海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
落ち込んでいる友達を見て、なんとか笑わせよう、元気づけようと、あれこれ手を尽くした経験はありませんか。
そんなときに使いたい「cheer someone up」を、『フレンズ』シーズン4第20話の終盤、失恋して落ち込むレイチェルを元気づけようとするフィービーのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「cheer someone up」の意味とニュアンス
cheer someone up
意味:(人を)元気づける、励ます、明るい気分にさせる
cheer someone up は、落ち込んでいる人を励まして、明るい気分にさせることを表します。cheer は「歓声・励まし」、そこに up が加わることで「気分を上向きにする」という方向性が生まれます。
この表現には二つの形があります。ひとつは他動詞句の cheer someone up(誰かを元気づける)、もうひとつは自動詞の cheer up(元気を出す)です。命令形の Cheer up! なら「元気出して!」という定番の励まし言葉になります。使うときに気をつけたいのが語順で、代名詞を目的語にする場合は cheer her up のように必ず cheer と up の間に挟みます。cheer up her とは言えません。日常でも非常によく使われる、覚えておくと便利な句動詞だと言えます。
【ここがポイント!】
- 核は up が示す「気分を上向きにする」方向のイメージ
- cheer someone up(他動詞)と cheer up(自動詞)の二つの形がある
- 代名詞は cheer her up のように必ず間に挟むのが語順のコツ
『フレンズ』S04E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
恋人ジョシュアに振られたレイチェル。慰めてくれたロスが帰り際に気遣いの言葉をかけ、残された女性陣の空気が少し沈んだところで、フィービーがとっておきの提案を切り出します。この流れの最後に登場する「cheer you up」に注目です。
Rachel: Well, hey, don’t you have to go pick up Emily?
(ねえ、エミリーを迎えに行かなくていいの?)Ross: Are you okay?
(きみは大丈夫?)Rachel: I got my girls.
(私にはこの子たちがいるもの。)Phoebe: Hey, you know what might cheer you up?
(ねえ、何をしたら元気が出ると思う?)Friends Season4 Episode20(The One with All the Wedding Dresses)
シーン解説と心理考察
この短いセリフの後に待っているのは、三人がウェディングドレスを着てポップコーンを片手にテレビを見る、なんとも幸せそうな光景です。cheer you up というやわらかな問いかけが、その突拍子もない展開への入り口になっているのが見どころと言えます。
レイチェルの「私にはこの子たちがいる」という一言を受けて、すかさず提案を切り出すところに、フィービーらしい機転が見えます。落ち込んだ友達を励ますのに、慰めの言葉を並べるのではなく、一緒にばかばかしいことをして笑わせる——それがこの三人らしい優しさの形です。cheer someone up が持つ「気分を上向きにする」というニュアンスが、まさに文字どおり、沈んだレイチェルの気分をふわりと持ち上げていく流れが伝わってきます。失恋の重さを、友情の軽やかさで包み込む温かい場面です。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
cheer someone up を覚えるときは、下を向いていた人の顔が、ふっと上を向く瞬間をイメージするのがおすすめです。キーワードは up。沈んでいた気分が、風船のように軽く浮き上がっていく——その上向きの動きが、この句動詞の意味そのものです。
フィービーがレイチェルにかけた cheer you up も、沈んだ顔を上げさせるような、優しい持ち上げの一言でした。落ち込んだ誰かを励ましたい場面では、その人の気分を下から上へ押し上げるイメージを思い浮かべてみてください。up の方向性とセットで覚えると、語順もニュアンスも自然に身についていきます。
例文で覚える「cheer someone up」
励ましの場面で毎日のように使えるこのフレーズを、3つの例文で見ていきましょう。
I brought you some flowers to cheer you up.
(元気が出るように、お花を持ってきたよ。)
落ち込んでいる相手に何かをしてあげる場面の定番です。to cheer you up と目的を添えることで、行動の意図がやさしく伝わります。
Talking to my best friend always cheers me up.
(親友と話すと、いつも元気が出る。)
物事を主語にした使い方です。人だけでなく、行為や出来事も「元気づけてくれるもの」として主語に置けます。
A: You’ve looked down all week. What’s wrong?
B: I don’t know. I just need something to cheer me up.
(A:今週ずっと元気なさそうだね。どうしたの?)
(B:分からない。ただ、何か元気の出ることが必要なんだ。)
気分が晴れない状態を打ち明ける会話です。something to cheer me up で「元気の出る何か」を表す、自然な言い回しです。
あわせて覚えたい関連表現
lift someone’s spirits
(〜の気分を高める、元気づける)
cheer someone up とほぼ同義ですが、spirits(気分・元気)を lift(持ち上げる)という、より情景的な表現です。上向きのイメージを共有しており、ややあらたまった場面にも合います。
put someone in a better mood
(〜の機嫌を良くする、気分を上向かせる)
今回のシーンの直後にレイチェル自身が使う表現です。cheer someone up が「元気づける」動作なら、こちらは「より良い気分の状態にする」という結果に焦点を当てた言い方だと言えます。
perk someone up
(〜を元気づける、活気づける)
落ち込みからの回復に加えて、「疲れやだるさから元気を取り戻す」ニュアンスも持ちます。コーヒーが perk you up(シャキッとさせる)のように、身体的な活性化にも使える点が違いです。
Note|cheer her up と cheer up her ― 句動詞の語順のひみつ
cheer someone up を使いこなすうえで、意外と多くの学習者がつまずくのが語順です。ここには英語の句動詞ならではのルールが隠れています。
cheer up のような「動詞+不変化詞」の句動詞では、目的語が名詞か代名詞かで語順の自由度が変わります。名詞なら cheer up your friend でも cheer your friend up でも、どちらも正しい語順です。ところが代名詞(her, him, me など)の場合は、必ず cheer her up のように動詞と up の間に挟まなければなりません。cheer up her という語順は誤りです。これは、代名詞が指す内容はすでに会話に登場済みの「軽い情報」であり、英語では軽い情報ほど動詞の近くに置かれる、という情報の流れの原則によるものです。そして、このルールは cheer up だけの特例ではありません。pick it up(それを拾う)、turn it on(それをつける)、put it off(それを延期する)など、分離できるタイプの句動詞すべてに共通しています。ひとつ覚えれば、句動詞の仲間たちにまとめて応用できるルールなのです。
フィービーが cheer you up と言ったとき、この you は代名詞なので、きちんと cheer と up の間に収まっていました。何気ないセリフの中に、句動詞の語順ルールがしっかり息づいているわけです。
小さな語順ひとつに、英語の仕組みが詰まっています。
まとめ|フィービーの優しさから学ぶこと
cheer someone up は、落ち込んでいる人を元気づけ、気分を上向きにさせる句動詞です。up が示す「上昇」のイメージと、代名詞を必ず間に挟む語順ルールが、この表現の要になっています。
落ち込んだ友達に寄り添いたいときや、自分が元気をもらった瞬間を伝えたいとき、この一言があると気持ちがまっすぐ届きます。うつむいた顔がふっと上を向く、あの瞬間のイメージとともに、会話のレパートリーに加えてみてください。


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