「stick in one’s craw」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S05E08で学ぶ英会話

「stick in one's craw」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

頭では分かっているのに、どうにも飲み込めない、心に引っかかって離れない ―― そんなもやもやを抱えた経験はありませんか。

そんな気持ちを表す「stick in one’s craw」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン5第8話の中盤、落ち込むエイミーに、シェルドンが的外れな推測を投げかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「stick in one’s craw」の意味とニュアンス

stick in one’s craw
意味:しゃくにさわる、どうにも納得がいかない、心に引っかかる

stick in one’s craw は「あることが気に障って、どうしても受け入れられない」という意味の慣用句です。何かが that sticks in my craw(それがどうにも気に食わない)のように使われます。

カギになるのは craw という単語です。craw は鳥の「そのう」、つまり食べたものを一時的にためておく餌袋を指す古い言葉です。飲み込んだものが craw に引っかかって下りていかない ―― その身体的な不快感を、「気持ちの上で飲み込めない=納得できない・腹に据えかねる」という比喩に転じたのが、この表現です。

少しフォーマルで文語的な響きがあり、日常のくだけた会話よりは、書き言葉や少し改まった場面で使われることが多い表現です。stick in one’s throat(のどに引っかかる)という、ほぼ同じ意味の言い回しもあります。

【ここがポイント!】

  • craw は鳥の「餌袋(そのう)」を指す古い言葉
  • 飲み込めずに引っかかる感覚が「納得できない」の比喩になった
  • ややフォーマル・文語寄りで、口語で使うとどこかユーモラスに響く

『ビッグバン★セオリー』S05E08のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ペニーとバーナデットに置いていかれたことを「自分をだましていただけ」と沈むエイミー。それを慰めようとしたシェルドンが、まったく見当違いの方向から原因を推測しはじめます。

Amy: I thought they liked hanging out with me, but I guess I was fooling myself.
(一緒にいるのを楽しんでくれてると思ってた。でも、自分をだましてただけみたい。)

Sheldon: When they were over here, did you fail to offer them a beverage? ‘Cause I can see how that could stick in someone’s craw.
(彼女たちがここに来たとき、飲み物を出しそびれたんじゃないか? それなら、相手が気を悪くするのも分かる気がする。)

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シーン解説と心理考察

このやり取りには、シェルドンの独特な価値観がはっきり表れています。エイミーが人間関係の機微に悩んでいるのに、彼が真っ先に疑うのは「飲み物を出さなかったから相手が怒ったのでは」という、もてなしのマナーの問題でした。

stick in someone’s craw(相手の気に障る)という、やや古風で文語的な表現を、こんな日常的な「飲み物を出し忘れた」話に当てはめるところに、シェルドンらしい言葉づかいの硬さがにじみます。慰めようとしているのに、原因の見立てが完全にずれている。そのちぐはぐさが会話の温度を変えています。

人の感情よりも、ルールや手順に原因を求めてしまう ―― シェルドンの世界の見え方が、この一言にそのまま重なっています。エイミーの本当の痛みとはかみ合わないまま進む会話が、二人ならではのおかしみとして響きます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

何かを飲み込もうとして、のどの途中でつかえて下りていかない感覚を思い浮かべてみてください。その「つかえて下りない」場所が craw(鳥の餌袋)で、stick in one’s craw は、不満がそこに引っかかって消えない状態です。

シェルドンが「飲み物を出さなかったことが気に障ったのでは」と推測した場面のように、何かがのどの奥でつかえているイメージとセットで覚えると定着します。飲み込めずに引っかかる、その身体感覚を思い描くのがコツです。

例文で覚える「stick in one’s craw」

「どうにも納得がいかない」というこの表現は、不満や割り切れなさを語る場面で登場します。3つの例文で使い方を見ていきましょう。

The way he took credit for my work still sticks in my craw.
(彼が私の仕事を自分の手柄にしたやり方が、いまだに気に食わない。)
過去の出来事への割り切れなさを語る場面です。still sticks in my craw で「いまだに納得がいかない」と、引っかかりが消えない様子を表します。

It sticks in my craw that they never even apologized.
(向こうが謝りすらしなかったのが、どうにも腹に据えかねる。)
理不尽さへの不満を述べる場面です。It sticks in my craw that … で「〜なのがどうにも気に食わない」と、引っかかっている内容を that 以下で示します。

A: Are you still upset about the decision?
B: A little. It just sticks in my craw that nobody asked for my opinion.
(A:あの決定のこと、まだ怒ってる?)
(B:少しね。誰も私の意見を聞かなかったのが、どうにも引っかかるんだ。)
わだかまりを打ち明ける会話です。it sticks in my craw that … で、納得できないポイントを具体的に述べる言い方になります。

あわせて覚えたい関連表現

stick in one’s throat
(のどに引っかかる、どうしても言えない/受け入れられない)
craw を throat(のど)に置き換えた、ほぼ同じ意味の表現です。throat 版のほうが日常的で分かりやすく、craw 版のほうが古風な響きを持ちます。「飲み込めない」という身体イメージは共通しています。

rub someone the wrong way
(〜の神経を逆なでする、いらっとさせる)
stick in one’s craw が「自分の中で割り切れない」のに対し、こちらは「相手の気持ちを逆なでする」と、いらだちの向きが外に出ます。猫の毛を逆方向になでるイメージが語源です。

can’t get over
(〜がどうしても受け入れられない、忘れられない)
stick in one’s craw と近い「割り切れなさ」を表しますが、can’t get over は「乗り越えられない」と、ショックや驚きを引きずるニュアンスが強めです。納得できない気持ちの仲間として覚えておくと便利です。

Note|craw とは何か ―― 鳥の餌袋が「しゃくにさわる」になるまで

stick in one’s craw という表現の核心は、ふだん見かけない craw という単語にあります。

craw は、鳥や昆虫が食べたものを一時的にためておく「そのう(嗉嚢)」、いわば餌袋を指す古い英語です。鳥はくちばしに歯がないため、飲み込んだ食べ物をいったんこの craw にため、後で消化に回します。ここで、飲み込んだものが craw にうまく入らず引っかかってしまう様子を思い浮かべてみてください。下りていかない、消えてくれない、その居心地の悪さが、この表現の出発点になっています。stick in one’s craw は16〜17世紀ごろから使われていたとされ、もともとは文字どおり「鳥ののどに食べ物が引っかかる」状況を指していました。それが「気持ちの上で飲み込めないもの=納得できないこと・腹に据えかねること」へと比喩的に広がっていったと言われています。同じ発想から stick in one’s throat(のどに引っかかる)という言い回しも生まれ、現代ではこちらのほうがよく使われます。

シェルドンが craw という古風な語をさらりと使ったのは、彼の語彙の硬さをよく表しています。鳥の餌袋という具体的なイメージを知っておくと、この表現の「飲み込めなさ」がぐっとリアルに感じられます。

ひとつの単語の奥に、鳥の身体の仕組みが眠っています。

まとめ|シェルドンのずれた推測から学ぶこと

stick in one’s craw は、何かが気に障ってどうしても受け入れられない、心に引っかかって離れない、という気持ちを表す慣用句です。craw が鳥の餌袋であり、そこに食べ物が引っかかるイメージが土台にある、と知っておくと意味が忘れにくくなります。

この表現が使えるようになると、It sticks in my craw that …(〜がどうにも納得いかない)のように、ただ怒るのとは少し違う、割り切れない引っかかりを言葉にできるようになります。少し文語的な響きが、感情に落ち着いた輪郭を与えてくれます。

人の感情よりもてなしのマナーを疑ってしまう ―― シェルドンのずれた推測が、古風な一語をかえって印象づけてくれる場面でした。

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