海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何かに反対するとき、頭の中で「だってまず…、それに…」と理由が次々に浮かんできて、思わず数え上げるように話し始めた経験はありませんか。
そんなときに口火を切る「for starters」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第15話の冒頭、エイミーが提案したバレンタイン旅行にシェルドンが反対理由を並べ始めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「for starters」の意味とニュアンス
for starters
意味:まず手始めに、第一に
複数の理由や項目を並べるとき、その一番目を切り出すために使う表現です。「いくつか言いたいことがあるけれど、まずはこれ」という気持ちが込められていて、後に「それに」「さらに」と続くことを自然に予告します。
レストランで最初に出てくる前菜を starter と呼ぶように、starter には「最初の一品」という感覚があります。for starters もこの延長で、これから挙げる理由のうちの「一品目」を差し出すイメージです。
会話でもビジネスでも使える便利な前置きで、不満や問題点を列挙する場面でよく登場します。やや砕けた響きがあり、堅すぎず親しみやすいのが特徴です。
【ここがポイント!】
- 「for starters」の核は、理由を並べる前に置く「まず一つ目」の合図
- この一言が出たら、後にもう一つ二つ理由が続くサイン
- 不満や反論を切り出すときに、勢いよく一番目を差し出す前置き
『ビッグバン★セオリー』S07E15のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
年に一度の交際状況サミットで、エイミーがナパバレーのB&Bでのバレンタイン旅行を提案します。変化と予定外を何より嫌うシェルドンは全否定で応じ、反対理由を一つずつ数え上げ始めます。その口火を切るのがこの一言です。
Amy: Come on, Sheldon. Why not?
(もう、シェルドン。どうしてダメなの?)Sheldon: For starters, a bed-and-breakfast forces you to eat with strangers at your table.
(まず第一に、B&Bってのは見知らぬ他人と同じテーブルで食事させられるんだ。)The Big Bang Theory Season7 Episode15(The Locomotive Manipulation)
シーン解説と心理考察
「どうしてダメなの?」というエイミーの問いに対し、シェルドンが間髪入れず “For starters” と返すところに、彼の思考回路が表れています。反対理由が一つではなく、頭の中ですでにリスト化されていることが、この一言から伝わってきます。
シェルドンにとって予定外の旅行は、いくつもの不安要素のかたまりです。見知らぬ他人との食事を「第一に」と切り出した時点で、聞いているエイミーも(そして視聴者も)「ああ、これは長くなるぞ」と察するわけです。実際このあと彼は、部屋割りや浴槽の心配まで次々に挙げていきます。
理由を数え上げる構文を好むのは、物事を論理的に整理せずにいられないシェルドンらしさそのものです。たった二語の前置きに、彼の几帳面さと面倒くささが同時ににじむ場面と言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
コース料理を思い浮かべてみてください。”starter” は最初に運ばれてくる前菜。それを合図に、メイン、デザートと料理が続いていきます。
for starters も同じで、「これから出す理由の前菜」を最初にテーブルへ置くイメージです。シェルドンが反対理由を前菜・メイン・デザートのように次々と並べていく姿を思い出すと、「まず一品目」という感覚がそのまま記憶に残ります。一皿目が出てきたら、まだ後ろに料理が控えている——そう結びつけて覚えておくと、この前置きの役割を取り違えずにすみます。
例文で覚える「for starters」
理由や問題点を複数挙げる場面で、その一番目を切り出すときに活躍します。会話からビジネスまで幅広く使える例を見ていきましょう。
For starters, the hotel was way too expensive.
(まず第一に、そのホテルは高すぎた。)
旅行の不満を友人に語る場面です。これを言った後には「それに部屋も狭かった」と続く気配が漂います。
There are several problems with this plan. For starters, we don’t have the budget.
(この計画にはいくつか問題があります。まず第一に、予算がありません。)
会議で計画の懸念点を切り出す場面です。複数の問題があると前置きしてから一つ目を挙げることで、話の見通しを相手に示せます。
A: Why don’t you like the new café?
B: For starters, the coffee is cold every single time.
(A:あの新しいカフェ、なんで苦手なの?)
(B:まず手始めに、コーヒーが毎回冷めてるのよ。)
友人同士のカジュアルな会話です。一つ目の不満を勢いよく差し出すことで、まだ言いたいことがあると伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
to begin with
(まず初めに)
for starters とほぼ同じ意味ですが、こちらの方が少し中立的で書き言葉にもなじみます。for starters のカジュアルさに対し、フォーマルな場面でも使いやすい表現です。
first of all
(何よりもまず)
列挙の一番目を示す点は同じですが、「最も大事なこととして」という強調のニュアンスが加わります。for starters の「とりあえず一つ目」という軽さとは少し温度が違います。
for one thing
(一つには)
理由を一つ挙げる点で近く、”for one thing 〜, for another 〜” とペアで使われることが多い表現です。for starters が「リストの開始」を告げるのに対し、こちらは二つの理由を並べる型として働きます。
Note|for starters / to begin with / first of all の温度差
「まず初めに」を表す英語はいくつもありますが、どれを選ぶかで会話の印象は微妙に変わります。for starters もその一つで、似た表現との距離感を知っておくと使い分けが楽になります。
三つを並べてみると、性格の違いが見えてきます。for starters は最もカジュアルで、友人との会話や軽い愚痴にしっくりきます。「まあとりあえず一つ目はね」という肩の力の抜けた響きがあり、シェルドンのように不満を数え上げる場面にぴったりです。to begin with は中立的で、話し言葉にも書き言葉にもなじみ、説明や議論の口火として安定して使えます。first of all は三つの中で最も強調が効いていて、「何よりもまず、これが大事」という重みを持たせたいときに向きます。プレゼンの冒頭で要点を打ち出すような場面では、この強さが効果を発揮します。
つまり、同じ「まず初めに」でも、軽く切り出したいなら for starters、無難に整えたいなら to begin with、強く印象づけたいなら first of all、と選び分けられるわけです。シェルドンがあの場面で for starters を選んだのは、肩肘張らずに不満リストを始める、彼なりの自然な切り出し方だったとも読み取れます。
前置き一つで、話のトーンは静かに決まっていくのですね。
まとめ|シェルドンの反対リストから学ぶ一言
for starters は、これから挙げる理由の「一品目」を差し出す前置きでした。この一言が出たら、後ろにまだ理由が控えているサインだと受け取れます。
反論や説明で言いたいことが複数あるとき、いきなり全部ぶつけるのではなく、まず for starters と一つ目を置く。そうするだけで、話の流れが整理されて相手にも伝わりやすくなります。
理由を数え上げたくなった場面で、その口火を切る一言として、表現の引き出しに加えてみてくださいね。


コメント