海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
問題が次から次へと重なって、「もう後がない、ぎりぎりのところまで来てしまった」と感じた経験はありませんか。
そんな切迫した状況を少しあらたまって伝える「on the brink of」を、スパイコメディ『CHUCK』シーズン5第4話の前半、自宅でチャックが妻サラに、家業も暮らしも追い詰められた胸の内を打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「on the brink of」の意味とニュアンス
on the brink of
意味:〜の瀬戸際に、〜の寸前で
brink は崖や川の「縁、際」を指す言葉です。その縁の上に立っている——つまり、あと一歩で落ちてしまう位置にいる、という発想から、破滅・崩壊・戦争といった重大な事態が今にも起ころうとするぎりぎりの状態を表します。多くは bankruptcy(倒産)、war(戦争)、collapse(崩壊)、disaster(災害)といったネガティブな名詞を続けて、「〜の一歩手前」を示します。単に「もうすぐ」と言うより、崖っぷちに立たされた切実さがにじむ、少し文語的で重みのある言い回しです。
【ここがポイント!】
- 崖や川の「縁(brink)」の上に立つ、という空間イメージが核
- bankruptcy・war・collapse など、破滅的な事態の「寸前」を表す
- 「もうすぐ」より重く、崖っぷちの切実さがにじむのがコツ
『CHUCK』S05E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
親友モーガンの命が狙われ、家業のバイ・モアは経営危機、しかも自分たちはCIAから追放されたスパイ——次々と重なる難題を前に、チャックが自宅でサラに疲れをこぼします。いつもは楽観的なチャックが弱音をのぞかせる、静かな場面です。
Chuck: My best friend is being hunted; his brain almost turned to mush. I haven’t slept in nearly a week because our family business is on the brink of bankruptcy.
(親友は命を狙われて、脳みそはもう少しでドロドロになりかけた。この一週間ほとんど眠れてないんだ、うちの家業が倒産の瀬戸際だからさ。)Sarah: Well, you want to not be spying?
(それって…スパイをやめたいってこと?)Chuck Season5 Episode4 (Chuck Versus the Business Trip)
シーン解説と心理考察
危機を数え上げていくチャックの言葉に、明るく振る舞ってきた彼の疲れがにじんでいます。on the brink of bankruptcy という硬めの言い回しを選ぶことで、家業が本当にぎりぎりまで追い込まれている切実さが、単なる「経営が苦しい」以上の重みをもって伝わってきます。眠れない日々を告白するチャックの姿からは、スパイとしての危険と、家族の生活を背負う重圧が同時にのしかかっている様子がうかがえます。それを茶化さず静かに受け止めるサラの短い問いかけが、二人の間の信頼をやわらかく映し出す場面と言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
on the brink of は、断崖絶壁のいちばん端に、つま先を半分はみ出させて立っている——あと一歩踏み出せば真っ逆さま、というあの緊張感を思い浮かべると覚えやすい表現です。崖の縁(brink)に立てば、落ちるか踏みとどまるかの瀬戸際。チャックが「家業が倒産の崖っぷちにある」と語るこの場面に、縁でよろめくバイ・モアの看板を重ねれば、「今にも落ちそうなぎりぎりの状態」という手触りがそのまま残ります。
例文で覚える「on the brink of」
on the brink of は、破滅・崩壊・大きな変化が「今にも起こりそう」な場面で幅広く使えます。ビジネスから感情の描写まで、3つの例文で見てみましょう。
The company was on the brink of collapse before the new CEO stepped in.
(新しいCEOが就任する前、その会社は崩壊の瀬戸際にあった。)
企業の経営危機を語る場面です。brink の典型的な相棒 collapse とセットで、「崩壊寸前」がくっきり出ます。
The two countries were on the brink of war.
(両国は戦争の瀬戸際にあった。)
報道や歴史を語る場面です。on the brink of war は定番の組み合わせで、あらたまった響きがなじみます。
She was on the brink of tears when she heard the news.
(その知らせを聞いて、彼女は今にも泣き出しそうだった。)
感情が高ぶった瞬間の描写です。事態だけでなく、涙のような「感情の寸前」にも自然に使えます。
あわせて覚えたい関連表現
on the verge of
(〜の寸前で)
ほぼ同義で、より一般的な言い方です。brink が「崖=破滅的な事態」の強いイメージを持つのに対し、verge は tears や success などポジ・ネガ両方に広く軽く使えます。
on the edge of
(〜の縁で、〜すれすれで)
物理的な「縁」にも比喩にも使います。brink より緊迫感はやや弱く、日常的な響きです。
teetering on the edge
(〜の縁でぐらついて)
teeter(ぐらつく)が加わり、「今にも落ちそうに揺れている」動きが出ます。brink の静的な位置に対し、こちらは不安定さを強調します。
Note|brink が指す「崖の縁」というイメージ
on the brink of の重みは、brink という一語のイメージから来ています。
brink は、崖や川、水辺などの「縁、際」を指す古い語だとされています。地面がそこで途切れ、その先は落下——という、きわめて物理的で危うい場所です。この「落ちれば終わり」の縁に立つイメージが、やがて比喩的に「破滅的な事態が起こる寸前」を表すようになったと考えられます。on the brink of の後に bankruptcy、war、collapse、disaster といった破滅的な名詞が続きやすいのも、この崖の発想と地続きです。冷戦期に生まれた brinkmanship(瀬戸際政策)という語にも、同じ「崖のふちまで相手を追い込む」感覚が生きているとされます。
チャックのセリフに戻ると、on the brink of bankruptcy は「倒産という崖のふちに、家業が立たされている」という切実さを一息で伝える言い回しでした。単に「経営が苦しい」ではなく、あと一歩で落ちてしまう、というぎりぎりの位置が、この一言に込められています。
一語のイメージが、表現全体の温度を決めているのですね。
まとめ|チャックの弱音から学ぶ「瀬戸際」の一言
on the brink of は、崖や川の「縁」に立つイメージから、「〜の瀬戸際に、〜の寸前で」を表す表現でした。bankruptcy や war といった破滅的な事態と結びつきやすく、「もうすぐ」より重く、崖っぷちの切実さを帯びます。
経営危機、関係の破綻、あるいは大きな発見の直前——重大な局面がすぐそこに迫っていることを、この一言で静かに、くっきりと伝えられます。
疲れをにじませたチャックのこの表現を、あなたの表現の引き出しに加えてみてください。
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