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会議や打ち合わせで、長い前置きが続いたあとに「で、結局何が言いたいの?」とそわそわしてしまう場面があります。
そんなときに使える「cut to the chase」を、『CHUCK』シーズン1第9話の終盤、大物ヤリが捕らえたチャックたちを前に、回りくどい駆け引きを省いて尋問の本題へ踏み込むシーンから、一緒に見ていきましょう。
「cut to the chase」の意味とニュアンス
cut to the chase
意味:本題に入る、単刀直入に言う、要点をズバリ言う
無駄な前置きを飛ばして、いちばん重要な部分へ一気に進むことを表すイディオムです。回りくどい説明や世間話を省略し、核心へ直行するときに使います。
このフレーズの chase は、もともと映画の「追跡(チェイス)シーン」を指しています。退屈な場面を飛ばして、観客が一番見たい見せ場へと一気に「カットする」イメージが下敷きです。Let me cut to the chase.(単刀直入に言わせてください)のように一人称で前置きを省く宣言として使うほか、Cut to the chase.(要点を言え)と相手をせかすこともできます。To cut to the chase, 〜(率直に言うと)と文頭に置けば、結論から話を始める便利な型にもなります。ビジネスから日常会話まで幅広くなじむ表現です。
【ここがポイント!】
- 無駄な前置きを飛ばして核心へ一気に進む、というイディオム
- chase は映画の「追跡シーン」、見せ場へ編集でカットする発想が由来
- 一人称の宣言、相手への催促、文頭の前置きと幅広く使える
『CHUCK』S01E09のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
物語の終盤、捕らえられたチャックたちを前に、シッピング・マグネイトのヤリが尋問を始める緊迫した場面です。「時間がない」と前置きしたうえで、回りくどい脅し文句や駆け引きを省き、即座に本題へ踏み込みます。世間話を挟まず核心を突くことで、無駄を嫌う大物の凄みが立ち上がります。
Yari: Time is of the essence, so I will cut to the chase. We have a very important delivery that is about to be picked up and we need to know who else knows about it.
(時間がない。だから単刀直入に言おう。間もなく受け取られる重要な荷がある。それを他に誰が知っているのか、教えてもらう必要がある。)Chuck Season1 Episode9
シーン解説と心理考察
ヤリが「I will cut to the chase」と切り出す一言に、無駄を嫌う大物の冷たい効率性が表れています。脅し文句や前置きを挟まず、いきなり核心の問いへ進むことで、相手を追い詰める静かな圧力が生まれています。
「時間がない」という言葉と組み合わさることで、cut to the chase が単なる口癖ではなく、状況の緊迫を映す一言として響きます。世間話で揺さぶるのでも、感情的に脅すのでもなく、ただ要点だけを突きつける——その淡々とした話法が、かえってヤリの危険さを際立たせています。サスペンスの緊張が、この短いセリフに重なっています。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
古い映画の編集室を思い浮かべてみてください。退屈な前置きの場面をフィルムからバッサリ「カット」して、観客が一番見たいカーチェイス(chase)の場面へ一気に飛ばす——それが cut to the chase です。まどろっこしい部分を切り捨てて、おいしいクライマックスへ直行するイメージですね。
悪役ヤリが「時間がない、単刀直入に言おう」と、無駄を省いて核心を突く、あの緊迫の一言を思い出すと、「前置き抜きで本題へ」という意味が記憶に残りやすくなります。フィルムを切ってチェイスへ飛ぶ、その動きごと覚えるのがコツです。
例文で覚える「cut to the chase」
前置きを省いて要点へ進みたいとき、すっきり使えます。場面を変えて三つの使い方を見てみましょう。
We’re short on time, so let me cut to the chase.
(時間がないので、単刀直入に言いますね。)
会議で要点から入る場面です。劇中とほぼ同じ形で、「前置きは省きます」という宣言として最もよく使われます。
To cut to the chase, the project is behind schedule.
(率直に言うと、プロジェクトは遅れています。)
状況を端的に報告する場面です。To cut to the chase, を文頭に置くと、結論から切り出す前置きとして機能します。
A: So there were a lot of factors, and the market shifted, and, well…
B: Can you cut to the chase? Did we hit the target or not?
(A:いろんな要因があって、市場も動いて、その、まあ…。)
(B:要点だけ言ってくれる? 目標は達成できたの、できなかったの?)
話の長い相手をせかす会話です。回りくどい説明にしびれを切らして、「核心を言って」と促す場面で自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
get to the point
(要点を言う、本題に入る)
ほぼ同義で、より直接的・一般的な表現です。cut to the chase のほうが映画由来の軽い面白みを持ち、「前置きをドラマチックに切り捨てる」ニュアンスが加わる点が違います。
in a nutshell
(手短に言えば、ひと言で言うと)
内容を短く要約するときの表現です。cut to the chase が「前置きを飛ばす」動作に焦点があるのに対し、こちらは「長い話を凝縮する」点に focus があります。
long story short
(かいつまんで言うと)
長い経緯を省いて結論だけ伝えるときに使います。cut to the chase が経緯の有無を問わず「核心へ急ぐ」のに対し、こちらは「いろいろあったけど結論は」と経緯の省略を前提にする点が違います。
Note|映画編集から生まれた「本題に入る」表現
cut to the chase を直訳すると「チェイスシーンへカットする」。この一見ふしぎな言い回しが、なぜ「本題に入る」を意味するのでしょうか。鍵は、このフレーズが生まれたとされる映画の世界にあります。
初期のハリウッド映画、とくにサイレント映画やアクション映画では、見せ場となる追跡シーン(chase scene)が観客の最大のお目当てでした。ところが本筋に入る前に、恋愛模様や状況説明など、観客が退屈しがちな場面が続くこともあります。そこで「まどろっこしい場面は飛ばして、早くチェイスシーンへ編集でカットせよ」という発想が生まれ、それが cut to the chase という言い回しの由来になったとされています。映画制作の現場で使われた業界の言葉が、やがて一般の会話へと広がり、「退屈な前置きを省いて核心へ進む」という意味で定着しました。get to the point(要点へ進む)が抽象的に「点」を目指すのに対し、cut to the chase は「見せ場へ飛ぶ」という具体的な映像を背負っているぶん、どこか軽快で楽しげな響きを持っています。
ヤリが尋問で「I will cut to the chase」と口にしたのも、まさに前置きという「退屈な場面」を編集でカットし、いきなり核心の問いという「見せ場」へ飛び込む話法と言えます。緊迫した尋問の場で、この映画由来の表現が選ばれているのも、どこか皮肉が効いています。
退屈な場面を飛ばして見せ場へ——その編集の発想が、日々の会話にも生きているのですね。
まとめ|ヤリの「単刀直入に」から学ぶ、核心への近道
cut to the chase は、回りくどい前置きを飛ばして核心へ一気に進むことを、映画の「見せ場へカットする」発想で表せるイディオムです。chase(追跡シーン)へ編集で飛ぶ、という由来が、「本題へ直行する」イメージを支えています。
会議で要点から切り出したいときも、話の長い相手をせかしたいときも使え、To cut to the chase, と文頭に置けば結論から話を始められます。前置きを省く軽やかさと、核心を突く鋭さを併せ持つ一言です。
回りくどい前置きを断ち切って、いきなり本題の「見せ場」へ飛び込む——ヤリの尋問が、その切れ味を鮮やかに見せた場面でした。
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