海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かと比べて落ち込んでいる人に、「あんなやつ、お前とは比べものにならないよ」と励ましたくなる瞬間はありませんか。
そんなときにぴったりの「hold a candle to」を、『CHUCK』シーズン2第3話の冒頭、サラの元恋人の登場に落ち込むチャックを、義兄オーサムが持ち前の明るさで励ますシーンから、一緒に見ていきましょう。
「hold a candle to」の意味とニュアンス
hold a candle to
意味:〜に匹敵する、〜の足元にも及ばない(多くは否定形で使う)
直訳すると「〜にろうそくを差し出す」ですが、実際にはほぼ always、can’t や doesn’t などの否定形とセットで使われます。”A can’t hold a candle to B.” の形で、「AはBには到底かなわない」「比べものにならないほど格下だ」という強い優劣を表します。
ポイントは、肯定形ではめったに使われないことです。このフレーズは「一方が他方を圧倒している」と言いたいときの決まり文句で、否定の力を借りて片方を強く持ち上げる(あるいは落とす)働きをします。
比較の対象は人でも物でも構いません。映画のリメイクと原作、競合する製品、二人の実力差など、「比較するのも失礼なほど差がある」と強調したい場面で活躍します。
【ここがポイント!】
- 核は「ろうそくを差し出すことすらできない格下」という、否定前提のイメージ
- can’t / doesn’t と組んで、片方を一気に持ち上げる(落とす)決まり文句
- 肯定形ではほぼ使わない——否定形で覚えてしまうのがコツ
『CHUCK』S02E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
サラの元恋人ブライスの登場で、チャックはすっかり落ち込んでいます。その様子を見た義兄オーサムが、いつもの陽気なテンションで「あいつなんてお前には敵わない」と励まそうとします。ここでこのフレーズが飛び出します。
Chuck: Everything, except her ex is in town.
(全部順調さ、サラの元カレが街に来てることを除けばね。)Awesome: Stalker ex. Not awesome. Don’t sweat it, Chuck. This guy can’t hold a candle to you.
(ストーカー元カレか。オーサムじゃないな。気にすんなって、チャック。あいつなんて、お前の足元にも及ばないさ。)Chuck Season2 Episode3(Chuck Versus the Break-Up)
シーン解説と心理考察
オーサムの励ましは、根拠よりも勢いで押し切るタイプです。「あいつはお前の足元にも及ばない」と言い切ってチャックを持ち上げる姿には、彼らしい無条件の肯定が表れています。一人称「俺」で陽気にまくしたてる口調が、場の空気を軽くしているのが見どころです。
ところが、この直後にエリーが「で、その人そんなにすごい何を持ってるの?」と乗っかると、チャックは皮肉まじりにブライスの長所を自分で数え上げてしまいます。せっかく「比べものにならない」と励まされたのに、結局は相手の優位を認めてしまうわけです。
hold a candle to が「比較するのも失礼なほど格下だ」という強い表現であることを思うと、その強さとチャックの自信のなさのギャップが、コメディとして効いている場面だと言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
「hold a candle to」は、電灯のない時代に、見習いが親方の手元をろうそくで照らした下働きの姿をイメージすると覚えやすくなります。「ろうそくを持ってやる係にもなれない」=その場に立つ資格すらない格下、というわけです。
オーサムがブライスを「お前には敵わない」と一蹴した、あの威勢のいいセリフを思い出してみてください。「ろうそく係にもなれないほど格下」という映像と結びつけると、なぜこのフレーズが否定形でしか使われないのか——つまり「格下だ」と言うための表現なのだ——という点まで、自然に腑に落ちます。
例文で覚える「hold a candle to」
否定形で「〜には敵わない」と強調する表現です。3つの場面で使い方をつかんでいきましょう。
The remake doesn’t hold a candle to the original.
(リメイクは原作の足元にも及ばない。)
映画や作品を比較する、カジュアルな場面です。”doesn’t hold a candle to the original” は、作品評でよく登場する定番の言い回しになります。
Their new model is good, but it still can’t hold a candle to ours.
(彼らの新型はいいが、それでもうちのには敵わない。)
仕事で競合製品と自社製品を比べる場面です。相手をある程度認めたうえで、なお優位を主張する、ビジネスでも使える形です。
A: Have you tried that famous bakery everyone talks about?
B: I did, but honestly it can’t hold a candle to the little shop near my house.
(A:みんなが話してる有名なパン屋、行ってみた?)
(B:行ったよ。でも正直、うちの近所の小さい店には敵わないね。)
友人同士で店を比べるやり取りです。会話の中では、このように「評判ほどではなかった」と本音を述べる形で自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
be no match for …
(〜には敵わない、太刀打ちできない)
hold a candle to が魅力や質の優劣に広く使えるのに対し、be no match for は勝負や対決での力量差を端的に表します。
pale in comparison (to …)
(〜と比べると見劣りする)
「比べると色あせる」という視覚的な比喩です。hold a candle to よりやや客観的・フォーマルな響きがあり、文章でもよく使われます。
can’t compete with …
(〜とは勝負にならない)
直接的で口語的な表現です。hold a candle to がやや慣用的・文語的な響きを持つのに対し、こちらはより日常的でストレートな言い方になります。
Note|徒弟が親方に「ろうそくを掲げた」時代の名残
hold a candle to が、なぜ「ろうそく」という古めかしい言葉を含んでいるのか。そこには、電灯が普及する前の職人の世界が関わっているとされています。
電気のない時代、熟練した職人が夜まで作業をするとき、見習いはそばでろうそくを掲げ、親方の手元を照らす役目を担っていたと言われます。これは技術を要しない、誰にでもできる下働きでした。そこから、「あの人はあなたにろうそくを持ってあげる役目にすら値しない」=同じ土俵に立つことすらできない格下、という発想が生まれ、”not hold a candle to” という否定の慣用句になっていったとされています。つまりこのフレーズは、成り立ちの段階から「下の者が上の者に対して」という上下関係を前提にしているのです。否定形でしか使われないのは、もともと「格が違いすぎる」と示すための言い回しだから、と考えると筋が通ります。
この背景を知ると、hold a candle to が単なる「比較」ではなく、「比べることすら失礼なほどの差」を含んだ表現だと、より深く理解できます。
ろうそく一本に、職人の世界の上下関係が映り込んでいる——そんな来歴を持つ言葉です。
まとめ|オーサムの一言で押さえる「hold a candle to」
hold a candle to は、否定形とセットで「〜には到底かなわない」「足元にも及ばない」という強い優劣を表す表現です。人でも物でも、「比べるのも失礼なほど差がある」と言いたいときに活躍します。
この言い回しを知っていると、作品や製品、実力を比べて一方を強く持ち上げたいときに、”can’t hold a candle to ~” でぴたりと言い表せるようになります。否定形で覚えておくのが、使いこなしの近道です。
落ち込むチャックを一言で励ましたオーサムの陽気さを思い出しながら、表現の幅を広げてみてください。
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※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


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