海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン11第15話で、アレックスは勤め先のブースを担当するため、かつて4年間を過ごした大学の就職フェアに出向きます。そこに現れたアーヴィンとの会話は、やがて新しい仕事の話へと進んでいきます。
仕事の誘いに乗るとき、給料の条件をどう切り出すかは悩ましいところです。言い返しから一転して条件を出すアレックスの言葉を、3つの場面に分けてたどります。
勤め先を批判されたときに言い返す英語
就職フェアの会場で、アレックスは勤め先への抗議の声を浴びます。そこへ現れたアーヴィンが、アレックスにこう尋ねます。
Arvin: They’re not fans of your employer?
(君の勤め先は、あまり好かれてないみたいだね?)
Alex: Which is so unfair!
(ほんと不公平よ!)
Alex: I’m doing very advanced research that could have far-reaching implications.
(私、すごく先進的な研究をしてるのよ。大きな影響を及ぼすかもしれないのに。)
Modern Family Season11 Episode15 (Baby Steps)
be not a fan of ~ は「〜があまり好きではない」をやわらかく言う口語です。hate のような強い語を避けつつ、好意を持たれていないことを伝えられます。アーヴィンはこれを疑問文の形で投げかけ、状況を確かめるように話しかけています。
アレックスの Which is so unfair! の which は、相手の言ったことを受けて「それって」とつなぐ関係代名詞の用法です。相手の発言にそのまま続けて自分の評価を述べる、会話ならではの返し方と言えます。
続く far-reaching implications は「広範囲に及ぶ影響」を意味し、研究や政策の重要性を語る場面で使われることが多い表現です。could have で可能性を示しているため、「大きな影響を及ぼしうる」という控えめな主張になります。自分の仕事の価値を説明したいときは、My work could have a real impact on ~ のように言い換えることもできます。
「I don’t need your approval」から誘いの話へ
別の場面でのアーヴィンとのやりとりの中で、アレックスは自分の仕事について、こう言い切ります。
Alex: You know what? I hate to say it, but I don’t need your approval, because I love what I do.
(あのね。言いたくはないけど、あなたに認めてもらう必要なんてないの。自分の仕事が大好きだから。)
Arvin: Ah. Well, I am sorry to hear that.
(ああ。そうか、それは残念だ。)
Alex: Don’t be.
(残念がらなくていいわ。)
Arvin: I’m sorry because I am assembling a research team to create A.I. capable of everything from discovering exoplanets in deep space to biomarkers of disease in humans.
(残念なのはね、深宇宙の太陽系外惑星の発見から人間の病気のバイオマーカーまで、何でもこなせるAIを作る研究チームを、今まさに集めているからなんだ。)
Arvin: And you would’ve been a superb addition to an exceptional team.
(君なら、その優秀なチームに申し分なく加われただろうに。)
Arvin: But pbht!
(でも、ぷっ!)
Modern Family Season11 Episode15 (Baby Steps)
I don’t need your approval は「あなたの承認はいらない」、つまり相手の評価に左右されないと宣言する言い方です。前置きの I hate to say it, but は「言いにくいけれど」と、きっぱりしたことを言う前のクッションになっています。
I’m sorry to hear that. は本来、相手の不運な知らせに同情するときの決まり文句です。Don’t be. は Don’t be sorry. を短くした形で、相手の同情を軽く退ける返しです。アレックスがこう返すと、アーヴィンは「sorry」の理由を、研究チームの話に結びつけて説明し直します。同情の言葉を、相手を誘うための前置きに切り替える流れです。
you would’ve been a superb addition to ~ は仮定法過去完了の形で、「加わってくれていたら申し分なかったのに」という、実現しなかったことへの残念さを表します。直接「うちに来ないか」と言わずに、相手の評価と誘いを同時に伝える言い回しです。
「I’m going to need you to match my salary」で条件を出す
アーヴィンの話を聞いたアレックスは、それまでの態度から一転して、こう切り出します。
Alex: Well, Professor… you can take that job… and give it to me.
(それじゃ、教授……その仕事、私にちょうだい。)
Alex: But I’m going to need you to match my salary!
(でも、今のお給料と同じ額は出してもらうわよ!)
Arvin: I’m not sure we have that kind of money.
(うちにそこまでの資金があるかは分からないな。)
Alex: Deal.
(決まりね。)
Alex: I’m gonna go see if I can still return these.
(これ、まだ返品できるか見てくるわ。)
Modern Family Season11 Episode15 (Baby Steps)
I’m going to need you to ~ は、「〜してもらう必要があります」と相手に求める言い方です。命令形よりも柔らかく聞こえる一方、交渉の余地は小さいという響きを持つこともあり、条件をはっきり伝えたい場面で使われます。match my salary の match は「(金額などを)そろえる」という動詞で、今の給料と同じ額を出してほしいという意味になります。
これに対するアーヴィンの I’m not sure we have that kind of money. は、条件に応えられないかもしれないと伝える控えめな断り方です。ところがアレックスは Deal.(決まりね)と即答し、返品できるか見てくると続けます。条件を出したばかりのアレックスが、相手の答えを聞いてすぐに話をまとめる流れです。
実際の転職の場面で給料を話題にするときは、Would you be able to match my current salary? のように疑問文にすると、要求の強さを和らげられます。金額に幅をもたせたいときは、I was hoping for something closer to my current salary. のように希望として伝える形もあります。
まとめ|誘いを受けて条件をつける英語
アーヴィンの fans of を使ったやわらかな指摘、アレックスの I don’t need your approval の言い切り、そして I’m going to need you to match my salary の条件提示と、会話は誘いを受けるまでの流れをたどる形で進みます。条件の伝え方の強弱を比べると、交渉の英語の幅が見えてきます。
次回も『モダンファミリー』の登場人物たちと一緒に、英語の表現を学んでいきましょう。
同じ回のほかのコラムでは、時間の感覚を表す英語や、オンライン面接の立て直し方も取り上げています。


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