海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
カフェやバーで、店員さんから「これはサービスです」とにっこり言われて、ちょっと得した気分になった経験はありませんか。
そんな場面で使われる「on the house」を、『CHUCK』シーズン3第6話の前半、Chuck が客の機嫌を取ろうと商品をタダで差し出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「on the house」の意味とニュアンス
on the house
意味:店のおごりで、無料で
飲食店やバーで「この一杯は店が持ちます」と言うときの定番表現です。お金を払うのは客ではなく the house(店そのもの)だ、という発想から生まれました。house は単なる建物ではなく、その場を経営している主体を指しています。カジノを the house と呼ぶのと同じ感覚で、店という”主体”が代金を負担する、つまり客にとっては無料になる、というわけです。常連へのちょっとしたサービス、トラブルのお詫び、記念日の一杯など、店側の好意を示す場面で広く使われます。会計のときに店員から言われることが多く、客の側から積極的に使う表現ではありません。
【ここがポイント!】
- 「on the house」の核は「the house=店が代金を持つ」というイメージ
- 払うのが店か個人かで on me などと使い分ける、線引きのある表現
- 客が言うより、店員から言われる側で出会うことが多い一言
『CHUCK』S03E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
Chuck はある人物を協力者として取り込む任務を帯びていますが、最初の接客で相手の機嫌を損ねてしまいます。関係を立て直そうと、Chuck は商品の CPU をそのまま渡そうとします。「店のおごり」という体裁で歓心を買おうとする、その必死さに注目です。
Manoosh: You know, I think I’ll just get the cpu somewhere else.
(やっぱり CPU は別の店で買うよ)Chuck: Wait, wait, wait! No, no. You should just take it. It’s on the house, for the inconvenience earlier.
(待って、待って! いや、これは持っていってよ。店のおごりだ、さっきの件のお詫びにね)Manoosh: You sure? I mean… isn’t that illegal?
(本当に? っていうか…それ違法じゃないの?)Chuck Season3 Episode6(Chuck Versus the Nacho Sampler)
シーン解説と心理考察
Chuck の「on the house」は、本来の温かいサービス精神とは少し違う使われ方をしているのが見どころです。彼の狙いは相手を懐柔し、任務に必要な関係を築くこと。だからこそ言葉だけは気前がよく、それを「違法じゃないの?」といぶかる相手とのズレがコミカルに効いています。直後に Chuck が It’s on me(僕のおごりだ)と言い直す点も興味深く、店の負担を表す on the house と、個人の負担を表す on me が、ほぼ同じ場面で並んで登場しています。気前のよさを装う Chuck の空回りと、その裏にある計算が同居した、このエピソードらしい一場面と言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
レジの向こうで店員が「これはうちが持ちますよ」と、自分の財布ではなく店という大きな建物全体を指さしている——そんな構図を思い浮かべてみてください。代金を背負うのは目の前の人ではなく、その店という”場”そのもの。だから客は払わなくていい、という流れが体に入ってきます。Chuck が商品をすっと差し出して「店のおごりだ」と言う場面と重ねれば、「on the house=店が代金を背負う=無料」というつながりが、画とともに記憶に残ります。隣に置いた on me(僕が背負う)と並べると、誰が代金を担ぐかで言い分けるコツも一緒につかめます。
例文で覚える「on the house」
店からの好意を伝える表現なので、提供する側のセリフとして覚えると使いやすくなります。3つの場面で見てみましょう。
The first drink is on the house tonight.
(今夜の一杯目は店のおごりです)
バーに入った客に店員が声をかける場面です。最も典型的な、サービスを告げる言い回しです。
We had to wait an hour, so the manager said our meal was on the house.
(1時間も待たされたので、店長が食事は無料にしてくれた)
お詫びとして無料提供された体験を語る場面です。劇中の「お詫びに」という文脈とよく似た使い方です。
A: Wow, are you sure I don’t owe you anything?
B: Don’t worry about it — it’s on the house.
(A:え、本当に払わなくていいんですか?)
(B:気にしないで、店のおごりですから)
客が遠慮し、店側がそれを打ち消す往復のやりとりです。会話の中で「払わなくていい」と伝える自然な流れがつかめます。
あわせて覚えたい関連表現
on me
(私のおごりで)
代金を負担するのが「店」ではなく「個人(私)」である点が違います。劇中でも Chuck が on the house に続けて使っており、対で覚えると線引きが明確になります。
my treat
(私のおごり)
個人がおごることを表す、ややくだけた言い方です。食事全体を奢るニュアンスがあり、友人同士の場面でよく登場します。
complimentary
(無料提供の、サービスの)
ホテルやレストランが格式ばって「無料サービス」を示すときの語です。on the house より硬く、案内表示や接客の決まり文句として使われます。
Note|なぜ “house” が「店」を意味するのか
on the house を直訳すると「家の上に」ですが、なぜこれが「無料」になるのでしょうか。鍵は house という語が指す範囲にあります。
英語の the house は、古くからパブや酒場、芝居小屋、カジノといった「その場を切り盛りする主体」を指してきました。house wine(ハウスワイン=その店が選んだ定番ワイン)や、カジノで胴元を the house と呼ぶ用法は、まさにこの感覚です。店を一個の人格のように捉え、その”店”が代金を引き受ける——それが on the house の成り立ちです。客個人がおごる on me と違い、負担するのは特定の誰かではなく店という場そのもの。だからこそ、店員は自分の財布を気にせず「これはうちが持ちます」と言えるわけです。
この背景を知ると、劇中で Chuck が on the house と on me を並べて使った理由も見えてきます。店が背負うのか、自分が背負うのか——同じ「無料」でも、誰が代金を担ぐのかで言葉が変わるのです。
負担の主語を意識すると、この表現はぐっと身近になります。
まとめ|「店が背負う」一言で覚える on the house
on the house は、代金を客ではなく店という”場”が引き受けることを示す表現です。house を建物ではなく「経営する主体」と捉えると、なぜ「無料」になるのかが腑に落ちます。
この一言を知っておくと、海外のカフェやバーで店員から on the house と言われたとき、戸惑わずに「ああ、店のサービスなんだ」と受け取れます。会計まわりのやりとりが、ぐっとスムーズになるはずです。
誰が代金を背負うのか——その視点を手がかりに、on the house と on me を表現の引き出しに加えてみてください。
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