海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
ちょっと不機嫌になっただけなのに「また大げさに怒って」と決めつけられて、かえって腹が立った経験はありませんか。
そんな場面で飛び出す「hissy fit」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第15話の冒頭、朝の部屋でハリー・ポッターの結末をネタバレされて怒るレナードを、シェルドンが冷ややかにあしらうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「hissy fit」の意味とニュアンス
hissy fit
意味:大げさな癇癪、ヒステリックに怒ること
hissy fit は、大人が些細なことで感情的に怒り出す様子を、やや揶揄を込めて表す口語表現です。子どもの癇癪を指す tantrum に近いものの、それを大人に向けて使うところに特徴があります。「そんなに大げさに怒らなくても」「子どもみたいに騒いで」という、相手の怒りを一段低く見るニュアンスがにじむため、本人に面と向かって言えば挑発になります。
throw a hissy fit(癇癪を起こす)や have a hissy fit の形でよく使われ、騒ぎ立てる様子そのものを名詞として切り取って表せるのも便利なところです。日常会話やくだけた文章で広く登場する一方、フォーマルな場には向かない、カジュアルな響きを持った表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「大人の、子どもじみた大げさな怒り方」をすくい取る一言
- tantrum より揶揄が強く、相手を一段低く見る温度が出る表現
- 面と向かって使うと挑発になるので、相手と場面を選ぶのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
朝の部屋で、ハリー・ポッターを読み進めていたレナードは、シェルドンに結末をいきなりネタバレされて声を荒げます。ところがシェルドンは謝るどころか、レナードの怒りを「いつものあれ」と決めつけ、さらに豆乳のせいだという珍説まで持ち出します。hissy fit が相手をどう刺激するかが、はっきり表れる場面です。
Leonard: What is wrong with you? If I did that, you’d bitch about it for weeks.
(どうかしてるよ。もし僕が同じことをしたら、何週間も文句を言い続けるくせに)Sheldon: Oh, really, Leonard? Are you going to have another one of your hissy fits?
(へえ、そうかい、レナード? また君の例の癇癪を起こすつもりかい?)Leonard: Hissy fits? I have hissy fits?
(癇癪? 僕が癇癪を起こすって?)The Big Bang Theory Season6 Episode15(The Spoiler Alert Segmentation)
シーン解説と心理考察
正当な抗議を「また例の癇癪か」と片付けるシェルドンの一言からは、相手の怒りを正面から受け止めず、軽く扱おうとする姿勢が伝わってきます。hissy fit という言葉選びには、レナードを対等な相手ではなく、子どものように扱う響きが重なっています。
レナードがすかさず「僕が癇癪を起こすって?」とおうむ返しにするところに、その言葉がいかに神経を逆なでするかが表れています。シェルドンにとっては事実の指摘のつもりでも、言われた側には侮辱として響くのです。続けて豆乳の成分が原因だと言い出す流れも、相手の感情をあくまで「不合理なもの」と決めつけたいシェルドンらしさがにじむ場面です。二人の同居関係の歪みが、この短いやり取りに凝縮されています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
hissy fit の hissy は、蛇が「シューッ(hiss)」と威嚇する音から来ているとされます。怒った人が顔を赤くして「シャーッ」と噴き出すように騒ぎ立てる様子を思い浮かべると、「大げさな癇癪」のイメージがつかめます。
このシーンでは、レナードの怒りをシェルドンが「また hissy fit?」と冷たく突き放しました。その見下した一言とセットで覚えておくと、hissy fit が単なる「怒り」ではなく、相手を一段低く見る挑発の響きを帯びることまで、まとめて記憶に残ります。
例文で覚える「hissy fit」
大人の大げさな怒り方をすくい取る hissy fit は、呆れや軽い非難とともに使われます。three つの場面で、その温度感を確かめてみましょう。
He threw a hissy fit when his coffee order was wrong.
(コーヒーの注文が間違っていただけで、彼は癇癪を起こした)
注文の取り違えという小さな出来事に、大の大人が大騒ぎした場面です。throw a hissy fit が最も一般的な形で、「そこまで怒る?」という呆れがにじみます。
Don’t have a hissy fit, I’ll fix it right now.
(そう大げさに怒らないで、今すぐ直すから)
怒り出した相手をなだめる一言です。have a hissy fit を否定形で使い、「落ち着いて」と相手のヒートアップを抑える、軽いたしなめのニュアンスになります。
A: Did you hear Mark in the meeting today?
B: Yeah, he had a total hissy fit over the schedule change.
(A:今日の会議でのマーク、聞いた?)
(B:うん、スケジュール変更にすっかりキレてたね。)
職場での噂話の場面です。会話の中で「あの人、大げさに怒ってたよね」と共有するときに、hissy fit がぴたりとはまります。
あわせて覚えたい関連表現
throw a tantrum
(癇癪を起こす)
tantrum は本来、子どもの癇癪を指す中立的な語です。hissy fit を大人に使うと揶揄が強く出るのに対し、こちらは年齢を問わず使え、からかいの色は比較的薄めです。
blow a fuse
(ブチ切れる、堪忍袋の緒が切れる)
電気のヒューズが飛ぶイメージで、突発的な激怒を表します。じわじわ・ぐずぐずした感情的な騒ぎ方も含む hissy fit に対して、こちらは一気に爆発する怒りに焦点があります。
make a scene
(大騒ぎして人目を引く)
公の場で騒いで目立つことに焦点を当てた表現です。怒りの中身が「子どもじみている」ことを示す hissy fit と違い、make a scene は「周囲の注目を集める」点を強調します。
Note|hiss(シューッ)から生まれた「癇癪」という言葉
hissy fit の hissy という耳慣れない単語が、どこから来たのかを少したどってみましょう。
hissy は、蛇や蒸気が立てる「シューッ」という音を表す hiss から派生した語とされます。怒りで息を荒げ、シューシューと音を立てるように感情を噴き出す様子が、そのまま「大げさな怒り」のイメージに結びついたと考えられています。20世紀前半のアメリカ南部の口語で広まったとされ、そこからアメリカ英語全体へと広がっていったと言われます。fit はもともと「発作」を指す語で、a fit of anger(怒りの発作)のように、感情が一時的に激しく噴き出す状態を表します。hissy と fit が組み合わさることで、「シューッと噴き出す感情の発作」=「大げさな癇癪」という、音のイメージを伴った表現ができあがりました。なお、語源の細部には諸説あるとされ、確定した一説があるわけではありません。
この成り立ちを知っておくと、hissy fit が単なる「怒り」ではなく、音まで聞こえてきそうな大げさな噴き出し方を指すことが腑に落ちます。シェルドンがレナードに投げつけた一言の、どこか芝居がかった響きも、この語源から見えてきます。
音が言葉になり、感情の形まで描き出す。英語の面白さが詰まった一語です。
まとめ|シェルドンの一言から見える hissy fit の温度
hissy fit は、大人の大げさな怒り方を、やや一歩引いた目線ですくい取る表現と言えます。同じ「怒る」でも、相手の感情を「子どもじみたもの」として軽く扱う響きが加わるところに、この言葉ならではの温度があります。
このニュアンスをつかんでおくと、海外ドラマで誰かが誰かの怒りを hissy fit と呼ぶ場面に出会ったとき、その一言にこもった見下しや挑発まで読み取れるようになります。怒っている本人ではなく、それを横から眺める側の言葉だと意識すると、使いどころも見えてきます。
ネタバレに怒るレナードと、それを冷ややかにあしらうシェルドン。二人の関係性がにじむ一言として、表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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