海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第15話は、スーパーボウルの日の物語です。ジェイとキャメロンは、去年交わしたチリ作りの約束を、2人とも相手が忘れたと思い込んだまま一日を過ごします。
約束を忘れられたと感じたとき、正面から責めずに相手に思い出してほしい場面は、日常にも意外と多くあります。2人の遠回しなやりとりから、念を押す英語と、最後にすれ違いを解く英語を順に見ていきます。
「Promises were made.」は、誰が約束したかを言わずに念を押す
スーパーボウルの日、ジェイはキャメロンに自慢のチリを勧めます。キャメロンは I didn’t know you made chili. と、知らないふりで返します。そのうえで、本当はよく覚えていると振り返ります。
Cameron: We talked about it last year on this very day.
(去年のまさに今日、その話をしたんだ。)
Cameron: Promises were made.
(約束は交わされたんだよ。)
Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)
Promises were made. は受け身の文で、「誰が」約束したのかをあえて言いません。He promised me. と言えば相手を名指しで責める形になりますが、受け身にすると事実だけを置いて、相手に気づかせる響きになります。on this very day の very は「まさにその」と日付を強調する語で、「ほかでもない今日」という含みが加わります。
キャメロンが思い出しているのは、去年の同じ日のジェイの言葉です。
Jay: Next year, I’m getting you your own football chair and you’re gonna help me make my famous chili.
(来年はお前専用のフットボール観戦チェアを用意してやる。で、俺の自慢のチリ作りを手伝ってもらうぞ。)
Jay: 5:00 a.m.
(朝5時だ。)
Jay: Be there or be square.
(来なきゃ野暮だぞ。)
Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)
Be there or be square. は、there と square の韻を利用した誘いの決まり文句です。square は「堅物、野暮な人」を指す古めの俗語で、「来ないやつは野暮」と冗談めかして参加を促す響きがあります。約束の時刻まで添えたこの一言が、キャメロンには大事な約束として残っていたことが読み取れます。
「a little forgettable」と「jog his memory」で、相手に思い出させる
当日、キャメロンは夜明け前にジェイの家へ行き、携帯に電話をかけます。ところが電話に出たジェイの反応を見て、こう受け止めます。
Cameron: He had no idea why I was calling.
(ジェイは僕がなぜ電話したのか、まるで分かってなかった。)
Cameron: Clearly promises made didn’t mean as much to him.
(交わした約束なんて、彼にはその程度の意味しかなかったってことさ。)
Cameron: But I couldn’t let him know that.
(でも、それを悟られるわけにはいかなかった。)
Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)
ここでも promises made(交わされた約束)と、主語を立てない形が使われます。let him know that は「相手にそれを知らせる」で、否定の couldn’t と組むと「傷ついたことを見せられない」という強がりになります。キャメロンはその場では用件をごまかします。
その後、ジェイが My famous chili has been simmering since 5:00 a.m. と口にすると、キャメロンは famous に対して a little forgettable(ちょっと印象に残らない)と返します。famous と forgettable を並べた当てこすりです。一方のジェイは、自分の側の本音をこう明かします。
Jay: He’d hurt me deeply.
(あいつには深く傷つけられた。)
Jay: I kept mentioning chili ‘cause, you know, I was trying to jog his memory, ‘cause we were supposed to make it together.
(チリの話を何度も出したのは、ほら、あいつに思い出させようとしてたからだ。一緒に作るはずだったからな。)
Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)
jog someone’s memory は「(きっかけを与えて)人の記憶を呼び起こす」という句です。jog は「軽く揺する、つつく」の意味で、記憶を軽くつついて起こすイメージで覚えられます。ジェイもまた、キャメロンが去年の約束を忘れるのではと心配していたと明かします。
「I thought you forgot.」で、思い込みをほどく
マニーの映画が流れるなか、ジェイは chili という語に反応し、ついに正面から切り出します。
Jay: We were supposed to cook together this morning, Cam.
(今朝は一緒に料理するはずだったろ、キャム。)
Jay: I waited for you.
(お前を待ってたんだぞ。)
Cameron: But I was there on your front porch with flours.
(でも僕は、粉を持ってジェイの家の玄関先にいたんだよ。)
Jay: You remembered the thickeners?
(とろみ用の粉、覚えてたのか?)
Cameron: Of course I did.
(もちろんさ。)
Cameron: I thought you forgot.
(ジェイが忘れたんだと思ってた。)
Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)
We were supposed to ~ は「〜するはずだった」で、果たされなかった予定を相手に示す基本形です。遠回しな言い方を重ねてきた2人が、最後は I waited for you. と I thought you forgot. という短い直接の言葉で誤解を解きます。どちらも相手を責める言葉ではなく、自分がどう受け止めていたかを伝える形です。
I thought you forgot. の thought は「(実際とは違って)そう思い込んでいた」という過去の思い込みを示します。相手が覚えていたと分かった場面で、自分の誤解を認める一言として使えます。
ジェイの You remembered the thickeners? も、疑問文の語順を取らずに平叙文の語尾を上げるだけの聞き方です。驚きや意外さをそのまま乗せられるので、「覚えてたの?」と確かめる場面で自然に使えます。
このあとジェイが I have an identical one for you! と、キャメロンの分のおそろいもあると伝え、2人のすれ違いはここで解けます。遠回しな念押しは角が立ちにくい反面、互いに気づかないまま続くこともあると分かります。
まとめ|遠回しに念を押す英語、まっすぐ伝える英語
受け身の Promises were made.、当てこすりの a little forgettable、思い出させる jog someone’s memory、そして誤解を解く I thought you forgot. を見てきました。念を押す言い方と、まっすぐ伝える言い方の使い分けが見えてきます。
ジェイとキャメロンのすれ違いを観ながら、言葉の選び方を比べてみるのも『モダンファミリー』の楽しみ方です。
同じ回のほかのコラムでは、謝ったのに許してもらえなかったときの英語や、安全策か挑戦かで迷う相手にかける英語も取り上げています。


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