海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第16話では、ジェイとマニーがワインをめぐって張り合い、どちらが詳しいかを勝負で決めることになります。ところが決着の直前、ジェイは思わぬことを言い出します。
挑発に乗って勝負を受けるときと、白熱した勝負から一歩引くときでは、使う英語ががらりと変わります。2人のやりとりを追いながら、勝負の始まりから終わらせ方までの言い方を見ていきます。
「Bring it」:挑発を受けて立つ英語
張り合いの始まりは、ジェイが気に入っているワインをマニーが評した一言です。マニーは、ワインクラブの仲間ならこう言うだろうと持ち出します。
Manny: I understand why you would like it, but… this is what my wine club friends would call “an obvious choice.”
(気に入るのは分かるけど……ワインクラブの仲間なら「ありきたりな選択」って言うやつだね。)
Jay: I get it. You haven’t developed a taste for fine wine yet.
(なるほどな。お前はまだ上等な味が分かるところまで行ってないんだ。)
Manny: Um, I hate to say it, but I probably know more about wine than you do.
(えっと、言いたくはないけど、ワインについては多分僕のほうが詳しいよ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
I hate to say it, but ~ は「言いたくはないけど」と前置きして、相手が聞きたくないことを言う形です。遠慮しているように見えて、実際には自分の言い分をはっきり言うための助走になっています。
ジェイはここで、勝負を持ちかけます。
Jay: There’s only one way to settle this… are you up for a little blind taste test?
(白黒つける方法はひとつだけだ……ちょっとした目隠しの利き比べ、受けて立つか?)
Manny: Bring it.
(望むところだよ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
settle this は「この件に決着をつける」、There’s only one way to ~ は「〜する方法はひとつしかない」と、話し合いでは終わらないことを示す言い回しです。Are you up for ~? は「〜する気はある?」と、相手の乗り気を確かめる誘い方です。
マニーの Bring it. は「かかってこい」「望むところだ」と、挑戦を受けて立つ短い返事です。Bring it on. の形でも使われ、スポーツやゲームの場面で口にされることが多い表現です。言い方によっては強気に響くので、仲のいい相手との冗談の勝負で使うのが自然です。
「spike the football」:勝ち誇る相手をたしなめる
勝負が進み、マニーが正解を出したあと、ジェイはこう言います。
Jay: You know, you don’t have to spike the football every time you get an answer right.
(なあ、正解するたびにいちいち勝ち誇らなくてもいいだろ。)
Jay: Only you could make talking about wine into something obnoxious.
(ワインの話をこんなに鼻につくものにできるのは、お前くらいだよ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
spike the football は、アメリカンフットボールで得点した選手がボールを地面にたたきつけて喜ぶしぐさから来た言い回しとされます。そこから「勝ち誇る」「これ見よがしに成功を見せつける」という意味でも使われます。You don’t have to ~ を前に置くと「そこまでしなくていい」と、相手の喜び方をたしなめる言い方になります。
every time ~ は「〜するたびに」で、一度ではなく繰り返していることを指摘しています。続く Only you could make A into B. は「AをBにできるのはお前くらいだ」と、相手を名指しして皮肉る構文です。obnoxious は「不快な」「鼻につく」で、本来は楽しいはずの話題を張り合いの道具にしてしまったことへの皮肉が込められています。
この時点では、ジェイもまだ勝負の中にいます。注意しながらも、勝負そのものをやめる気配はありません。
「Maybe we shouldn’t」:勝負を降りて、楽しさを守る
いよいよ最後の答えが明かされそうになったところで、ジェイが口を開きます。
Jay: Wait a minute.
(ちょっと待て。)
Jay: Maybe we shouldn’t.
(やめておいたほうがいいかもな。)
Jay: Before we turned this into a competition, we were both having fun, right?
(勝負にする前は、2人とも楽しんでたよな?)
Jay: We were doing something we both liked.
(2人とも好きなことをやってたんだ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
Maybe we shouldn’t. は「やめておいたほうがいいかも」と、提案の形で引く言い方です。Let’s stop. のように言い切らず maybe を付けることで、相手にも考える余地を残しています。turn this into a competition は「これを勝負事にしてしまう」で、楽しみが張り合いに変わったことを振り返っています。
Manny: It did occur to me that this whole afternoon, neither one of us checked our watch once.
(そういえば、今日の午後はずっと、2人とも一度も時計を見なかったね。)
Jay: And if we flip this over, one of us is gonna feel bad and it could ruin the thing.
(それに、これをひっくり返したら、どっちかが嫌な気分になって、せっかくのこれが台無しになるかもしれない。)
Jay: I mean, let’s face it, we don’t have a ton in common, but today I saw a little bit of me in you.
(つまりな、正直なところ、俺たちにはあまり共通点がない。でも今日は、お前の中に少し俺を見たよ。)
Jay: You can be a competitive jerk.
(お前も負けず嫌いの嫌なやつになれるんだな。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
it could ruin the thing の the thing は、2人で過ごしているこの時間そのものを指しています。let’s face it は「現実を認めよう」と、言いにくい事実を切り出す前置きです。
マニーの It did occur to me that ~ は「そういえば〜だと気づいた」と、ふと思い当たったことを伝える形です。ジェイの I saw a little bit of me in you は「お前の中に自分と似たところを見た」という意味で、直後の competitive jerk(負けず嫌いの嫌なやつ)は、その似たところを冗談めかして言い当てています。悪口の形をとりながら、相手との共通点を認める言い方です。
Bring it. が勝負に乗る合図なら、Maybe we shouldn’t. は勝ち負けより関係を選ぶ合図と言えます。
まとめ|勝負に乗る言葉、降りる言葉
I hate to say it, but で始まる挑発に Bring it. で応じ、spike the football で勝ち誇りをたしなめ、最後は Maybe we shouldn’t. で勝負を降りる流れを見てきました。乗るか降りるかを一言で示せると、張り合いの温度を調整しやすくなります。
勝ち負けより一緒に過ごす時間を選んだ二人の姿から、勝負の終わらせ方の英語も見えてきます。
この回のほかのコラムでは、住み慣れた家に別れを告げる英語や、作業を頼んだ相手に声をかける英語も扱っています。


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