海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
特に目的もなく、気の合う仲間とただ一緒に過ごす——そんな「つるむ」関係を表す言い方は、英語にもいくつかあります。なかでも、どこか親しみと温かみのこもった一語をご存じでしょうか。
その表現「pal around」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第9話、エイミーがシェルドンの考えた海の生き物ゲームの矛盾を、軽くからかうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「pal around」の意味とニュアンス
pal around (with someone)
意味:(〜と)気軽につるむ、親しく一緒に過ごす
pal は「仲間・友達」を表すくだけた言葉です。そこに around(あちこち・ぶらぶら)が付いた pal around は、「友達として、特に目的もなく一緒に時間を過ごす」という気軽さを表します。
ニュアンスの中心にあるのは、何か用事があって協力するのではなく、ただ一緒にいて楽しい、というくだけた親密さです。意味としては hang out(つるむ)に近いのですが、pal around のほうがやや古風で、「仲間意識」のあたたかさが強くにじみます。多くの場合 with someone を伴って、pal around with one’s friends(友達とつるむ)のように使います。進行形にして They’ve been palling around all summer.(あの子たちは夏中つるんでいる)のように、「ずっと一緒に過ごしている」継続を表すことも多い表現です。
【ここがポイント!】
- pal around=「気軽につるむ、親しく一緒に過ごす」、pal は「仲間」
- 目的のある「協力」ではなく、ただ一緒にいて楽しい関係を表す
- hang out に近いが、やや古風で温かい「仲間意識」がにじむ
『ビッグバン★セオリー』S09E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
シェルドンが考案した、海の生き物を「食べる・友達になる・戦う」に振り分けるゲームの最中、彼の選択の矛盾を、エイミーがすかさず突っ込む場面です。
Sheldon: Well, I’d befriend SpongeBob but he’s not real, so I can’t do that, can I?
(スポンジ・ボブと友達になりたいが、実在しないから無理だよね?)Amy: But you can pal around with a hagfish?
(でもヌタウナギとはつるめるわけ?)Sheldon: Hey, let’s not pull at that thread.
(おい、その話はほじくり返さないでおこう。)The Big Bang Theory Season9 Episode9(The Platonic Permutation)
シーン解説と心理考察
シェルドンは「スポンジ・ボブは実在しないから友達になれない」と言う一方で、ヌタウナギは befriend(友達になる)の対象にしています。エイミーはその矛盾を見逃さず、「でもヌタウナギとはつるめるの?」と pal around を使って軽くからかいます。befriend という少し硬い動詞に対し、エイミーがあえてくだけた pal around を選んでいるところに、からかいの軽妙さがにじみます。
このやり取りの底に流れているのは、別れたばかりのふたりが取り戻しつつある、気の置けない空気です。エイミーは、こうしてシェルドンの理屈の穴を突いて遊べること自体を、どこか楽しんでいます。pal around というくだけた言葉のチョイスが、ふたりのあいだに戻ってきた親密さを、そっと象徴しているのです。理屈っぽいシェルドンと、それを軽くいなすエイミー——息の合った掛け合いが心地よい場面です。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
まず pal=「ダチ・相棒」という親しみのある言葉を押さえ、そこに around=「あちこち、ぶらぶら」を足してみてください。「相棒とあてもなく一緒に過ごす」=つるむ、という画がすっと立ち上がります。目的があって「協力する」のではなく、ただ一緒にいて楽しい関係、というのがポイントです。
劇中では、エイミーが「ヌタウナギとつるめるの?」とシェルドンをからかう場面でした。気の置けない相手と軽口を叩き合いながらつるむ、あの空気とセットにすると、pal around のくだけた親しみが、体感として記憶に残ります。
例文で覚える「pal around」
pal around は、気の合う仲間と気軽につるむ場面で活躍します。場面を変えながら、3つの例で見てみましょう。
He spends his weekends palling around with his old college friends.
(彼は週末を、大学時代の旧友とつるんで過ごしている。)
近況を語る、最も基本的な場面です。pal around with ~ の形で、「〜と気軽につるむ」という親しい交友を、自然に表せます。
Since when do you pal around with him?
(いつから彼とつるむようになったの?)
意外な交友関係に驚く場面です。劇中のエイミーの突っ込みに近いトーンで、Since when do you pal around with ~? と問えば、「いつのまにそんなに仲良く?」という軽い驚きを表せます。
A: Are those two still close?
B: Oh yeah, they’ve been palling around since high school.
(A:あの二人、まだ仲いいの?)
(B:うん、高校時代からずっとつるんでるよ。)
昔からの交友をたずねる会話です。have been palling around since ~ の形で、「ずっと変わらずつるんでいる」という長く続く関係を伝えられます。
あわせて覚えたい関連表現
hang out (with someone)
((〜と)つるむ、一緒に過ごす)
「つるむ」を表す、最も一般的でニュートラルな言い方です。pal around が古風で「仲間意識」のあたたかさをまとうのに対し、hang out は世代を問わず使える、いちばん標準的な表現です。迷ったらまず hang out、と覚えておくと安心です。
knock around (with someone)
((〜と)ぶらぶらつるむ)
pal around に近いくだけた口語ですが、「あてもなくうろつく」というぶらぶら感がより強い言い方です。目的のなさを少し強調したいときに合います。
buddy up (with someone)
((〜と)仲良くなる、組む)
buddy up は「ペアを組む・親しくなり始める」という、関係が始まる起点に焦点があります。すでに親しい間柄でつるみ続ける pal around に対し、buddy up は「これから組む・仲良くなる」という方向を向いた表現です。
Note|pal around が持つ、少し古風で温かい響き
pal around を読み解く鍵は、この表現がまとう、どこか懐かしい空気にあります。意味としては hang out とほぼ同じなのに、なぜ pal around には独特の温かみが感じられるのでしょうか。
その正体は、まず pal という単語そのものにあります。pal は「友達・仲間」を表すくだけた言葉ですが、buddy や mate と並んで、どこか昔ながらの親しみを帯びた響きを持っています。とりわけ pal around という句動詞になると、その懐かしさはいっそう際立ちます。今でも問題なく通じる現役の表現ではあるものの、若い世代が日常的に使う hang out に比べると、pal around はやや上の世代を感じさせる、温かくレトロな言い方だとされています。映画や小説の中で、長年の友人どうしの気の置けない関係を描くときなどに、この言葉のあたたかい色合いがよく似合います。同じ「つるむ」でも、hang out が時代を問わないフラットな響きなのに対し、pal around には「昔からの仲間と肩を並べて過ごす」ような、人情味のあるニュアンスがにじむのです。だからこそ、劇中でエイミーがあえて befriend ではなく pal around を選んだとき、その一語には、シェルドンとのあいだに戻ってきた気安い親しさが、さりげなく重ねられていました。言葉の選び方ひとつに、ふたりの距離感が映り込んでいるのです。
言葉のまとう空気の違いに目を向けると、同じ意味の表現でも、それぞれが運んでくる温度が見えてきます。
まとめ|エイミーの軽口から学ぶ「気軽につるむ」
pal around は、気の合う仲間と特に目的もなく一緒に過ごす、「気軽につるむ・親しく過ごす」を表す言い回しです。
友達と遊ぶ習慣を語るとき、意外な交友関係に驚いたとき、昔からの仲間との関係を振り返るとき。hang out よりも少し古風で、「仲間意識」のあたたかさがにじむのが、この表現ならではの持ち味です。多くは with someone を伴って、誰とつるむのかをそえて使います。
気の置けない誰かと過ごす時間を、あたたかい色合いで語りたい場面の一言として、表現の引き出しに加えてみてください。
理屈っぽいシェルドンの矛盾を、軽い一言でいなすエイミーの後ろに、別れたばかりのふたりのあいだに戻ってきた、気安くて心地よい空気が顔をのぞかせていました。


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