「against one’s better judgment」の意味と使い方|『モダンファミリー』S10E15で学ぶ英会話

「against one's better judgment」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

頭では「やめておいたほうがいい」と分かっているのに、結局その頼みを引き受けてしまった、ということがあります。

そんな「分かっていながら」の気持ちを表す「against one’s better judgment」を、『モダンファミリー』シーズン10第15話の前半、フィルとあいさつを交わしたあと、カメラに向かって語るマニーの一言から、一緒に見ていきましょう。

目次

「against one’s better judgment」の意味とニュアンス

against one’s better judgment
意味:(自分の)分別に反して、やめたほうがいいと思いつつ

against one’s better judgmentは、自分の中に「やめるべきだ」という判断がありながら、あえてそれに逆らって行動するときの表現です。againstは「〜に反して」、better judgmentは「より良い判断、本来の分別」を表し、全体で「自分の分別に逆らって」という意味になります。

見出しの形はone’sが入ったagainst one’s better judgmentですが、劇中ではAgainst my better judgmentの形で登場します。one’sは主語に合わせて入れ替わる部分で、Iならmy、heならhis、sheならherとなります。文頭の大文字は、文の最初に置いたためです。

置く位置は、2通りあります。Against my better judgment, I wrote a part for Phil.のように文頭に置いて、「気は進まなかったけれど〜した」と前置きする形が、この場面の形です。文の最後に回して、I did it against my better judgment.のように言うこともできます。どちらも、中身は「分別に反してやった」という同じ内容です。

この表現が示すのは、行動した時点で、すでに迷いや引っかかりがあったということです。「やめたほうがいい」という判断が自分の中にあったのに、それでも進んだ、という二重の状態が含まれています。引き受けた人の迷いが言葉ににじむため、頼みごとや買い物、約束などを振り返って語る場面で使えます。

動詞は決まっていないので、lend(貸す)、agree(同意する)、buy(買う)、tell(話す)など、さまざまな行動と組み合わせられます。マニーはwrote a part(役を書いた)と組み合わせました。

日本語にするときは、「やめたほうがいいと思いつつ」「気は進まないけれど」「分別に反して」のように、場面の温度に合わせて訳し分けます。くだけた会話なら「本当はやめておくべきだったんだけど」といった言い方も合います。

【ここがポイント!】

  • 「against one’s better judgment」の核は、やめるべきだという自分の判断に逆らって動くこと
  • one’sは主語に合わせてmy、his、herなどに変わる
  • 文頭に置いて前置きにする形と、文末に回す形の2通りがある

『モダンファミリー』S10E15のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

マニーとフィルが名前を呼び合って短いあいさつを交わしたあと、マニーはカメラに向かって、フィルのことを語り始めます。語りの中で、新作映画にフィルの役を書いたいきさつが明かされていきます。

Manny: Hello, Phillip.
(こんにちは、フィリップ。)

Phil: Hello, Manuel.
(こんにちは、マヌエル。)

Manny: Against my better judgment, I wrote a part for Phil in my new movie. Things got heated, words were exchanged, which is surprising, considering he had a mouthful of scenery. Actors.
(気は進まなかったけど、僕の新作映画にフィルの役を書いたんだ。熱くなって、言葉も飛び交った。意外だよね、あの人は口いっぱいに背景のセットをほおばっていた(=大げさに演技していた)はずなのに。役者ってやつは。)

Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)

シーン解説と心理考察

最初の2つの発言は、短い呼びかけの交換です。マニーはフィルをPhillipと呼び、フィルはマニーをManuelと呼んで返します。どちらも普段の呼び名より長い形の名前で、会話の始まりに添えられています。

その後のマニーの発言は、フィルに向けた言葉ではありません。フィルのことを三人称のPhilで言い表していて、見ている人に向けて事情を語る形になっています。ここで出てくるのがAgainst my better judgmentです。「フィルの役を書いた」という事実を述べる前に、この前置きを置いて、自分でも気が進まなかったことをまず伝えています。

そのあとのThings got heated, words were exchanged.は、「熱くなって、言葉が飛び交った」という流れです。続くwhich is surprising, considering he had a mouthful of scenery.は、言葉遊びを含んだ一文です。mouthful of sceneryは「口いっぱいの背景セット」という字面で、「大げさに演技する」という言い回しを踏まえています。口がいっぱいなのに言葉が飛び交ったのは意外だ、という冗談です。

最後にActors.とひとことだけ添えて、話を締めます。単語1つの短い文ですが、役者という人たちをひとまとめにして語る言い方で、フィルの話の結びになっています。気は進まないまま役を書いたという前置きから、この最後の1語まで、マニーの語りは一続きの流れになっています。

『モダンファミリー』流・覚え方のコツ

自分の頭の中に、賢い自分がもう1人いる様子を頭に描いてみましょう。その賢い自分が「そっちには行くな」と止めているのに、体のほうは別の方向へ進んでしまいます。止める声(better judgment)に逆らって(against)進む、という絵です。

マニーの語りは、この絵をそのまま言葉にしたものです。フィルの役を書いたことは、マニー自身の分別に反する選択だった、とこの表現が最初に断っています。「分かっていたのにやった」という場面を思い出したら、そのまま当てはめられる形です。

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例文で覚える「against one’s better judgment」

against one’s better judgmentは、お金、仕事、買い物など、迷いながら行動した場面で使えます。日常、仕事、往復会話と、使いどころの違う3つの例文を見ていきましょう。

Against my better judgment, I lent him money again.
(やめておくべきだと思いつつ、また彼にお金を貸してしまいました。)
断るべきだった頼みを引き受けた場面です。文頭に置いた形で、マニーの発言と同じ位置です。

She agreed to the plan against her better judgment.
(彼女は気が進まないまま、その計画に同意しました。)
納得しきれないまま同意した場面です。主語がsheなので、one’sの部分がherに変わり、文の最後に置いています。

A: Why did you buy it?
B: Against my better judgment, I let the salesperson talk me into it.
(A:なんで買ったの?)
(B:やめておくべきだと分かっていたのに、店員さんの話に乗せられてしまって。)
衝動買いを振り返る会話です。let the salesperson talk me into itは、「店員の話に乗せられて、その気になった」という意味の言い方で、迷いながら押し切られた様子と合います。

あわせて覚えたい関連表現

reluctantly
(しぶしぶ、気が進まないまま)
reluctantlyは、気が進まない様子を1語で表す副詞です。against one’s better judgmentは、気が進まないだけでなく、「やめたほうがいい」という自分の判断との食い違いまで含んでいます。

against one’s will
(意思に反して、いやいや)
against one’s willは、自分の意思そのものに反することを言い、強制されて動く場面に向きます。against one’s better judgmentは、自分の意思で動いているものの、分別には反している点が異なります。

despite one’s doubts
(疑いを抱きながらも)
despite one’s doubtsは、不安や疑いがあるのに、という気持ちに焦点があります。against one’s better judgmentは、「やめるべきだ」という判断が自分の中にある点に焦点があります。

Note|better judgmentを「より良い判断」と訳さずに伝える方法

against one’s better judgmentのbetter judgmentをそのまま訳すと、「より良い判断」になります。ところが、「より良い判断に逆らって」と訳すと、何がより良いのか分からず、日本語として引っかかります。

この表現でのbetterは、「自分が行動する前から持っていた、まともなほうの判断」というニュアンスです。judgmentも、「決断」ではなく、物事の良し悪しを見極める力、つまり分別や判断力に近い語です。ですから、「本来の分別」「冷静に考えたときの判断」のように言い換えると、原文の感じがきれいに残ります。

訳し分けの目安は、言葉の硬さです。文章や説明では、「分別に反して」と書くと意味が正確に伝わります。会話なら、「本当はやめておくべきだったんだけど」「やめたほうがいいと思ったけど」のように、判断の中身を言葉にして開くほうが自然です。

マニーの発言は、会話寄りの訳が合う例です。「分別に反して、フィルの役を書いた」と訳すと硬くなりますが、「気は進まなかったけど、フィルの役を書いたんだ」とすれば、語りかける調子が出ます。どちらの訳でも、「分かっていながら進んだ」という中身は変わらないため、場面に合わせて選べます。

まとめ|分かっていながら進んだ気持ちを、前置きの一言で伝える

against one’s better judgmentは、やめたほうがいいという自分の判断に逆らって、あえて行動することを表す表現です。

one’sは主語に合わせて変わり、文頭に置けば前置きに、文末に置けば後づけの説明になります。reluctantlyやagainst one’s willと並べて整理すると、気が進まない様子、強制、分別との食い違いと、似た意味の違いをつかめます。

マニーは、フィルの役を書いたいきさつを話す前に、この表現で「自分でも気が進まなかった」と断りました。判断に逆らった事実を最初に置いたことで、そのあとの熱くなった出来事の語りまで、気の進まなかった話として一続きに聞こえます。

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