海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
仕事でも趣味でも、「あの人は何が目当てでやっているんだろう」と、人の動機がふと気になることはありませんか。
そんな「目当て・狙い」を一言で表す「in it for」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第22話の冒頭、ペニーが当てたワインの試飲会を話題に、科学者には景品が当たらないとぼやくレナードへハワードが軽口で返すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「in it for」の意味とニュアンス
in it for
意味:〜が目当てで(何かに関わっている)
in it for は、ある活動や仕事、人間関係に関わっている「目的・見返り」を指す表現です。直訳すると「それ(it)の中に、〜のために(for)入っている」となり、it は今まさに関わっている状況や活動を漠然と指します。be in it for the money(金目当てだ)が最も典型的な形で、しばしば「本当の狙いは何なのか」という打算をあぶり出すトーンを帯びます。純粋な好意や情熱とは対照的に、「何を得ようとしているのか」という見返りに焦点を当てるのが、この表現の核です。本音をストレートに言語化する、英語らしい言い回しと言えます。
【ここがポイント!】
- it は特定の物ではなく「今関わっている活動・状況」をまるごと指す一言
- for の後ろに置くのは、その人が狙っている見返り・目的
- 「本当の狙いは何?」と動機をあぶり出すトーンが出やすい表現
『ビッグバン★セオリー』S09E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ペニーが職場のくじでワインの試飲会の夜を当て、みんなを誘います。レナードが「科学者って、なんで営業マンみたいに無料の景品が当たらないんだろう」とぼやくと、ハワードがすかさず軽口で切り返します。
Leonard: How come scientists don’t win free stuff like salespeople do?
(科学者って、なんで営業マンみたいに無料の景品が当たらないんだろう?)Howard: ‘Cause we’re not in it for the stuff. We’re in it for the groupies.
(景品目当てじゃないからさ。俺たちはグルーピー目当てなんだよ。)The Big Bang Theory Season9 Episode22(The Fermentation Bifurcation)
シーン解説と心理考察
レナードの素朴なぼやきに、ハワードが「目当てが違うんだ」と即座に返すテンポのよさが、この掛け合いの見どころです。in it for the stuff(景品目当て)と in it for the groupies(グルーピー目当て)を並べることで、同じ構文を二度繰り返しながらオチをつける言葉のリズムが効いています。続けてシェルドンが「報酬目当てなど品位を欠く、私は発見の喜びのためにやっている」と高尚ぶった直後、エイミーに「でもノーベル賞欲しいって言ってるじゃない」と矛盾を突かれる流れも、何のためにやっているのかという「動機」をめぐる軽妙な応酬になっています。建前と本音のズレが、各キャラクターの価値観の違いとして表れています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
in it for を覚えるなら、「it という箱の中に、ある見返り(for ~)を求めて身を置いている」という絵で捉えるのがおすすめです。ハワードがおどけて口にした「俺たちはグルーピー目当て(in it for the groupies)」の一言は、おどけているのに妙に本音めいて聞こえます。あの軽口とセットで思い出せば、「何のために首を突っ込んでいるのか=その人の目当て」という核が、絵のように記憶に残ります。
例文で覚える「in it for」
in it for は、人の動機を「目当て」という角度から言い表す表現です。否定形での使い方が特に多く、3つの例文で幅を見ていきましょう。
He’s not in it for the money; he genuinely loves the work.
(彼はお金目当てじゃない。本当に仕事が好きなんだ。)
同僚の人柄を説明する場面です。not in it for ~ の否定形は、「打算ではなく本心からだ」と強調するときの定番の形です。
I’m in it for the long haul, not a quick profit.
(私は長期戦のつもりだ。手っ取り早い儲け目当てじゃない。)
事業や取り組みへの姿勢を語るビジネスの場面で使えます。in it for the long haul(長く腰を据えて取り組む)は、セットで覚えておきたいコロケーションです。
A: Why did you join the volunteer group?
B: Honestly? I’m in it for the people I get to meet.
(A:どうしてボランティア団体に入ったの?)
(B:正直に言うと? そこで出会える人たちが目当てかな。)
友人同士のカジュアルな会話です。動機を素直に打ち明けるときに、in it for ~ が自然に効いています。
あわせて覚えたい関連表現
what’s in it for me?
(自分には何の得があるの?)
同じ in it for を使った定型疑問で、相手の話に乗る前に「自分のメリット」を確認する決まり文句です。be in it for ~ が動機の説明なのに対し、こちらは見返りを問う側に役割が変わります。
be after (something)
(〜を狙っている)
欲しいものを追い求めている、という意味です。after は狙っている対象を露骨に名指しするのに対し、in it for は「関わる目的」という広がりを持たせて言う点が違います。
for the love of it
(好きでやっている)
見返りなしに、純粋に好きだからやる、という意味です。in it for ~ が見返りに焦点を当てるのとは対照的で、シェルドンの言う「発見そのものの喜び」に近い動機を表します。
Note|in it for と what’s in it for me ― 同じ型の二つの顔
ハワードのセリフに出てきた in it for は、実はもう一つ、英語の会話で非常によく使われる兄弟表現を持っています。それが what’s in it for me? です。
be in it for ~ と what’s in it for me? は、どちらも in it for という同じ部品を中心に持ちながら、文の形によって役割がはっきり分かれます。前者は「私は〜が目当てだ」と自分や他人の動機を説明する平叙文。後者は「それで私に何の得があるの?」と見返りを問いただす疑問文です。たとえば誰かが「このプロジェクトを手伝ってほしい」と頼んできたとき、英語話者は半分冗談、半分本音で So, what’s in it for me?(で、私には何のメリットが?)と返すことがあります。露骨に聞こえそうですが、ビジネスでも友人同士でも、駆け引きの潤滑油として軽く使われる定番フレーズです。同じ in it for が、主語と文型を変えるだけで「動機の説明」から「見返りの要求」へと顔を変えるわけです。
ハワードの in it for the groupies が言えるようになったら、その裏返しとして what’s in it for me? もセットで押さえておくと、動機と見返りの両面を英語で表現できるようになります。
同じ部品が、文の形しだいで違う働きをする。英語の面白さが詰まった一例です。
まとめ|「目当て」を一言で言い表す英語
in it for は、ある活動や関係に関わっている「目当て・狙い」を、見返りという角度から言い表す表現でした。be in it for the money のように for の後ろを入れ替えるだけで、お金・名声・楽しさ・人とのつながりまで、あらゆる動機を自在に語ることができます。
人の本音や自分の動機を、打算も含めて言葉にできるようになると、相手の話の裏にある狙いも自然に聞き取れるようになります。「あの人は何が目当てなんだろう」と感じた瞬間に in it for が浮かぶよう、表現の引き出しに加えてみてください。


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