海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第16話では、ミッチェルとキャメロンが長く暮らした家を出て、新しい家に移ります。荷物は運び出せても、気持ちのほうはなかなか新しい家に追いつきません。
住み慣れた場所との別れは、英語ではどんな言葉で表されるのでしょうか。物に呼びかける別れのあいさつから、新しい家になじめない気持ち、区切りをつけるための言葉まで、3つの場面に分けて見ていきます。
「Goodbye, ~」で、家の中の物に別れを告げる
最初に家との別れを口にするのはキャメロンです。家の中のあちこちに向かって、ひとつずつ声をかけていきます。
Cameron: Aww, goodbye, drawer dedicated to batteries and takeout menus.
(ああ、さよなら、電池と出前のメニュー専用の引き出し。)
Cameron: And goodbye, wall dent, from when we thought Lily was a trombone prodigy.
(それから、さよなら、壁のへこみ。リリーがトロンボーンの神童だと思ってたころのやつだ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
Goodbye, ~. は、別れる相手の名前を後ろに置く呼びかけの形です。人に向けて使うのが普通ですが、ここでは引き出しや壁のへこみが相手になっています。物を人のように呼ぶことで、その家で過ごした時間への愛着が表に出てきます。
dedicated to ~ は「〜専用の」「〜に充てられた」という意味です。どの家にもありそうな「電池と出前のメニューを入れておく引き出し」を、わざわざ名前のように呼んでいるのがキャメロンらしいところです。
2つ目の from when ~ は「〜したころの」と、その物にまつわる時期を添える形です。壁のへこみは、リリーがトロンボーンの神童だと思われていたころの名残だと分かります。思い出の中身を一言で付け足せるので、写真や古い家具を前にして This is from when we ~. と話す形にも応用できます。
「stark and cold」:新しい家になじめない気持ち
新しい家で、ミッチェルは部屋についてこう漏らします。そばにいるのはグロリアです。
Mitchell: I don’t remember this room feeling so stark and cold.
(この部屋、こんなに殺風景で冷たい感じだったっけ。)
Gloria: Luckily this is a smart house.
(運のいいことに、ここはスマートハウスなのよ。)
Gloria: Adam, warm light mode.
(アダム、暖かい照明モード。)
Adam: Initiating.
(実行します。)
Mitchell: Oh! Oh, no… no!
(あっ! ああ、だめ……だめだ!)
Mitchell: No, that just brings out the molding around the windows.
(だめだよ、それじゃ窓まわりの縁飾りが目立つだけだ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
I don’t remember ~ feeling so … は「〜がこんなに…な感じだった記憶はない」という言い方です。前に見たときとの違いを、自分の記憶の側から伝えています。stark は「飾り気がなく殺風景な」、cold はここでは温度ではなく「よそよそしい」雰囲気を表しています。
グロリアは音声アシスタントのアダムに Adam, warm light mode. と、名前で呼びかけてからモード名だけを伝えます。ところが照明を変えても、ミッチェルは bring out(〜を際立たせる)を使って、かえって気になる所が目立つと返します。部屋の明るさではなく、気持ちのほうがまだ追いついていない様子が伝わってきます。
別の場面で、ミッチェルはキャメロンに不安を打ち明けます。
Mitchell: Did we just make a huge mistake?
(僕たち、とんでもない間違いをしたのかな?)
Cameron: Mitchell, you know you hate change.
(ミッチェル、君は変化が大嫌いだろ。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
Did we just ~? の just は「たった今」で、決めたばかりのことを振り返る響きになります。キャメロンの you know ~ は「自分でも分かってるだろ」と、相手の性格を思い出させる返し方です。
「It’s not you, it’s me」で、家に区切りをつける
グロリアはミッチェルに、出ていく家ときちんと別れるよう勧めます。
Gloria: Now, say goodbye to the house.
(さあ、この家にさよならを言うのよ。)
Gloria: Tell it how much it meant to you.
(あなたにとってどれだけ大切な家だったか、伝えてあげて。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
mean to ~ は「〜にとって大切である」という意味で、how much it meant to you は「それがどれほど大切だったか」です。家を it で受けて、人に話すように語りかけるよう促しています。
ミッチェルは家に向かって、こう切り出します。
Mitchell: I-I-I feel like, um, I have to say something.
(ぼ、ぼ、僕、その、言わなきゃいけないことがある気がするんだ。)
Mitchell: It’s not you. It’s… It’s me.
(君のせいじゃない。その……僕のせいなんだ。)
Mitchell: I just, um…
(ただ、その……)
Mitchell: I need more space.
(もっとスペースが必要なんだ。)
Mitchell: But we could still remember the good times.
(でも、楽しかった日々のことは、これからも思い出せるよ。)
Mitchell: Um, like… like when I first moved in and all I had was that boombox.
(ほら、えっと……僕が越してきたばかりで、持ってたのがあのラジカセだけだったころとか。)
Modern Family Season11 Episode16 (I’m Going to Miss This)
切り出しの I have to say something. は「言っておかなきゃいけないことがある」と、大事な話の前置きとして使われます。I feel like を前に付けると「〜な気がする」と少し遠回しになり、言いよどみと合わせて切り出しにくさが表れています。
続く It’s not you, it’s me. と I need more space. は、別れを切り出すときの決まり文句として知られる言い回しです。相手を責めずに離れたいことを伝える形で、ミッチェルはそれを家に向けて使っています。space は別れ話では「距離・自分の時間」を指しますが、相手が家なので文字どおりの「空間」にも聞こえる言い方になっています。
最後の we could still remember the good times は、離れても思い出は残ると伝える締めの一言です。越してきたころの話を添えることで、この家が長い時間を過ごした場所だったと分かります。
まとめ|場所に別れを告げる英語
Goodbye, ~ で物に呼びかける別れ、stark and cold で表すなじめなさ、say goodbye to ~ と It’s not you, it’s me で区切りをつける言葉を見てきました。人だけでなく場所との別れも、英語では呼びかけの形で言い表せます。
住み慣れた家を出る二人の姿から、引っ越しの前後に揺れる気持ちを伝える英語が見えてきます。
この回のほかのコラムでは、張り合いを受けて立つ・引く英語や、作業を頼んだ相手に声をかける英語も取り上げています。


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