海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
海外ドラマや映画の法廷シーンで、弁護士が登場するたびに耳にすることの多いフレーズ「on retainer」。
今回は、『BONES』シーズン8エピソード23のシーンから、このビジネス・法律系の表現を一緒に学んでいきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
ウイルスの出所を追うブースが、競走馬の違法ドーピングに関わる疑いのある容疑者フラーを取り調べる場面。
ブースが「あなたのラボには獣医がいるだろう」とカマをかけると、フラーは必死に弁明します。
Booth:She was found in a biohazard facility with veterinary waste. I mean, you do have a vet in your lab, right?
(遺体はバイオハザード施設で動物用の医療廃棄物と一緒に見つかった。つまり、あんたのラボには獣医がいるんだろ?)Fuller:Yeah, look, look, he’s on retainer to treat my animals.
(ああ、聞いてくれ、彼はうちの動物たちを診るために顧問として雇っているんだ。)Fuller:You have nothing on me. This is ridiculous.
(あんたには何の証拠もない。馬鹿げてる。)Booth:Nothing?
(何もない、と?)BONES Season8 Episode23(The Pathos in the Pathogens)
シーン解説と心理考察
被害者のミアは、フラーが所有するラボで競走馬の違法ドーピングが行われているという疑惑を追っていました。
さらに情報を得るため、フラーと親密な関係になっていたことも明らかになっています。
動物用廃棄物と一緒に遺体が発見されたことで、ブースは「あなたのラボに出入りしている獣医が怪しいのでは」とカマをかけます。
追い詰められたフラーが「on retainer(顧問契約)」というドライなビジネス用語を持ち出したのには理由があります。
「その獣医とはあくまで契約上の関係であり、個人的に深く関わる仲ではない」と線引きをして、容疑をかわそうとする心理が透けて見えます。
フラーの弁明はその後の捜査で崩れていきますが、このシーンではブースが一言「Nothing?」と切り返すだけで、圧倒的な余裕を示しているのが印象的です。
「on retainer」の意味とニュアンス
on retainer
意味:顧問契約を結んで、専属で、手付金を払って確保して
「retain」は「保持する、保つ」という動詞です。
そこから派生した名詞「retainer」は、弁護士やコンサルタントなどの専門家に対して「必要な時にいつでも依頼できるよう事前に支払っておく顧問料・定額報酬」を指します。
「on retainer」の形で、「専門家を顧問契約で抱えている」「いつでも動けるよう確保している」という状態を表すビジネス・法律系のイディオムとして広く使われています。
【ここがポイント!】
このフレーズの核心は、「いざという時に優先的に動いてもらうための『キープ代』を払っている関係」というニュアンスにあります。
正社員としてフルタイムで雇っているわけではないが、専門的なスキルを持つプロフェッショナルを「自社の専属としていつでも使える状態にしている」という、少し知的な響きを持つビジネス表現です。
日本語にすると「顧問契約」「専属契約」が近いですが、英語の「on retainer」はもっとカジュアルに口語でも自然に使える点が特徴です。
実際に使ってみよう!
We have a top corporate lawyer on retainer just in case of an emergency.
(緊急時に備えて、一流の企業弁護士と顧問契約を結んでいます。)
ドラマや映画の法廷シーンでも非常によく耳にする王道フレーズです。企業がトラブルに備えて優秀な弁護士を「キープ」している状況ですね。
Is she a full-time employee? — No, she’s on retainer as a PR consultant.
(彼女は正社員ですか? ――いいえ、PRコンサルタントとして顧問契約を結んでいます。)
外部の専門家との契約形態を説明する際にとても便利な表現です。ビジネスシーンでの自然な会話に溶け込みます。
Our company put a cybersecurity expert on retainer after the data breach.
(データ漏洩の後、我が社はサイバーセキュリティの専門家と専属契約を結んだ。)
「put (人) on retainer」で「(人)と顧問契約を結ぶ」という動作を表すことができます。
『BONES』流・覚え方のコツ
FBIのブースから鋭く問い詰められ、焦って「いやいや、あいつはただ『on retainer(顧問)』で雇ってるだけだから!」と両手を振って必死に弁明するフラーの姿を思い浮かべてみましょう。
「on retainer = お金を払って専門家をキープするドライな契約関係」というイメージと、フラーの焦った表情をセットにして記憶に焼き付けると、少し堅いビジネス用語も物語の一部としてスッと定着します。
似た表現・関連表現
under contract
(契約下にある、契約中で)
「on retainer」が「いつでも動けるよう確保しておく」というニュアンスに特化しているのに対し、「under contract」はスポーツ選手やアーティストなど、何らかの法的な契約期間中であるという事実を広く伝える表現です。
independent contractor
(独立業務請負人、業務委託先)
雇用関係を結ばず、独立した立場で業務を請け負う人を指す法律・ビジネス用語です。フラーの獣医も、正社員ではなくこの形で「on retainer」の契約を結んでいたと考えられます。
freelance
(フリーランスの、自由契約の)
特定のクライアントに専属で縛られるのではなく、案件ごとに自由に仕事を受ける働き方を指します。「I work freelance.(フリーランスで働いています)」のように使われます。
深掘り知識:「retain」が持つ「手放さない」という意味
「on retainer」の語源である動詞「retain」について少し掘り下げてみましょう。
英語には「保つ、維持する」という意味の単語として「keep」や「maintain」もありますが、「retain」はその中でも特に「失わないようにしっかりと手元に留めておく」という強い意志やフォーマルなニュアンスを含みます。
会社が優秀な人材の流出を防ぐことを「employee retention(従業員の定着)」と言います。
レシートや重要な書類を「保管しておく」際にも「Please retain your receipt.」のように使われます。
今回のドラマで、フラーは違法なドーピングを行っていました。
秘密を共有する獣医を他の場所へ逃がさず、いつでも自分の手元に確保(retain)しておく必要があったからこそ、高い顧問料(retainer)を払って囲い込んでいたのでしょう。
単語の根っこにあるイメージを理解すると、登場人物の思惑まで透けて見えるようで面白いですね。
まとめ|知的なビジネス表現をストックしよう
今回は『BONES』の取り調べシーンから、専門家を顧問として抱える「on retainer」という表現を取り上げました。
このフレーズを知っておくと、海外ドラマの法廷・ビジネスシーンがぐっとリアルに聞こえてきます。
「いざという時のために専門家をキープしておく」という戦略的な発想は、ビジネスの場でも日常会話でも使える知的な表現です。ぜひ自分のボキャブラリーに加えてみてください。

