海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『BONES』シーズン9エピソード14では、捜査のために訪れたチェスクラブで、かつての腕前が話題になる場面があります。今回は、そこで使われる rusty と lose your edge の2つを取り上げ、「腕が落ちた」をどう言い分けるかを読み解きます。
しばらく離れていた趣味やスポーツを久しぶりにやるとき、日本語なら「腕がなまっている」「勘が鈍っている」と前置きすることがあります。英語にも同じ場面で使える決まった言い方があり、自分について言うときと、相手をほめるときとで選ぶ表現が変わるのが面白いところです。
久しぶりで腕がなまった「rusty」
チェスクラブでは、10年前のスイーツは連盟でも最年少クラスの名手だった、と紹介する声が上がります。それに続くのが、次のやり取りです。
— Ten years ago, Sweets was one of the youngest chess masters in the federation.
(10年前、スイーツは連盟でも指折りの最年少マスターだったんだ。)— Brilliant.
(見事だったよ。)— Yeah, I’m probably very rusty at this point.
(まあ、今じゃきっとかなりなまってますよ。)— Ah, I think not.
(いや、そうは思わないね。)BONES Season9 Episode14 (The Master in the Slop)
rusty はもともと「さびた」という意味の形容詞で、そこから「しばらく使っていなくて、腕や知識がなまっている」という意味でも使われます。さびた道具がうまく動かないように、ブランクのせいで本来の力が出ない、という感覚です。at this point は「今となっては」で、長く離れていたことをさりげなく添えています。
自分の腕前について言うときの I’m a little rusty.(ちょっとなまってるんだ)は、謙遜や予防線としてよく使われる言い方とされています。久しぶりのテニスや楽器、しばらく使っていない外国語にも使えます。
My French is a bit rusty.
(フランス語、少しさびついてるんだ。)
少しあとには、同じ言葉を使った短いやり取りもあります。
— You are good.
(うまいね。)— Yeah, good and rusty.
(ええ、うまいけど、なまってます。)— I’d like to be as rusty as you are.
(君くらいなまってみたいものだよ。)BONES Season9 Episode14 (The Master in the Slop)
ほめ言葉に good and rusty と半分冗談で返すと、相手が as rusty as you are と同じ語を使って打ち消す流れです。相手の謙遜をそのまま受けず、同じ単語で切り返してほめ直すのは、会話を軽やかにする返し方と言えます。
腕の切れ味を表す「lose your edge」
その後の対局のあと、ディミトリがこう声をかけ、名前を呼んでお礼が返ります。
Dimitri: You have not lost your edge, Mr. Sweets.
(腕は落ちていないね、スイーツさん。)— Thank you, Dimitri. It’s my pleasure.
(ありがとう、ディミトリ。光栄です。)BONES Season9 Episode14 (The Master in the Slop)
edge は刃物の「刃」のことで、lose one’s edge は「切れ味を失う」、つまり鋭さや強み、ほかの人より優れていた部分がなくなることを表します。have not lost your edge と否定形にすると、「相変わらず鋭い」というほめ言葉になります。
2つの違いを整理すると、次のようになります。
| 表現 | 意味 | よく使う場面 |
|---|---|---|
| rusty | ブランクで一時的になまっている | 自分について謙遜して言う |
| lose one’s edge | 鋭さ・強みそのものを失う | 他人を否定形でほめる、衰えを心配する |
rusty は「練習すれば戻る」という含みがある一方、lose one’s edge は実力の芯が鈍ることを指すため、肯定文で相手に使うと厳しく響くことがあります。そのため You haven’t lost your touch.(腕は鈍っていないね)のように、否定形でほめる形がよく使われます。自分には rusty、相手には否定形の lose your edge、と覚えておくと使い分けやすいのが分かります。
ブランクがあることを伝える言い方
腕前の話の前には、別の場面で、昔のチェスとの関わりを語る言葉も出てきます。
— I used to be a serious chess player, till college.
(大学までは本気でチェスをやってたんだ。)— Then I became a little obsessed, had to give it up.
(それでちょっとのめり込みすぎて、やめるしかなかった。)BONES Season9 Episode14 (The Master in the Slop)
used to be は「以前は〜だった(今は違う)」で、till college と時期を添えると、いつまで続けていたかが伝わります。give it up は「やめる」です。I haven’t played in years.(もう何年もやっていない)と組み合わせると、rusty の前置きとして自然につながります。
まとめ|「なまった」と「鈍った」を言い分ける英語
今回は『BONES』シーズン9エピソード14から、ブランクで腕がなまったことを伝える rusty、鋭さを失うことを表す lose your edge、昔のことを話す used to be などを読み解きました。自分には謙遜の rusty、相手には否定形の lose your edge を選ぶと、同じ「腕前」の話でも響きがずいぶん変わります。
久しぶりに何かを始めるときの一言として、チェスクラブの会話を思い出しながら観ると、言葉の選び方の違いが見えてきます。
同じ回の英語は、名前の言い間違いを正す言い方や、チェスの用語を取り上げたコラムでも扱っています。


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