海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
親しい相手が何かを言いかけてやめたり、妙によそよそしかったり。「あれ、何か隠してる?」と胸がざわついた経験はありませんか。
そんな「隠し事をする」気配にぴったりの「keep something from someone」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン10第7話の中盤、エイミーの様子がおかしいと感じたシェルドンが、カフェテリアで友人たちに不安を打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「keep something from someone」の意味とニュアンス
keep something from someone
意味:(人)に〜を隠しておく、打ち明けずにいる
「あることを、ある人のもとへ届かないように手元にとどめておく」というのが、この表現の中心にあるイメージです。keep が「保持する」、from が「〜から遠ざける」方向を示し、二つが組み合わさることで「相手に知らせずに伏せておく」という意味になります。
積極的に嘘をつく lie とは少し違い、keep something from someone は「あえて言わない」「打ち明けない」という消極的な隠し事まで広くカバーします。悪意のある場合もあれば、相手を心配させたくないという思いやりから出ることもあり、動機はさまざまです。家族・恋人・同僚など、近しい間柄で「都合の悪いことや言いづらいことを伏せている」場面で頻繁に登場します。
【ここがポイント!】
- 核は「情報を相手のもとへ届かせず、手元にとどめる」イメージ
- lie より広く、「あえて言わない」隠し事まで含むのが特徴
- keep A from B(AをBに隠す)の語順で覚えておくと使いやすい一言
『ビッグバン★セオリー』S10E07のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
エイミーの態度がどうも不自然だと気づいたシェルドンが、カフェテリアでレナードたちに胸の内を明かします。彼らしい大げさな言い回しで不満をこぼすところに、「keep something from someone」が顔を出します。
Sheldon: Whatever it is, it’s troubling me. Why would she keep something from me, you know? I shared my body with that woman. And my Netflix password.
(何にせよ、気がかりなんだ。なんで僕に隠し事をするんだ? 体まで分かち合った仲だぞ。Netflixのパスワードもだ。)Leonard: Buddy, listen, nothing bad is going on. She just didn’t want you to know that the work on her apartment was finished a couple weeks ago.
(なあ、悪いことは何も起きてないって。彼女はただ、アパートの工事が2週間前に終わったのを君に知られたくなかっただけだよ。)The Big Bang Theory Season10 Episode7(The Veracity Elasticity)
シーン解説と心理考察
シェルドンにとって、隠し事は単なる秘密ではなく信頼の問題として響いています。「体もNetflixのパスワードも共有した仲なのに」という、論点のずれた誇張にこそ、彼の動揺と被害者意識がにじむ場面です。重大な裏切りを疑っているわけではなく、「自分の知らないことがある」という状態そのものが我慢ならない、というシェルドンらしさが表れています。
一方のレナードは、エイミーの事情をすでに知っている側です。「悪いことは何もない」と先回りしてなだめる姿に、二人の関係を取り持とうとする気づかいが重なっています。keep something from someone が、深刻な裏切りから他愛ない隠し事まで幅広く使えることが、この温度差のあるやり取りからよく伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
from を「相手との間に立てた一枚の壁」だと思い描いてみてください。情報は自分の手元に keep(保持)したまま、相手 from(から)は見えないように壁の向こうへ置く。この「壁の手前と向こう」の構図が、そのまま keep something from someone の方向性になります。
劇中では、エイミーが「アパートが完成した」という情報を壁の向こうに隠し、シェルドンは壁越しに「何かある」と気配だけを感じ取っています。壁のこちら側で気をもむシェルドンの姿を思い出せば、「誰に・何を伏せているのか」という語順も一緒に記憶に残ります。
例文で覚える「keep something from someone」
物を隠す場合から、思いやりゆえの隠し事まで、この表現は幅広い場面で使えます。語順を体に馴染ませる三つの例文を見ていきましょう。
Are you keeping something from me? You’ve been acting strange all week.
(私に何か隠してる? 今週ずっと様子が変だよ。)
相手の態度の違和感を問いただす場面です。進行形にすると「今まさに隠している」という、その場の追及のニュアンスが強まります。
Management kept the layoffs from employees until the last minute.
(経営陣はぎりぎりまで従業員に人員削減を伏せていた。)
組織が不都合な情報を隠していた状況を表します。keep A from B の語順がはっきり出る、ビジネス寄りの一例です。
A: Is there something you’re not telling me?
B: I didn’t want to keep it from you, but I wasn’t sure how to bring it up.
(A:何か言ってないことがあるんじゃない?)
(B:隠すつもりはなかったんだ。ただ、どう切り出せばいいか分からなくて。)
打ち明け話の前置きとして使える会話例です。keep it from you に「隠したくはなかった」という葛藤がにじみます。
あわせて覚えたい関連表現
hide something from someone
((人)から〜を隠す)
hide はより物理的・能動的に「隠す」行為そのものを指します。keep … from が「あえて伝えずにおく」状態まで含むのに対し、hide は隠す動作に焦点がある点が違いです。
hold back
((情報などを)出し惜しむ、伏せる)
全部ではなく一部を出さずに留保するニュアンスです。keep … from が「丸ごと伏せる」場合にも使えるのに対し、hold back は「肝心な部分だけ言わない」場面で自然に響きます。
be in the dark
(何も知らされていない)
隠される側の状態を表す表現です。keep something from someone の結果として、相手が be in the dark になる、という関係で覚えると対になって記憶に残ります。
Note|前置詞 from が担う「分離・遠ざけ」の感覚
keep something from someone の意味を支えているのは、実は小さな前置詞 from です。このひとつの語に注目すると、似た構文がまとめて見えてきます。
英語には、keep / stop / prevent / protect / hide といった動詞に from を続けて「あるものを起点から引き離す・到達させない」と表す構文群があります。stop someone from doing(〜するのを止める)、prevent A from B(AがBするのを防ぐ)、protect someone from harm(危害から守る)。これらに共通するのは、from のうしろに置かれたものを「遠ざける・届かせない」という発想です。from はもともと「起点・分離」を表す前置詞とされ、「ある地点から離れていく」感覚が核にあると言われています。keep something from someone も、この大きな仲間の一員として捉えると腑に落ちます。情報という「もの」を、相手という「起点」から引き離して手元にとどめておく。だからこそ「隠す」の意味になるわけです。
この見方を覚えておくと、keep … from だけでなく、from を使った「遠ざける」系の表現すべてが一本の線でつながります。個別に丸暗記するより、ずっと応用が利きます。
小さな前置詞ひとつが、文全体の方向を決めているのですね。
まとめ|隠し事を表す from の一語
keep something from someone は、「情報を相手のもとへ届かせず、自分の手元にとどめておく」表現です。嘘をつくほど積極的ではなくても、「あえて言わない」だけで成り立つ隠し事まで広くカバーします。
この一語が使えるようになると、「言った/言わない」のあいだにあるグレーな状況を、的確に言葉にできるようになります。心配をかけたくない隠し事も、都合の悪い情報の伏せ方も、同じ型で表現できます。
近しい相手とのあいだで生まれる微妙な秘密を言い表す表現として、会話のレパートリーに加えてみてくださいね。


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