海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン9第13話では、ミッチェルとキャメロンの家に泊まりに来ている客のマックスが、二人が取っておいた高いワインとキャビアを開けてしまいます。マックスの一言をきっかけに、二人は自分たちの「取っておく癖」を見直すことになります。
特別な日のために取っておくか、今のうちに楽しんでしまうか。この回には、その両方の考え方を言い表す英語が、夫婦の会話の中に並んでいます。
「be saving this for ~」は取っておいた理由まで伝える
ある日、キャメロンがミッチェルを呼び、二人は高いワインのボトルが空いているのを見つけます。
Cameron: Mitchell! Look!
(ミッチェル! 見て!)Mitchell: Our crazy-expensive bottle of wine? I uh, we were saving this for the perfect occasion.
(僕たちの、ものすごく高いワインが? その、完璧な機会のために取っておいたのに。)Cameron: Okay, well, he must’ve drank it after we went to bed.
(まあ、僕たちが寝たあとに飲んだに違いないね。)Cameron: Who does that? Just drinks somebody’s most expensive bottle of wine without asking?
(そんなことする? 人のいちばん高いワインを、断りもなく飲むなんて。)Modern Family Season9 Episode13 (In Your Head)
save A for B は「AをBのために取っておく」という基本の形です。過去進行形の we were saving this にすると、「取っておいていたところだった」という継続の意味が加わり、それが台なしになった残念さもにじみます。
for the perfect occasion の部分は、一般には for a special occasion(特別な機会のために)と言うことが多い形です。I’m saving this dress for a special occasion.(このワンピースは特別な日のために取ってあるの。)のように、身近な物にも使えます。
キャメロンの Who does that? は、答えを求める質問ではなく「そんなことをする人がいる?」という非難の言い方です。続く without asking で、何が問題なのかをはっきりさせています。
ミッチェルは、本人を前にしてこう伝えます。
Mitchell: Uh, first you open up our $400 bottle of wine, now it’s our $200 tin of caviar.
(えっと、まず400ドルのワインを開けて、今度は200ドルのキャビアの缶だ。)Mitchell: We were saving those.
(それ、取っておいたんだよ。)Modern Family Season9 Episode13 (In Your Head)
first ~, now … は「最初は〜、今度は…」と、困ったことが重なったときの言い方です。最後の We were saving those. は短い一文ですが、「勝手に開けないでほしかった」という気持ちを、相手を責める言葉を使わずに伝える形になっています。
「make every night special」と、それに返す「not everyone can ~」
マックスは出ていく前に、二人に自分の考えを伝えます。この記事のタイトルにした一言と、ミッチェルの返しです。
Max: I say, make every night special.
(俺に言わせれば、毎晩を特別にすればいいのさ。)Mitchell: Okay, well, that’s a that’s a fun philosophy, but not everyone can follow that, okay? ‘Cause ‘Cause we have responsibilities.
(なるほど、それは楽しい考え方だけど、誰もがそうできるわけじゃないんだよ。だって、僕たちには責任がある。)Mitchell: We have We have budgets.
(予算もあるし。)Modern Family Season9 Episode13 (In Your Head)
I say, ~ は「俺に言わせれば〜」「〜だと思うね」と、自分の意見を軽く押し出す前置きです。後ろに命令文の make every night special が続くことで、「特別な日を待つより、毎晩を特別にしよう」という持論がまっすぐに伝わってきます。make + 名詞 + 形容詞 は「〜を…にする」の形で、make it simple(簡単にする)などと同じ組み立てです。
ミッチェルの返しには、相手の考えをいったん受け止めてから反論する型が見られます。That’s a fun philosophy, but ~ は「楽しい考え方だけど〜」と前半で認め、後半で事情を述べる流れです。not everyone can ~ は「誰もが〜できるわけではない」という部分否定で、「誰も〜できない」とは意味が異なります。Not everyone can take a month off.(みんなが1か月休めるわけじゃない。)のように、現実的な事情を伝えるときに便利です。
理由の部分は we have responsibilities、We have budgets と、We have ~ を重ねて並べています。同じ形を繰り返すことで、言いよどみながらも理由を積み上げていく様子が分かります。
「defer enjoyment」と「look forward to things」
後の場面で、ミッチェルはキャメロンにこう切り出します。マックスの言葉を、二人が見直す場面です。
Mitchell: Mmm Cam, is it is it is it possible that we’re actually enjoying ourselves and and that Max was right?
(ねえキャム、もしかして、僕たち本当に楽しんでて、マックスが正しかったってこと?)Cameron: Maybe we do defer enjoyment.
(僕たち、確かに楽しみを先送りしてるのかも。)Mitchell: All those unspent frequent flyer miles, the boots that I have waited so long to wear that they’re no longer in style, the the the surfboards that we’ve never used because it just “had to be the perfect beach day”.
(使わずに貯まったマイルに、履くのを待ちすぎて流行遅れになったブーツ、それに「完璧なビーチ日和じゃなきゃ」って一度も使ってないサーフボード。)Modern Family Season9 Episode13 (In Your Head)
defer は「先に延ばす」というややかための動詞で、defer enjoyment なら「楽しみを先送りする」です。日常会話では put off を使うことも多く、defer は支払いや決定の延期など、手続きの場面でもよく見かけます。we do defer の do は動詞を強める働きで、「確かに〜している」と認める響きになります。ミッチェルが挙げる unspent は「使われていない」という形容詞で、取っておいたまま眠っている物を言い表しています。
最後の場面では、二人が思い描いていたことを実際にやってみたあとの本音が語られます。
Cameron: Yeah, but I, uh, I’m just asking, but was imagining it more fun?
(そうだね、でも、ちょっと聞くだけだけど、想像してたほうが楽しかったんじゃない?)Mitchell: Well, it was warmer.
(まあ、もっと暖かかったね。)Cameron: You know, I like looking forward to things.
(あのさ、僕は何かを楽しみに待つのが好きなんだ。)Modern Family Season9 Episode13 (In Your Head)
look forward to ~ は「〜を楽しみに待つ」で、to の後ろは名詞か動名詞になります。I like looking forward to things. は、待っている時間そのものも楽しみのうちだという考え方です。I’m just asking, but ~ は「ちょっと聞いてみるだけだけど」と、言いにくい本音を切り出すときのクッションとして働きます。最後は、開けないワインと灯さないキャンドルを買って帰ろう、という提案で二人の話は落ち着きます。
まとめ|取っておく英語、今楽しむ英語
save A for B や We were saving those. は取っておく側の言葉、make every night special は今を楽しむ側の言葉です。defer enjoyment と look forward to things まで並べると、楽しみとの付き合い方の違いが見えてきます。
『モダンファミリー』の夫婦の会話を観ながら、こうした言い回しを拾っていきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、いなくなったルークを探す家族の英語や、ヘイリーの面接での受け答えも取り上げています。


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