海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
いったん決まった予定や進み始めた計画を、途中で「やっぱり中止にしよう」と切り上げたくなる場面は、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんなときに使える「call it off」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第12話の後半、対戦相手のロボットの破壊力を目の当たりにしたレナードが、対決の中止を訴えるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「call it off」の意味とニュアンス
call it off
意味:(予定・計画などを)中止する、取りやめる、打ち切る
call it off は「いったん決めた、あるいは始まった物事を、途中で正式に取りやめる」という意味の句動詞です。
鍵になるのは off の感覚です。off には「停止・解除」の意味があり、これが call(声をかけて宣言する)と結びつくことで、「中止を宣言する」というニュアンスが生まれます。動いていたものに向かって「やめ!」と声をかけ、スイッチを切るイメージです。
試合、イベント、結婚式、取引、捜索など、すでに予定が組まれていたり進行していたりするものを打ち切る場面で広く使われます。目的語が代名詞 it のときは call it off の語順になり、名詞のときは call off the game のように call off ~ の形も取れる点も、押さえておきたいところです。
【ここがポイント!】
- off の「停止・解除」の感覚が、call と結びついて「中止」を生む
- 動いている物事・予定済みのものを途中で打ち切るときに使う一言
- 目的語が it のときは call と off の間に挟まる語順がポイント
『ビッグバン★セオリー』S02E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。対戦相手クリプキのロボットが自動車を粉々に破壊する映像を見て、レナードたちは完全に怖気づきます。圧倒的な戦力差を前に、レナードが対決の中止を訴えます。
Leonard: Oh, my God. That’s Kripke’s robot? Sheldon, we have to call it off.
(なんてことだ。あれがクリプキのロボットなのか? シェルドン、中止しないとダメだ)Sheldon: We don’t have that option, we’ve accepted the challenge. We can’t run away from a fight.
(その選択肢はない、もう挑戦を受けてしまったんだ。戦いから逃げるわけにはいかない)The Big Bang Theory Season2 Episode12(The Killer Robot Instability)
シーン解説と心理考察
レナードの we have to call it off には、恐怖からくる現実的な判断がにじみます。勝ち目のない戦いから手を引こうとする彼の姿勢は、いじめられっ子として培った自己防衛の本能の表れとも読み取れます。
対するシェルドンの We can’t run away from a fight には、長年の屈辱を晴らしたいという思いが重なっています。勝算よりも誇りを優先する彼の性格が、この拒絶の一言に表れています。
中止したいレナードと、引けないシェルドン。同じ状況を前にした二人の正反対の反応が、それぞれのキャラクターの本質をくっきりと浮かび上がらせる場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
call は「声をかけて呼ぶ」、off は「離す・止める」。進行中の物事に向かって「やめ!」と大きく声をかけ、動いているスイッチをパチンと off に倒す——その一声で、走っていたものがピタッと止まる絵を思い浮かべてみてください。
劇中では、暴走しかけたロボット対決という「もう走り出してしまった計画」に、レナードが必死でブレーキをかけようとしています。まさに call it off の「動いているものを止める」イメージそのものです。目的語が it のときは call と off の間に挟まる語順も、「呼んで(it を)止める」という動作の順番で覚えられます。
例文で覚える「call it off」
予定の中止から重大な決断まで、幅広い場面で使えます。3つの例文で感覚をつかんでみましょう。
They had to call off the game because of the storm.
(嵐のせいで、彼らは試合を中止しなければならなかった)
天候でイベントが中止になる場面です。call off the game のように、目的語が名詞のときは call off ~ の語順になります。
The company called off the merger after months of negotiation.
(その会社は数か月の交渉の末、合併を中止した)
ビジネスの場面です。重大な計画を正式に打ち切るときにも使え、ニュースなどでもよく登場します。
A: Are we still meeting tomorrow?
B: Actually, let’s call it off. Something came up.
(A:明日まだ会う?)
(B:実は、中止にしよう。用事ができたんだ)
約束を取りやめる日常の場面です。目的語が代名詞 it のときは、call it off と間に挟む語順になる点が学習のポイントです。
あわせて覚えたい関連表現
cancel
(中止する、キャンセルする)
予約や契約などを取り消す、中立的で汎用性の高い語です。call it off はより口語的で、進行中のものや予定済みのイベントを「打ち切る」響きがある点が違います。
back out (of)
(手を引く、降りる)
自分が関与から抜ける「離脱」を表します。call it off が計画や行事そのものを止めるのに対し、back out は自分ひとりが抜ける点が異なります。
pull the plug (on)
(息の根を止める、打ち切る)
資金や支援を断って強制的に終わらせる、比喩的で強い表現です。call it off はもっと中立的な「中止」で、ここまでの強さはありません。
Note|off が動詞に与える「停止・解除」の感覚
call it off の「中止」という意味は、いったいどこから来るのでしょうか。鍵を握っているのは、後ろにくっついている小さな off という一語です。
英語では、動詞に off が付くと「停止・解除・中断」の意味が生まれることがよくあります。たとえば turn off は明かりや機械を「切る」、break off は交渉や関係を「打ち切る」、lay off は従業員を「一時解雇する」、shut off は供給などを「遮断する」。どれも、動いていたもの・つながっていたものが off によってプツッと断ち切られるイメージで共通しています。call off もこの仲間で、call(宣言する)に off(停止)が組み合わさり、「予定されていたものに中止を宣言する」という意味になっているわけです。
この off の感覚をつかんでおくと、call it off を丸暗記しなくても、「呼びかけて(call)止める(off)」という部品の組み合わせから意味が立ち上がってきます。同じ off を持つ仲間の句動詞も、芋づる式に理解しやすくなります。
小さな前置詞ひとつが、動詞全体の方向を決めている。そんな英語の仕組みが見えてくる一例です。
まとめ|走り出したものを止める一言
call it off は、いったん決まった予定や進み始めた計画を「途中で中止する」ことを表す句動詞です。off が持つ「停止・解除」の感覚が、call と結びついて「中止を宣言する」という意味を生み出しています。
cancel よりも口語的で、進行中のものや予定済みのイベントを打ち切るときにしっくりきます。目的語が代名詞のときは call it off と挟む語順も、あわせて押さえておきたいところです。
予定を取りやめたい場面で、軽やかに「中止しよう」と伝えられる。そんな会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


コメント