海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「あの人は正直すぎて、かえって損をしている」と感じるような、長所が度を越した人物に出会ったことはありませんか。
そんな「〜すぎるほど〜だ」というニュアンスを表す「loyal to a fault」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第22話、ラージの新しい交際相手クレアに、レナードがラージの人柄をフォローするシーンから、一緒に見ていきましょう。
「loyal to a fault」の意味とニュアンス
loyal to a fault
意味:忠実すぎるほど忠実な/義理堅すぎる
loyal to a fault のカギは、to a fault という部分にあります。これは「(長所が)度を越して、欠点と言えるほどに」という意味の言い回しです。loyal(忠実な)という良い性質に to a fault が付くことで、「忠実すぎるくらいに忠実だ」という、長所を強調しつつ「やりすぎなほど」という含みを添える表現になります。loyal だけでなく、generous to a fault(気前が良すぎる)、honest to a fault(正直すぎる)のように、人の美点を表すさまざまな形容詞と組み合わせて使えます。基本は褒め言葉ですが、「度を越している」という一さじのスパイスが効いているのが、この表現ならではの味わいです。
【ここがポイント!】
- to a fault は「欠点になるほど度を越して」という強調の言い回し
- 長所を表す形容詞に付けて「〜すぎるほど〜だ」と言える
- 基本は褒め言葉だが「やりすぎ」という含みがほんのり乗る
『ビッグバン★セオリー』S09E22のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ラージは、クレアとエミリーという二人の女性と「割り切った関係」を同時に続けています。その事実をまだ知らないクレアが、「ラージは他の女の子も連れてくるの?」と核心を突く質問をします。気まずさを察したレナードが、当たり障りなくフォローに回ります。
Claire: So, I got to ask, does Raj bring around other girls?
(ねえ、聞きたいんだけど、ラージって他の女の子も連れてくるの?)Leonard: I don’t think you have anything to worry about. Raj is a terrific guy, loyal to a fault.
(心配することなんて何もないと思うよ。ラージはすごくいいやつだ、忠実すぎるくらいにね。)The Big Bang Theory Season9 Episode22(The Fermentation Bifurcation)
シーン解説と心理考察
レナードが善意でラージを「loyal to a fault(忠実すぎる男)」とかばう一方、観客はラージが二股をかけている事実を知っているため、その褒め言葉が強烈な皮肉として響く構図になっています。レナードに悪気はなく、むしろ友人を必死にフォローしているのですが、選んだ言葉が実態と正反対なところに可笑しさがにじみます。直後にハワードが「あいつ、いまだにAOLのアドレス使ってるしな」と、忠実さの証拠にならない時代遅れな一点を持ち出すあたりも、その場しのぎのぎこちなさが会話の温度を変えています。本人たちは大真面目にかばっているのに、かばえばかばうほどボロが出そうになる緊張感が、このシーンの見どころです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
loyal to a fault を覚えるコツは、fault(欠点・落ち度)という単語に注目することです。良い性質(loyal)が「欠点(fault)になってしまうレベルにまで(to)」振り切れている、とイメージすれば、「〜すぎる」という意味が腑に落ちます。浮気疑惑のあるラージを、よりにもよって「忠実すぎる」とかばってしまったレナードの皮肉なシーンを思い出せば、「美点を、度を越したくらいに、と評する型」がそのまま記憶に残ります。
例文で覚える「loyal to a fault」
to a fault は、loyal 以外にもさまざまな長所の形容詞と組み合わせて使えます。3つの例文で、その応用の幅を見ていきましょう。
He’s generous to a fault—he’d give you his last dollar.
(彼は気前が良すぎるくらいで、最後の1ドルまで人にあげてしまう。)
友人の人柄を称える場面です。generous to a fault は、to a fault の中でも特によく使われる組み合わせの一つです。
Our manager is thorough to a fault, double-checking every detail.
(うちのマネージャーは徹底しすぎるほどで、細部まで二重チェックする。)
同僚の仕事ぶりを評するビジネスの場面です。長所である「徹底ぶり」が、時に行き過ぎるほどだ、というニュアンスがにじみます。
A: Why does she always tell people exactly what she thinks?
B: She’s honest to a fault. It’s just who she is.
(A:彼女はどうしていつも思ったことをそのまま言うんだろう?)
(B:正直すぎるんだよ。そういう人なんだ。)
人の性格について話す会話です。長所と短所が紙一重であることを、to a fault が一言で言い表しています。
あわせて覚えたい関連表現
too ~ for one’s own good
(〜すぎてかえって良くない)
ある性質が度を越して、本人に不利益をもたらす、という意味です。to a fault が好意的な評価であることが多いのに対し、こちらは「本人のためにならない」という否定的な含みが強い点が違います。
overly (kind / cautious)
(過度に(親切/慎重))
必要以上に度が過ぎている、という意味の副詞です。overly は中立からやや否定的に「やりすぎ」と言うのに対し、to a fault には「美点ゆえに」という温かみが残る違いがあります。
devoted
(献身的な)
loyal の近い言葉で、「献身」の度合いがより強い形容詞です。loyal to a fault のような「やりすぎ」の含みは devoted 単体では持たず、純粋に深い忠誠を表します。
Note|to a fault の fault は「欠点」ではなく「過剰」
loyal to a fault という表現を初めて見ると、「忠実なのに fault(欠点)?」と戸惑う人も少なくありません。ここには、fault という単語の少し特別な使い方が隠れています。
私たちが普段 fault という単語を習うとき、その意味は「欠点」「過失」「落ち度」です。ところが to a fault という言い回しの中の fault は、この通常の意味から少しずれて、「度を越したレベル」「過剰なほど」という程度を表す働きをしています。つまり generous to a fault は「気前の良さが、欠点と言えるほどのレベルにまで達している」、すなわち「気前が良すぎる」となるわけです。この用法はかなり古くから英語に存在するとされ、長所を表す形容詞の後ろに置いて「その美点が行き過ぎている」と表現する、決まった型として定着しています。面白いのは、ここで組み合わされる形容詞が、ほぼ必ず良い意味の言葉だという点です。lazy to a fault(怠惰すぎる)のような否定的な形容詞との組み合わせはまず使われません。あくまで「良いことが過剰になっている」という、ほろ苦い称賛のための表現なのです。
レナードがラージを loyal to a fault とかばったのも、「忠実」という美点を最大限に持ち上げる言い方だったからこそ、実態とのギャップが皮肉として際立ったのでした。
褒めているのに、どこか「やりすぎ」とくすぐる。fault 一語の妙です。
まとめ|長所を「〜すぎるほど」と表す英語
loyal to a fault は、to a fault という言い回しを使って、長所を「度を越すほどに」と強調する表現でした。fault が「欠点」ではなく「過剰なレベル」を指す点を押さえれば、generous・honest・thorough など、さまざまな美点を表す形容詞に応用できます。
人を褒めるときに、ただ「優しい」「正直だ」と言うだけでなく、「優しすぎるくらいだ」と一さじの含みを添えられると、表現が一気に立体的になります。誰かの長所が際立って見えた瞬間に to a fault が浮かぶよう、表現の引き出しに加えてみてください。


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