海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン3第19話は、クレアが立候補した町議会選挙の投票日が舞台です。家族はそれぞれ役割を分けて応援しますが、その働きぶりは言葉ほど立派ではありません。
今回は、the least という形を使った2つの言い方と、お礼を言われたときの返し方を取り上げます。「せめて〜くらい」と相手に求める言い方と、お礼に「これくらい当然」と返す言い方が、同じ話の中にそろっています。
「The least you can do is ~」で最低限を求める
フィルはこの日、投票所まで人を車で送る役を引き受けています。ところが、送り届ける相手の一人ウォルトは、クレアが停止標識の設置を求めていると聞いて、投票に後ろ向きになります。フィルはこう迫ります。
Phil: I left the house today to get 50 votes for my wife.
(俺は今日、妻のために50票集めるつもりで家を出たんだ。)Phil: I’m not going home with zero.
(ゼロで帰るわけにはいかない。)Phil: The least you can do is walk right in there and punch a hole for the woman who drags your garbage can up your driveway every Tuesday!
(毎週火曜にあんたのゴミ箱を車寄せまで引っ張り上げてくれる女性のために、せめて中に入って投票用紙に穴を開けるくらいはしてくれよ!)Walt: I don’t like it! Goes against everything I believe in.
(気に入らない!俺の信じてることに全部反するんだ。)Phil: Really? A stop sign?!
(本気?停止標識で?!)Walt: But I’ll do it, ‘cause you’re a good kid.
(だが、やってやるよ。お前はいい子だからな。)Modern Family Season3 Episode19 (Election Day)
the least は little の最上級で、「最も少ないこと」を表します。The least you can do is + 動詞の原形 は「あなたにできる最低限のことは〜だ」、つまり「せめて〜くらいはしてくれてもいいだろう」と相手に求める言い方です。is の後ろには to を付けずに動詞の原形を続ける形が多く見られます。
フィルは、ゴミ箱の件という日ごろの小さな親切を持ち出して、「それくらいのお返しはあっていい」という理屈を組み立てています。punch a hole は、ここでは投票用紙に穴を開けて票を投じることを指します。
ウォルトの返事にある Goes against everything I believe in. は同じ回のフレーズ記事で取り上げている表現なので、ここでは「信条に反する」という意味の確認に留めます。反対を口にしながらも、ウォルトは最後に I’ll do it と応じます。
- A: I drove you to the airport at 5 a.m. The least you can do is buy me lunch.
(朝5時に空港まで送ったんだから、せめてお昼くらいおごってよ。)
「It’s the least we could do.」と「Literally.」
投票日、ミッチェルとキャメロンは応援用の車で走り回りますが、途中から道行く人のポイ捨てを注意したり、店の看板の宣伝文句に言い返したりと、寄り道を続けます。
Mitchell: Okay, that was really fun, But now we gotta go back to campaigning for Claire.
(よし、すごく楽しかった。でも、そろそろクレアの選挙運動に戻らなきゃ。)Cameron: We’ve been saying that for two hours.
(それ、2時間ずっと言ってるよ。)Mitchell: Yes, but now I-I really mean it.
(そうだけど、今度は、ほ、本気だから。)Modern Family Season3 Episode19 (Election Day)
ミッチェルの I really mean it. は「今度こそ本気で言っている」と念を押す言い方ですが、キャメロンの We’ve been saying that for two hours. で、同じ言葉のくり返しだったことが明かされます。
その後、家族が集まって結果を待つ場で、クレアが一人ずつにお礼を言い始めます。
Claire: Before we get the results, I just want to thank you all for everything you’ve done for me.
(結果が出る前に、私のためにしてくれたすべてのことに、みんなにお礼を言いたいの。)Claire: Mitch and Cam, for campaigning for me all day in your little Claire-mobile.
(ミッチとキャムには、あの小さなクレア号で一日じゅう選挙運動してくれたことに。)Cameron: It’s the least we could do.
(せめてこれくらいはね。)Mitchell: Yeah.
(うん。)Cameron: Literally.
(文字どおりね。)Modern Family Season3 Episode19 (Election Day)
It’s the least I could do. は、お礼を言われたときに「これくらい当然のことです」と返す決まった言い方です。「自分にできる最低限のことをしただけ」と控えめに受け止める謙遜の表現で、I の代わりに we を使えば「私たち」からの返事になります。
ここで面白いのは、キャメロンが続けて Literally. と付け足す点です。literally は「文字どおり」という意味で、謙遜の決まり文句を「本当に最低限しかしていない」という意味に言い直しています。2時間寄り道していた先ほどの場面を踏まえると、正直な一言として響くのが分かります。
お礼への正直すぎる返事
クレアのお礼は、ほかの家族にも続きます。
Claire: And, Manny and Gloria, thank you for making all those phone calls.
(それからマニーとグロリア、たくさん電話をかけてくれてありがとう。)Claire: And, dad for all your support.
(それにパパ、いろいろ支えてくれて。)Gloria: I don’t think I convinced anyone to vote for Claire.
(私、クレアに投票するよう誰一人説得できなかったと思う。)Jay: I don’t think I even voted.
(俺なんか、投票すらしてないと思う。)Claire: And my husband who drove around I don’t know how many senior citizens today to the polls.
(それから、今日、何人ものお年寄りを投票所まで送ってくれた夫に。)Phil: One.
(1人。)Modern Family Season3 Episode19 (Election Day)
thank you for + 〜ing は「〜してくれてありがとう」と具体的な行動にお礼を言う形、for all your support は「いろいろ支えてくれたことに」とまとめてお礼を言う形です。
それに対するグロリアとジェイの返事は、どちらも I don’t think ~ で始まります。英語では否定を think の側に置くのが自然とされ、和訳では「〜しなかったと思う」となることが多い形です。お礼を受け止めずに、自分の成果をやんわり打ち消す返事です。ジェイの even は「〜すら」と程度を強める語で、支えるどころか投票さえしていないかもしれない、という告白になっています。
フィルの One. は、クレアの I don’t know how many(何人か分からないほどたくさん)に対する、ひと言の訂正です。お礼の言葉が大きいほど、短い正直な返事との落差が際立つ流れが見どころです。キャメロンの謙遜が形のうえでは礼儀正しい返しだったのに対し、こちらの3人は、お礼の中身そのものを事実で訂正する側に回ります。
まとめ|the least と正直な返事
The least you can do is ~ で相手に最低限を求めるフィルと、It’s the least we could do. の直後に Literally. と付け足すキャメロン。お礼への返しには、謙遜の決まり文句から I don’t think I even ~ のような正直な打ち消しまで幅があります。
次回も『モダンファミリー』と一緒に、家族の会話から英語表現を拾っていきましょう。
この回のほかのコラムやフレーズ記事でも、投票日をめぐる英語を取り上げています。


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