり取りの形がよく表れた場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
相手の言葉が、まるで一直線に飛んできて心の奥まで到達する様子を思い浮かべてみましょう。物理的な到達が、心への到達、つまり「参らせる」という意味につながっています。
ミッチェルが「あいつに参らされないでくれよ」と声をかけたように、心配な相手に向けてこの表現を使う時は、届いてほしくない言葉が届いてしまわないように、という気遣いが込められています。届く先が場所ではなく心である、というイメージを持っておくと、とっさの場面でも使いやすくなります。
心という目的地に何かが届いてしまうかどうかは、本人の受け止め方次第でもあります。だからこそDon’t let it get to youという言い方には、「届かせるかどうかはあなた次第だよ」という、相手の気持ちを後押しするニュアンスも一緒に含まれています。
例文で覚える「get to someone」
get to someoneは、相手を励ましたり、自分の心情を語ったりする場面で幅広く使われます。3つの例文で確認していきましょう。
Don’t let their criticism get to you.
(彼らの批判に参らされないで。)
落ち込んでいる友人を励ます場面で使われる、定番の言い回しです。Don’t let A get to youの形はそのまま覚えておくと便利です。
After weeks of trash talk, the pressure finally got to him.
(何週間もの挑発の末、そのプレッシャーがついに彼を参らせた。)
対戦相手からの挑発が続いた末の様子を語る場面です。finallyを添えることで、じわじわと積み重なった末の心情が伝わります。
A: You okay? You seem upset.
B: Yeah, his comment kind of got to me.
(A:大丈夫? 落ち込んでるみたいだけど。)
(B:うん、彼のコメントがちょっと堪えたんだ。)
友人同士の会話です。kind ofを添えることで、深刻すぎない程度に心が揺れたことを柔らかく伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
get under someone’s skin
((人を)いらだたせる、神経を逆なでする)
get to someoneと近い意味を持ちますが、より「しつこく苛立たせる」というニュアンスが強い表現です。
wear someone down
((人を)徐々に疲弊させる、根負けさせる)
get to someoneが感情的な動揺を指すのに対し、wear someone downは持続的な消耗を強調する表現です。
rattle someone
((人を)動揺させる、慌てさせる)
get to someoneよりも急な動揺や狼狽を表すニュアンスが強く、突発的な出来事に対して使われることが多い表現です。
Note|「到達する」から「参らせる」へ、get toの意味の転じ方
get toという句そのものは、本来「(場所や状態に)到達する」という物理的な意味を持つ表現です。
get to the airportやget to a conclusionのように、目的語が場所や結果である場合は、素直に「たどり着く」という訳が当てはまります。ところが目的語が人になった途端、意味合いが大きく変わります。get to someoneでは、相手の言動という抽象的なものが、その人の心という目的地に到達すると捉え直され、結果として「悩ませる、参らせる」という比喩的な意味が生まれます。同じget toという形でありながら、目的語が物や場所か、人かによって訳語がまったく異なるという点は、英語の句動詞を学ぶうえで押さえておきたいポイントです。
ミッチェルの「あいつに参らされないでくれよ」という一言も、まさにこの転じ方を体現した使い方でした。物理的な到達点の話ではなく、キャメロンの心が揺さぶられないようにという気遣いが、この一言に込められています。
似たような転じ方をする句動詞は他にもあります。get throughも本来は「通り抜ける」という物理的な意味を持ちますが、get through to someoneのように人を目的語にすると「(説明などが)相手にきちんと伝わる」という意味に変わります。目的語が人になった途端に意味が心の領域へ移る、という共通のパターンを知っておくと、初めて見る句動詞に出会った時も意味を推測しやすくなります。
こうしたパターンに気づけると、辞書を引かなくても文脈から意味を推測できる場面が増えていきます。物理的な移動を表す句動詞に出会ったら、目的語が人に変わった時にどんな比喩的な意味になりそうか、一度考えてみるのも英語学習の面白い視点のひとつです。
まとめ|届いてほしくない言葉を、そっと押しとどめる一言
get to someoneは、相手の言動が心の奥まで届いてしまい、悩ませたり参らせたりすることを表す表現です。
Don’t let it get to youの形で使うと、動揺しそうな相手をさりげなく励ます一言になります。心配な出来事が待っている時、覚えておくと役に立つ表現です。
ルイスたちとの飲みの席に向かうキャメロンを気遣うミッチェルの短い一言には、相手の心を守ろうとするさりげない優しさが表れていました。この表現とともに、大切な人へのちょっとした気遣いの言葉として、覚えておいてみてください。


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