海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
人の名前や約束の日付、バッグの持ち主など、似たもの同士をうっかり取り違えて、あとから「違った」と気づくことは、誰にでも起こります。
その取り違えを表す「mix up」を、『モダンファミリー』シーズン10第15話の前半、母のクレアの話に切り込むアレックスの一言から、一緒に見ていきましょう。
「mix up」の意味とニュアンス
mix up
意味:(AとBを)取り違える、混同する
mix upは、別々のものを取り違えたり、ごちゃ混ぜにして区別がつかなくなったりすることを表す動詞表現です。mixは「混ぜる」、upは動作をやり切る感じを足す語で、混ぜた結果どちらがどちらか分からなくなる様子が、「取り違える、混同する」という意味につながっています。
見出しの形はmix upですが、劇中ではmixing upの形で登場します。I think you’re mixing up ~のように、「〜と思う」という文の中で進行形になっているだけで、意味はmix upと変わりません。主語が三人称ならmixes up、過去ならmixed upと、普通の動詞と同じように形が変わります。
代表的な形はmix up A with Bで、「AをBと取り違える」という意味になります。取り違えた相手を、withのあとに置くのがポイントです。たとえばmix up Tom with his brotherなら、「トムを弟と取り違える」になります。
目的語の置き場所には、少し決まりがあります。名詞のときは、mix up the namesのようにupの後ろに置いても、mix the names upのように間に挟んでも言えます。ところが代名詞のときは、mix them upのように、mixとupの間に置きます。mix up themという形にはなりません。
動詞のほかに、名詞と形容詞の形もあります。ハイフンでつないだmix-upは「取り違え、手違い」という名詞で、a mix-up at the hotel(ホテルでの手違い)のように使います。形容詞のmixed upは「混乱している」という意味でも使え、I’m all mixed up.(頭の中がごちゃごちゃだ)のように、気持ちの整理がつかない状態にも広げられます。
使う場面は、名前、日付、場所の取り違えから、荷物や予約の手違い、似た言葉の混同まで、「別のものと間違える」場面全般です。単に「間違える」と訳すより、「AとBを取り違える」「混同する」と訳すほうが、2つのものが入れ替わる感じに合います。
【ここがポイント!】
- 「mix up」の核は、2つのものが入れ替わって区別がつかなくなること
- 取り違えた相手はwithで示し、mix up A with Bの形で使う
- 目的語が代名詞なら、mix them upのようにmixとupの間に置く
『モダンファミリー』S10E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ベビーシャワーのためにお酒を作っているというクレアの話に、アレックスが口を挟む場面です。アレックスがクレアの言葉の中にある取り違えを指摘し、クレアがそれに自分の経験で応じる、という流れに注目です。
Claire: I’m making White Russians for the baby show-ahhh. A little liquid courage makes all the naughty games better.
(ベビーシャワーのために、ホワイト・ルシアンを作ってるの。ちょっとお酒の勢いがあれば、いたずらっぽいゲームが全部もっと盛り上がるでしょ。)Alex: I think you’re mixing up baby shower with bridal shower.
(ベビーシャワーとブライダルシャワーを取り違えてると思うけど。)Claire: Well, my bridal shower did take place when I was pregnant. The cops even showed up.
(そうね、私のブライダルシャワーは、ちゃんと妊娠中にやったのよ。警官まで来たんだから。)Modern Family Season10 Episode15 (SuperShowerBabyBowl)
シーン解説と心理考察
クレアは、作っているお酒のことを話します。liquid courageは直訳すると「液体の勇気」で、お酒の力で気持ちが大きくなることを指します。クレアはその言葉を使って、お酒を用意する意味を説明しています。
そこへ入るアレックスの一言が、I think you’re mixing up baby shower with bridal shower.です。I thinkを頭につけているので、言い方としては控えめですが、中身ははっきりした指摘です。「それは別のお祝いの話では」と切り返す、アレックスらしいツッコミになっています。ここで使われているのが、mix up A with Bの形です。ベビーシャワーがA、ブライダルシャワーがBで、2つの種類のお祝いが混ざっているのでは、と言っています。
注目したいのは、クレアの返し方です。クレアは「取り違えていた」と認めるのではなく、Well, my bridal shower did take place when I was pregnant.と、自分の経験を持ち出して押し返します。didは「確かに〜した」と事実を強める働きをするので、「私のブライダルシャワーは、確かに妊娠中にやったのよ」という念押しの響きになります。続くThe cops even showed up.のevenは、「警官まで」という意外さを足す語で、話のスケールを一段大きくしています。
アレックスの指摘を受けても、自分の話を続けるクレアのペースが、この短いやり取りによく出ています。指摘する側と返す側の口ぶりが対照的で、mix upという表現がその指摘の中身を担っています。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
2つのものを大きな袋に入れて、ぐるぐるとかき混ぜ(mix)、最後に中身をぜんぶひっくり返す(up)場面を思い浮かべてみましょう。袋から出てきたときには、どちらがどちらだったのか、見分けがつかなくなっています。この「区別がつかなくなる」感じが、mix upの核です。
アレックスの言葉も、まさにこの絵に当てはまります。ベビーシャワーとブライダルシャワーという2つのお祝いが、クレアの頭の中で同じ袋に入っているのでは、という指摘です。クレアが妊娠中のブライダルシャワーを持ち出したことで、袋の中身はさらに賑やかになりました。
例文で覚える「mix up」
mix upは、人の名前から会議の日付、持ち物まで、取り違えが起きるさまざまな場面で使えます。日常、ビジネス、往復会話と、場面の違う3つの例文を確認しましょう。
I always mix up their names because they look so much alike.
(2人があまりにそっくりなので、いつも名前を取り違えてしまいます。)
似た人を区別できずにいる場面です。mix up their namesのように、名詞はupの後ろに置いています。
Sorry, I mixed up the dates. The meeting is on Thursday, not Tuesday.
(ごめんなさい、日付を取り違えていました。会議は火曜ではなく木曜です。)
予定の間違いを訂正するビジネスの場面です。過去形のmixed upにして、取り違えたことを伝えています。
A: Is this your bag?
B: No, you’re mixing it up with Emma’s.
(A:これ、あなたのバッグ?)
(B:いいえ、エマのと間違えていますよ。)
持ち物の取り違えを指摘する会話です。itは代名詞なので、mixing it up with Emma’sのように、mixingとupの間に置いています。
あわせて覚えたい関連表現
confuse A with B
(AをBと混同する)
confuse A with Bは、2つのものを同じだと思い込む点でmix upに近い表現です。confuseには「人を混乱させる」という使い方もあり、The directions confused me.(その道順で私は混乱した)のように言えます。
mistake A for B
(AをBと見間違える)
mistake A for Bは、AをBだと思い込む、一方向の見間違いを表します。mix up A with Bが2つの入れ替わりを含むのに対し、こちらはAをBだと取る見方に重点があります。
get A and B mixed up
(AとBがごちゃ混ぜになる、混同する)
get A and B mixed upは、「自分が混同してしまった」という状態に焦点があります。mix upが取り違える動作そのものを表すのに対し、こちらは取り違えた結果の状態を言います。
Note|名詞と代名詞で置き場所が変わる、mix upの目的語
mix upは「mixとupがセットの動詞」ですが、目的語を置く場所には決まりがあり、名詞と代名詞で扱いが分かれます。
目的語が名詞のときは、2通りの置き方があります。mix up the namesとmix the names upは、どちらも「名前を取り違える」という同じ意味です。言いたいことに合わせて、upの後ろに置くか、mixとupの間に挟むかを選べます。
目的語が代名詞(it、them、himなど)のときは、選べる形が1つに絞られます。mix them upのように、mixとupの間に置くのが決まりです。mix up themとは言えません。名前の話を、the namesからthemに言い換えた途端に、語順が変わる点を覚えておくと安心です。
これにwithを加えて、取り違えた相手を示すのが、mix up A with Bです。Aは目的語なので、代名詞ならmix it up with Bとなり、mix up it with Bとはなりません。アレックスのI think you’re mixing up baby shower with bridal shower.は、Aが名詞のbaby showerなので、mixing upの後ろにそのまま置かれています。もしAを代名詞にするなら、I think you’re mixing it up with bridal shower.のように、mixingとupの間にitが入る形になります。
名詞のmix-upは、ハイフンでつなぐ別の語です。動詞のmix upは2語で書き、名詞のmix-upはハイフン付きで書くと区別できます。There was a mix-up.のように、a mix-upとして「手違いがあった」と言うときに使います。
まとめ|2つのものが入れ替わる動きを、1つの動詞で
mix upは、別々のものを取り違えたり、混同したりすることを表す動詞表現です。取り違えた相手はwithで示し、mix up A with Bの形で使います。
目的語が代名詞のときはmix them upのように語順が変わり、名詞のmix-upは「手違い」という別の語として使えます。名前、日付、持ち物と、取り違えが起こる場面なら幅広く出番があります。
お酒の準備を話すクレアに、アレックスはmixing upの一言で切り込み、クレアは自分の経験で返しました。取り違えを指摘するときは、アレックスのようにI thinkを添えると、控えめに切り出せます。


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