海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第9話では、昔のパズルをめぐって、アレックスとルークが言い合いを始めます。そこへ割って入り、2人の言い分を一つずつ整理していくのが、長女のヘイリーです。
どちらも「やめなさい」と訳せそうな Break it up と calm down ですが、止めたいものが少しずつ違います。からかい合いの始まりから仲裁の言葉まで、3人のやりとりを順に追いながら使い分けを見ていきます。
「Who cares?」と「That must eat away at you.」で始まるからかい合い
きっかけは、昔のおもちゃの中から出てきたパズルです。ルークは、自分は解けたのにアレックスは解けなかったパズルだと言って持ち出します。
Alex: Who cares? We were just dumb kids.
(どうでもいいでしょ。みんなただのおバカな子どもだったんだから。)
Haley: Uh, no.
(いや、違うし。)
Haley: We were dumb kids, and you were the genius.
(おバカな子どもだったのは私たちで、あんたは天才だったじゃん。)
Haley: That must eat away at you.
(それって、ずっと悔しくてたまらないんじゃない?)
Alex: Please.
(よしてよ。)
Alex: I’m top of my class at a prestigious university, and I co-invented a technology that has applications to astrophysics and medicine.
(私は名門大学で学年トップだし、天体物理学にも医学にも応用できる技術を共同で発明したんだよ。)
Modern Family Season10 Episode9 (Putting Down Roots)
Who cares? は「誰が気にするの」という反語で、「どうでもいい」と受け流すときの決まり文句です。アレックスは We were just ~(ただの〜だった)と続け、昔のことだからと話を小さくしようとします。
ところがヘイリーは Uh, no. と否定し、主語を we と you に分けて「おバカだったのは私たちのほう」と言い直します。eat away at ~ は「〜を少しずつむしばむ」という句動詞で、That must eat away at you. は「それ、ずっと気になって仕方ないでしょう」と相手の悔しさを言い当てるからかいになります。助動詞 must が「きっとそうに違いない」という決めつけを加えているため、言われた側は反論したくなる響きがあります。
アレックスが Please.(よしてよ)と返して自分の実績を並べるところまでが、からかいへの強がりとして読み取れます。このあとパズルをめぐって、言い合いはさらに大きくなっていきます。
「Break it up」で止め、「calm down」で落ち着かせる
言い合いになっているところへ、ヘイリーが入ってきます。
Haley: Break it up.
(はい、そこまで。)
Alex: Luke’s not playing fair.
(ルークがずるいんだよ。)
Haley: Yeah, well, you make him feel dumb, and he acts like it doesn’t bother him, but it does.
(まあね。でもあんたがルークに自分はバカだって思わせてるの。平気なふりしてるけど、本当は気にしてるんだから。)
Haley: And, Luke, you know better than to mess with someone so uptight.
(それにルーク、こんなにピリピリしてる人にちょっかい出しちゃだめなことくらい、わかってるでしょ。)
Haley: What do we always say?
(いつも何て言ってる?)
Luke: Don’t break Alex.
(アレックスを壊すな。)
Luke: She’s our safety net.
(僕たちの命綱だから。)
Haley: Now, you both need to calm down.
(さあ、2人とも落ち着いて。)
Modern Family Season10 Episode9 (Putting Down Roots)
Break it up. は、もみ合いや口論をしている人たちに「そこまで」「離れて」と割って入るときの言い方です。break up には「解散させる」「ばらばらにする」の意味があり、ぶつかり合っている2人を引き離す感覚がもとになっています。一方、ヘイリーが最後に言う calm down は「落ち着く」で、気持ちの高ぶりそのものを静めるよう促す言い方です。
| 表現 | 止めたいもの | 場面の例 |
|---|---|---|
| Break it up. | 目の前のけんか・もみ合い | 割って入った直後のひと言 |
| Calm down. | 怒りや興奮などの気持ち | 動きを止めたあとに落ち着かせる |
ヘイリーは、まず Break it up. で言い合いを止め、双方に言い聞かせたあとで calm down と気持ちを静めさせます。この順番は、仲裁の手順としてそのまま参考にできます。いきなり「落ち着いて」と言うより、先に動きを止めてから気持ちに向き合うほうが、言われた側も受け止めやすい流れになります。なお、直後に続く walk it off は、気持ちを散らすために少し歩いてくるよう促す言い方で、この流れの締めくくりにあたります。
「not playing fair」「you know better than to」と「patch things up」
仲裁の中身にも、使い回しやすい表現がそろっています。アレックスの not playing fair は「正々堂々としていない」「ずるい」で、ゲームや勝負に限らず、やり方が汚いと訴えるときに使えます。
ヘイリーはアレックスの訴えをそのまま受け取らず、まずアレックスに you make him feel dumb(あんたが彼にバカだと思わせている)と原因を示します。
make someone feel ~ は「人に〜な気持ちにさせる」で、acts like it doesn’t bother him, but it does と続けて、平気なふりの裏にある本音まで代弁します。次にルークへは you know better than to ~ を使います。これは「〜しないだけの分別はあるはず」という意味で、相手を頭ごなしに責めずに、たしなめるときの定番の形です。
双方の言い分を一つずつ受け止める仲裁ぶりは、このあとの場面でルークの言葉にも表れます。
Luke: You’re the kind of person that can patch things up if, say, Alex ever found out that I re-arranged the stickers on her Rubik’s Cube.
(お姉ちゃんは、たとえば僕がアレックスのルービックキューブのシールを貼り替えてたってアレックスにバレても、ちゃんと丸く収められる人なんだよ。)
Modern Family Season10 Episode9 (Putting Down Roots)
patch things up は「(関係を)修復する」「仲直りさせる」で、布の穴に当て布(patch)をするイメージから来ています。ルークは if, say, ~(たとえば〜としたら)という仮定の形を使い、自分のいたずらをさりげなく打ち明けます。
まとめ|止める・静める・たしなめる英語
Break it up で言い合いを止め、calm down で気持ちを静め、not playing fair や you know better than to ~ で言い分を整理し、patch things up で仲直りを語る流れを見てきました。仲裁の場面で使える英語がひとまとまりになっています。
次回も『モダンファミリー』の家族のやりとりから、英語を一緒に学んでいきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、昔の約束を持ち出す英語や、落ち込む相手を思い出で励ます英語も扱っています。


コメント