海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ホワイトカラー』シーズン2 第15話から、互いの役を演じたピーターとニールが、その感想を言い合う場面を取り上げます。相手の仕事や立場を悪くなかったと認めるとき、英語ではどんな言葉で控えめに伝えるのか。短い往復の中に、皮肉と本音を行き来するその工夫がまとまっています。
皮肉と言い抜け、控えめに認める言い方、強調の do の順に、二人の会話を追いかけます。
「I didn’t know ~」の皮肉と、過去形で言い抜ける返し
この回では、ニールが捜査官ピーター・バークとして内部告発者の前に立ち、ピーターが泥棒ニール・キャフリーとしてスタンズラーに近づきました。スタンズラーの件が片づいた後、ピーターはニールがFBIのバッジを手にしていたことをとがめます。
Peter: I didn’t know I authorized a badge.
(バッジを許可した覚えはないがな。)
Neal: Well, I needed one. I was an FBI agent.
(まあ、必要だったからね。僕はFBI捜査官だったんだ。)White Collar Season2 Episode15 (Power Play)
I didn’t know ~ は本来「〜とは知らなかった」ですが、ここでは許可を出す立場のピーター自身が言っています。許可したかどうかは本人が一番よく分かっているはずなので、「許可した覚えはない」という皮肉として響きます。authorize は「正式に許可する」という意味です。
ニールの Well は、とがめられたことをいったん受け流す前置きです。one は a badge を指す代名詞で、同じ名詞の繰り返しを避けています。I was an FBI agent. の過去形 was は、「あの間は捜査官だった」と、役を演じていた時間に限った話として言い抜ける働きをしています。
「I admit there’s a certain ~」で、控えめに認める
過去形の was をめぐる短いやり取りを挟んで、ピーターが話の向きを変えます。
Peter: You enjoyed being me.
(俺になりきるのを楽しんだな。)
Neal: I admit there’s a certain… Allure to your profession. How about you?
(君の仕事には、ある種の……魅力があるって認めるよ。君はどう?)White Collar Season2 Episode15 (Power Play)
You enjoyed being me. は疑問文ではなく平叙文で、相手の気持ちを言い当てる形になっています。enjoy の後ろは動名詞で、being me は「俺でいること」です。
ニールの I admit (that) ~ は「〜だと認める」という意味で、認めにくいことをあえて口にするときの前置きとして使われます。a certain ~ は「ある種の、何とも言えない」という意味で、魅力の中身を具体的に言わずにぼかす働きをします。allure は人を引きつける魅力を指す、やや改まった語です。
your profession は「君の職業」で、ピーター個人ではなく捜査官という仕事そのものに魅力を認めている点が、ほめ方の控えめさにつながっています。最後の How about you? で、同じ問いを相手に返しています。
「has its charms」と、強調の do で乗る返し
問いを返されたピーターの答えがこれです。
Peter: Being Neal Caffrey has its charms.
(ニール・キャフリーでいるのも悪くない。)White Collar Season2 Episode15 (Power Play)
主語は Being Neal Caffrey という動名詞のかたまりです。have its charms は「それなりの良さがある」という意味で、its はその主語を受けています。charm は「魅力、良さ」で、この言い回しではふつう複数形の charms が使われます。手放しでほめず、「悪くない」の温度で認める言い方と言えます。
ニールが、決まりごとにとらわれない振る舞いや、心の奥の欲求に素直になることを楽しんだのかと尋ねると、ピーターは Yeah. と認めたうえで、さらに一言を重ねます。
Peter: Yeah. And I do look good in black.
(ああ。それに黒も似合うしな。)
Neal: You do.
(似合ってる。)White Collar Season2 Episode15 (Power Play)
I do look good の do は動詞を強める働きで、「実際に似合う」と自分で念を押しています。look good in + 色・服 は「〜が似合う」。ニールの You do. は You do look good in black. の look 以下を省いた短い同意です。
まとめ|控えめに認める言い方と、強調の do
I didn’t know ~ の皮肉、I admit there’s a certain ~ の控えめな肯定、has its charms の「悪くない」、そして強調の do。互いの役を演じた二人が、相手の立場を少しずつ認め合う流れが見えてきます。
役を入れ替えた二人の言葉の端々に、この回ならではの面白さが残っています。
同じ回のほかのコラムでは、入れ替わりが始まる前後の会話も扱っています。


コメント