海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
不安そうな相手に、「大丈夫、そんなのすぐ終わるよ」と軽く請け合って、安心させたくなる場面はありませんか。
そんなときに使える「in no time」を、『CHUCK』シーズン2第3話の冒頭、サラの元恋人の登場に落ち込むチャックを、姉エリーが優しく慰めるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「in no time」の意味とニュアンス
in no time
意味:あっという間に、すぐに、たちまち
直訳は「時間ゼロのうちに」。そこから「ほとんど時間がかからない」ことを強調する副詞句として使われます。作業や移動、変化が予想よりずっと早く進む、あるいは進むと請け合うときに登場します。
このフレーズは、未来の予測にも過去の描写にも使えます。”We’ll be there in no time.”(すぐ着くよ)のように先のことを請け合う形でも、”The pain was gone in no time.”(痛みはあっという間に消えた)のように過去の素早さを描く形でも自然です。
さらに強調したいときは、in no time at all のように at all を足します。「本当にあっという間」というニュアンスが加わり、より勢いのある言い方になります。
【ここがポイント!】
- 直訳は「時間ゼロ」——かかる時間の短さをそのまま映した表現
- 未来の予測にも過去の描写にも使える、汎用性の高い一言
- 否定の no を含むのに「すぐ」という肯定的な速さを表すのが面白いところ
『CHUCK』S02E03のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
サラの元恋人ブライスが街に現れ、すっかり落ち込んでいるチャック。姉エリーは、そんな弟を「サラがちゃんと何とかしてくれる」「あんな男すぐにいなくなる」と、楽観的に励まそうとします。その慰めの中で、このフレーズが使われます。
Ellie: I’m sure that Sarah will take care of it. This guy will be out of your life in no time.
(サラがちゃんと何とかしてくれるって。あんな男、すぐにあなたの生活から消えるわよ。)Chuck: Something tells me, it won’t be quite that simple.
(なんとなく、そう簡単にはいかない気がするんだ。)Chuck Season2 Episode3(Chuck Versus the Break-Up)
シーン解説と心理考察
エリーの言葉は、善意からくる楽観で満ちています。「サラが対処してくれる」「元カレなんてすぐ消える」という慰めには、弟の不安に寄り添うというより、明るく打ち消してあげようとする姉の温かさが表れています。落ち着いた大人の女性らしい口調で、さらりと安心を差し出しているのが見どころです。
一方のチャックは、「そう簡単にはいかない気がする」と控えめに応じます。この小さな否定が、後の展開——ブライスがこのエピソードを大きく動かしていくこと——への伏線として効いていると読み取れます。
in no time が「あっという間に」と短い時間を強調する表現であることを思うと、エリーが「すぐ消える」と軽く請け合うほど、観客にはその予想が外れる予感が募る、という構図になっている場面です。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
「in no time」は、「かかる時間が no(ゼロ)」とそのまま直訳でイメージすると、意味がすっと入ってきます。否定の no がついているのに、表すのは「すぐ」という肯定的な速さ——この一見ちぐはぐな組み合わせが、かえって記憶に残ります。
エリーが「あんな男すぐ消えるわよ」と、軽い調子で弟を安心させた、あの場面を思い出してみてください。in no time が、相手を励ましたり安心させたりするときの、ちょっと楽観的なトーンとともに使われる——その空気ごと覚えてしまうと、実際に口にする場面もイメージしやすくなります。
例文で覚える「in no time」
相手を安心させたいときに特に活躍する表現です。3つの場面で感覚をつかんでいきましょう。
Don’t worry, we’ll be there in no time.
(心配しないで、すぐ着くから。)
移動中に相手を安心させる場面です。”we’ll be there in no time” は、到着を請け合うときの定番フレーズになります。
The medicine kicked in and the pain was gone in no time.
(薬が効いて、痛みはあっという間に消えた。)
体調が回復した様子を語る場面です。過去の出来事について「驚くほど早かった」と描写する使い方になります。
A: I’m worried I’ll never get the hang of this software.
B: Don’t worry, once you start using it, you’ll learn it in no time.
(A:このソフト、いつまでたっても使いこなせない気がする。)
(B:大丈夫、使い始めたらあっという間に覚えられるよ。)
不安がる相手を励ます場面です。会話の中では、このように「すぐできるようになるよ」と背中を押す一言として自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
in a flash
(一瞬で、瞬く間に)
flash(閃光)の比喩で「瞬間的な速さ」を強調します。in no time よりも、より一瞬で終わる感覚が強い表現です。
before you know it
(気づかないうちに、いつの間にか)
時間の短さに加えて、「本人が気づく前に」というニュアンスが入ります。in no time が所要時間の短さを指すのに対し、こちらは無自覚さに重心があります。
in a jiffy
(すぐに、ちょっとの間に)
ややくだけた口語表現です。「ちょっと待ってて、すぐ戻るから」といった、短い待ち時間を伝える場面によく合います。
Note|否定の no が「速さ」を表す英語の逆説
in no time をよく見ると、不思議なことに気づきます。no という否定の言葉が入っているのに、表しているのは「すぐ」というポジティブな速さです。
この逆説は、英語の発想をたどると理解できます。in no time は文字どおりには「時間がない状態で」、つまり「ほとんど時間を要しないうちに」という意味です。「ゼロに近い時間で起こる」と言うことで、結果的に「とても速い」を表しているわけです。同じ仕組みは、no time to lose(ぐずぐずしている暇はない)のような表現にも見られます。日本語でも「あっという間」は、本来「あっと言う」わずかな時間を指して「速い」を表しますから、発想としては近いものがあります。否定語や「短さ」を使って速さを表現するのは、言語を超えて共通する感覚なのかもしれません。
この成り立ちを押さえておくと、in no time の no につまずかずに、「ゼロ時間=すぐ」とまっすぐ捉えられるようになります。
「ない」が「速い」に変わる——英語のそんな言葉のあやが詰まった表現です。
まとめ|エリーの慰めで覚える「in no time」
in no time は、「あっという間に」「すぐに」という時間の短さを強調する表現です。未来の予測にも過去の描写にも使え、相手を安心させる場面で特に活躍します。
この一言を知っていると、到着を請け合うときの “We’ll be there in no time.” や、不安がる相手を励ます “You’ll learn it in no time.” のように、「すぐだから大丈夫」という気持ちを軽やかに伝えられるようになります。
「あんな男すぐ消えるわよ」と弟を安心させたエリーの優しさを思い浮かべながら、会話のレパートリーに加えてみてください。
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