「take one’s chances」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S08E22で学ぶ英会話

「take one's chances」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

「それ危ないよ」と忠告されても、「まあ、なんとかなるさ」とリスクを承知で一歩踏み出したくなる——そんな場面が、誰にでもあるのではないでしょうか。

その気分にぴったりの「take one’s chances」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン8第22話、母校での卒業スピーチを控えたレナードが、シェルドンの大げさな心配を軽く受け流すシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「take one’s chances」の意味とニュアンス

take one’s chances
意味:いちかばちかやってみる、危険を承知でやる、運に任せる

chance は「偶然・運・好機」を表す言葉で、ここでは複数形の chances を「自分のものとして引き受ける(take)」という形になっています。直訳すれば「自分に巡ってくる運を引き受ける」、つまり「結果がどう転ぶか分からないまま、それでも賭けに出る」という意味です。

悪い結果になるかもしれないと分かっていながら、「それでもやってみよう」と覚悟を決めるときに使います。とりわけ、誰かにリスクを指摘されたときに「リスクは承知のうえだ」と軽く受け流す文脈でよく登場します。深刻に悩み込むというより、肩の力を抜いて運を天に任せる、という前向きな響きを持つ言い回しです。take a chance(思い切ってやってみる)とも近いですが、複数形の take one’s chances は「いくつもの不確実さをまとめて引き受ける」ニュアンスが少し強くなります。

【ここがポイント!】

  • 自分に巡る運(chances)を take(引き受ける)、つまり「賭けに出る」が意味の核
  • リスクを指摘されたとき「承知のうえだ」と軽く流す決まり文句
  • 深刻に悩むより、肩の力を抜いて運に任せる前向きさを読み取るのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S08E22のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

母校の高校で卒業スピーチをすることになったレナードに、シェルドンが例によって極端な心配を持ち出します。式の最後に学生たちが帽子を一斉に放り投げるから「誰かが目を失うぞ」と脅すシェルドンに、レナードがあっさり「リスクは承知でやる」と返すところに見どころがあります。

Sheldon: Aren’t you afraid of being blinded? At the end of the ceremony, all the students throw those pointy hats in the air. It’s all pomp and circumstance until someone loses an eye.
(失明するのが怖くないのか? 式の最後に学生が全員あの尖った帽子を放り投げるんだぞ。誰かが目を失うまでは華やかな式典さ。)

Leonard: I’ll take my chances.
(危険は承知の上でやるよ。)

Sheldon: Fine. I wonder if they make I told you so cards in braille.
(いいだろう。「だから言っただろう」カードの点字版はあるのかな。)

The Big Bang Theory Season8 Episode22(The Graduation Transmission)

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シーン解説と心理考察

スピーチへの高揚感に水を差すように、シェルドンが「帽子の投げ上げで失明する」というおよそ起こりそうにない危険を真顔で持ち出すのが、このシーンの可笑しさを生んでいます。彼にとっては、どんな些細なリスクも計算に入れずにはいられないのです。

そこに対するレナードの I’ll take my chances は、シェルドンの過剰な警告を真に受けず、ひとことで軽やかにかわす返しになっています。さらにシェルドンが「失明したとき用に『だから言っただろう』カードの点字版を」と最後まで予言に固執するズレが、二人らしいテンポとして響きます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

カジノのテーブルを思い浮かべてみてください。自分の前に積まれたチップ(=chances)を、勝てる保証がないまま、思い切って賭け台へ押し出す——その手の動きが take one’s chances のイメージです。

劇中でレナードが、帽子が降りそそぐ卒業式のただ中に平然と立つことを選んだ場面と重ねると、「どう転ぶか分からないけれど、運を引き受けて前に出る」という感覚ごと覚えられます。chance を take(手に取って差し出す)=結果はどうあれ賭けに出る、と動作で結びつけると忘れにくくなります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「take one’s chances」

take one’s chances は、不確実さを承知のうえで一歩踏み出すときに活躍します。場面を変えながら、3つの例で見てみましょう。

The forecast says rain, but we’ll take our chances and go hiking anyway.
(予報は雨だけど、いちかばちかでハイキングに行くよ。)
天気が読めないまま予定を決行する場面です。take one’s chances を使うと、「リスクは分かっているが、それでも行く」という肩の力の抜けた覚悟が伝わります。

I know the startup might fail, but I’d rather take my chances than stay in this job.
(スタートアップは失敗するかもしれないけど、この仕事を続けるよりは賭けに出たい。)
安定より挑戦を選ぶ決意の場面です。than と組み合わせると、「こちらの安全より、あちらの賭けを取る」という選択の重みが表せます。

A: There are no reviews for this restaurant.
B: Let’s just take our chances—it looks pretty good.
(A:このレストラン、レビューが一件もないよ。)
(B:まあ運任せで入ってみよう。なかなか良さそうだし。)
情報がないまま選ぶ会話です。just take our chances の形で、「確証はないけど、とりあえず賭けてみよう」という気軽な提案として使えます。

あわせて覚えたい関連表現

take a risk
(リスクを冒す)
「危険を冒す」という事実をそのまま述べる言い方です。take one’s chances が「悪い結果も承知で運に任せる」という賭けの色を帯びるのに対し、take a risk はより中立的で説明的な響きを持ちます。

roll the dice
(いちかばちかやってみる)
さいころを振る比喩で、完全に運任せのニュアンスが強い口語です。take one’s chances には「リスクを見込んだうえで選ぶ」自発性があるのに対し、roll the dice は結果がまるで読めない場面に向きます。

risk it
(思い切ってやってみる)
より短くカジュアルな「ダメ元でやる」表現です。take one’s chances がやや落ち着いた言い回しなのに対し、risk it は勢いよく踏み出す軽さを持ちます。

Note|chance が「賭け」の意味を帯びるまで

take one’s chances を面白くしているのは、ふだん「好機・チャンス」と前向きに訳される chance が、ここでは「吉と出るか凶と出るか分からない賭け」という顔を見せている点です。

この chance という語は、もともと「(さいころの)落ち方・転がり方」、つまり偶然の出来事を指す言葉だったとされています。古フランス語を経て英語に入った段階では、「good(良い)」とも「bad(悪い)」とも決まっていない、ただの「偶然」を意味していたと言われています。だからこそ、その偶然をまるごと引き受ける(take)という形になると、「良い結果も悪い結果もひっくるめて運に身を委ねる」という賭けの含意が自然に生まれます。同じ chance を使った a fighting chance(わずかな勝機)や not a chance(まったく見込みなし)も、この「偶然の振れ幅」という核を共有する仲間だと言えます。複数形の chances になっているのも、ひとつではなく「いくつもの転がり方」をまとめて受け止める、というイメージにつながっています。

レナードがこの言葉を、帽子の降りそそぐ卒業式という(ごく小さな)賭けの場面で口にしたのも、chance が本来「どう転ぶか分からない偶然」を抱えた語だからこそでした。

言葉の成り立ちをたどると、何気ない一言の奥行きが見えてきます。

まとめ|レナードの受け流しから学ぶ「いちかばちか」

take one’s chances は、自分に巡ってくる運を引き受ける、つまり「いちかばちかやってみる・危険を承知でやる」を表す口語表現です。

リスクを指摘されたときに「承知のうえだ」と軽く受け流したいとき、安定より挑戦を選びたいとき、情報がないまま思い切って決めたいとき。深刻に悩み込むのではなく、肩の力を抜いて運に任せる、その前向きな構えにこの一言はよく似合います。

踏み出すかどうか迷ったときの後押しとして、表現の引き出しに加えてみてください。

レナードがシェルドンの心配を笑って受け流した後ろに、結果を恐れず一歩を選びたくなる、誰もが持つ小さな大胆さが顔をのぞかせた場面と言えます。

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