海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
なかなか解決しない問題や、いつも面倒を持ち込んでくる相手。大きな一撃ではないのに、じわじわと悩まされ続ける——そんな存在に心当たりはありませんか。
そんな「絶えず悩ませるもの」を表す「a thorn in one’s side」を、『BONES ―骨は語る―』シーズン11第12話、男性権利団体の代表が対立相手を語るシーンから、一緒に見ていきましょう。
「a thorn in one’s side」の意味とニュアンス
a thorn in one’s side
意味:悩みの種、目の上のたんこぶ(絶えず悩ませる存在)
「a thorn in one’s side」は、取り除けずにずっと苦痛を与え続ける、厄介な人や物事を指す表現です。直訳は「脇腹に刺さったトゲ」。服の中に小さなトゲが一本刺さっていて、動くたびにチクチク痛むものの、なかなか抜けない——そんな感覚が言葉の土台にあります。
この表現の特徴は、一度きりの大きな被害ではなく、「継続的に」悩ませる点にあります。いつも問題を起こす同僚、長引いて解決しない課題、敵対し続ける相手など、地味に、しかし長く悩みの種になる対象に使われます。side(脇腹)の代わりに flesh(肉)を使う形もあります。
【ここがポイント!】
- 直訳は「脇腹のトゲ」、抜けずにチクチク痛み続けるイメージ
- 一度きりではなく「ずっと悩ませる」継続性がこの表現の核
- 厄介な人にも、片づかない問題にも使える幅の広い一言
『BONES』S11E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者エミルが共同設立した団体を、ブースとブレナンが訪ね、事情を聴く場面です。代表のポールは、対立する女性団体のリーダー、リア・マリーノを脅迫者候補として名指しします。彼にとってリアがどんな存在だったのかが、この一言に表れます。
Brennan: Do you know of anyone who threatened him?
(彼を脅していた人物に心当たりは?)Paul: As a matter of fact, I do. Leah Marino. She runs the D.C. chapter of Women for Change.
(実はいるんだ。リア・マリーノ。「女性のための変革」のD.C.支部を仕切っている女だ。)Paul: That woman’s been a thorn in our side from day one.
(あの女は最初の日からずっと、うちの悩みの種だったんだ。)Bones Season11 Episode12(The Murder of the Meninist)
シーン解説と心理考察
ポールの「a thorn in our side」には、対立相手リアへの根深い敵意がにじむ場面です。「from day one(最初の日から)」という言葉を添えることで、一時的な揉め事ではなく、団体の活動を初日からずっと妨げ続けてきた存在として彼女を語っています。
同時に、この発言には捜査を別の方向へ向けたいポールの思惑も透けて見えます。脅迫者を問われた瞬間に即座に相手の名を挙げる素早さが、その意図をやわらかく見せています。敵意と打算が入りまじった証言として響き、聞き手にどこまで信じるべきかを考えさせる場面と言えます。
『BONES』流・覚え方のコツ
思い浮かべたいのは、靴の中に入り込んだ小さなトゲです。歩くたびに足の側面をチクッと刺してくるのに、立ち止まって探してもなかなか見つからない。大ケガではないけれど、ずっとつきまとう小さな痛み——その感覚が、この表現の核心です。
劇中でポールがリアを「最初の日からずっと」と語る場面と重ねると、「一回の被害」ではなく「継続的な厄介者」というニュアンスがはっきりします。脇腹や足元にチクチクと刺さり続けるトゲを思い描けば、誰かを「悩みの種」と呼ぶときの実感がそのまま身につきます。
例文で覚える「a thorn in one’s side」
人にも問題にも使える、汎用性の高いフレーズです。場面ごとの使われ方を、3つの例文で見ていきましょう。
That software bug has been a thorn in our side for the whole project.
(あのソフトのバグはプロジェクトの間ずっと悩みの種だった。)
なかなか解決しない問題を振り返る場面です。物事を主語にして、長く尾を引いた厄介さを表す典型的な使い方です。
The new regulation has become a thorn in the side of small businesses.
(新しい規制は中小企業の悩みの種になっている。)
ニュースや報告など、ややかための文脈で使われる例です。in the side of 〜 の形で、誰にとっての悩みの種かを明示できます。
A: Is that noisy neighbor still bothering you?
B: Yeah, he’s been a real thorn in my side for months.
(A:あのうるさい隣人、まだ困らせてくるの?)
(B:うん、もう何か月も本当に頭痛の種だよ。)
日常の悩みを打ち明ける会話です。real を添えると、長引く厄介さへの実感がいっそう強く伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
a pain in the neck
(厄介者、面倒な存在)
より口語的で、軽い苛立ちを表す表現です。「a thorn in one’s side」が「長く続く深刻な悩み」を指すのに対し、こちらは日常のちょっとした面倒に気軽に使えます。
a constant headache
(絶えない頭痛の種)
問題や状況に使いやすい表現です。「a thorn in one’s side」が持つ「敵対的な相手」という含みは薄く、片づかない課題そのものを指すことが多いのが違いです。
a fly in the ointment
(玉に瑕、台無しにする小さな難点)
全体は良いのに一点だけ台無しにする要素を指します。継続的に悩ませるというより「惜しい一点」に注目する表現で、「a thorn in one’s side」とは焦点が異なります。
Note|聖書に由来する「脇腹のトゲ」
身近な「悩みの種」を表す「a thorn in one’s side」ですが、その由来は意外なほど古く、聖書にまで遡ると言われています。
この表現のもとになったとされるのは、新約聖書に出てくる「肉体に与えられたトゲ(a thorn in the flesh)」という一節です。そこでは、絶えず自分を苦しめる試練が、抜き取ることのできないトゲにたとえられています。さらに旧約聖書にも、敵対する者たちを脇腹に刺さるトゲのような存在として描く表現が見られ、こうした古い比喩が長い年月をかけて受け継がれてきたと考えられます。やがて宗教的な文脈を離れ、日常の中の「ずっとつきまとう厄介な存在」を指す言い回しとして定着していきました。flesh(肉)と side(脇腹)の二つの形が今も併存しているのは、この長い来歴の名残と言えます。
由来を知ると、この表現が単なる「面倒」よりも重く響く理由が見えてきます。抜こうとしても抜けない、耐えるしかないトゲ——その切実さが、言葉の奥に息づいているのです。
古い聖書の一節が、現代の職場や日常の愚痴にまで生きている。言葉の長い旅を感じさせる表現です。
まとめ|ポールの「脇腹のトゲ」が映すもの
「a thorn in one’s side」は、取り除けずにずっと悩ませ続ける、厄介な人や物事を表すひとことです。大きな一撃ではなく、じわじわと長く続く痛み——その継続性こそが、この表現の本質です。
この一言を知っておくと、解決しない問題や手を焼く相手について語るとき、その「ずっと続く厄介さ」をぴたりと言い表せます。職場でも日常でも、頭を悩ませ続ける存在を的確に描く言葉として働いてくれます。
脇腹に刺さって抜けない一本のトゲを思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。


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