海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
連絡が取れなくなった人を待ちながら、来るはずだった時間だけが過ぎていく。約束を放り出したまま姿を消されて、どうしたものかと困った経験はありませんか。
そんな「いるべき場所からいなくなる」を一言で言い表す「go AWOL」を、『メンタリスト』シーズン1第8話の冒頭、モーテルの事件現場で上司のミネリが、殺された重要証人の経緯をチームに説明するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「go AWOL」の意味とニュアンス
go AWOL
意味:無断でいなくなる、姿をくらます
AWOL は absent without leave の頭文字を取った略語で、もとは軍で使われてきた言葉です。leave には「休暇・許可」という意味があり、直訳すれば「許可なしの不在」、つまり無断で部隊を離れることを指しました。
そこから日常会話へ広がり、今では軍とは関係のない場面でも使われます。出勤するはずの同僚が来ない、集合場所に現れない、連絡が途絶えたまま戻ってこない。そうした状況をまとめて go AWOL と言い表せます。
押さえておきたいのは、単に「その場にいない」ではないところです。いるべき場所、果たすべき役割、引き受けたはずの約束。何かを放り出した結果としていなくなっている、という含みが残ります。休暇届を出して休んでいる人には使いません。
読み方は「エイウォール」と一語で発音するのが一般的で、文字を一つずつ読む形も使われます。go AWOL のほか、be AWOL の形でも使えます。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは absent without leave、つまり「許可なしの不在」という三語の頭文字
- ただいないのではなく、役割や約束を放り出しているという含みが残る一言
- 相手によっては職務放棄への非難として届くので、使いどころを選ぶのがコツ
『メンタリスト』S01E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
物語はモーテルの一室から始まります。若い女性と、麻薬事件の重要証人になるはずだった男が撃たれて死んでいる。CBI の上司ミネリが現場で事件の経緯を説明し、リスボンが保護体制について問い返します。証人がいつ、どうやって警察の目から消えたのか。その一点が、ミネリの一語で示されます。
Minelli: We have a young female, Patricia Matigan and Joseph Purcell, who was gonna be the star witness in California vs. Carris, which was one of the attorney general’s favorite upcoming narcotics cases.
(若い女性のパトリシア・マティガンと、ジョゼフ・パーセル。パーセルは州対カリス裁判の重要証人になるはずだった。司法長官が肝いりで進めていた麻薬事件のひとつだ)Lisbon: State’s witness, and no police protection?
(州の証人なのに、警察の保護がついていなかったんですか)Minelli: Uh-huh. Davis P.D. had it covered — that is, until Purcell went AWOL a few weeks ago. Didn’t want to testify, I guess. With Purcell dead, the case against Carris dies, too. He walks.
(ああ。デイビス市警がついていた。数週間前にパーセルが姿をくらますまではな。証言したくなかったんだろう。パーセルが死ねば、カリスの起訴も一緒に消える。あいつは無罪放免だ)Lisbon: Who is Carris, and where is he or she right now?
(カリスというのは何者で、今どこに)The Mentalist Season1 Episode8(The Thin Red Line)
シーン解説と心理考察
ミネリの説明は、経緯を一本の線でつなぐ運びになっています。保護はついていた、しかし本人が消えた、そして死んだ、だから起訴が飛ぶ。因果が段階を追って積み上がり、その起点に went AWOL が置かれている構成が表れています。
ここで選ばれたのが go missing ではなく went AWOL である点に、この場面の温度がにじみます。守られる立場にいた人物が、自分からその保護を振り切って消えた。証言を避けたかったのだろう、というミネリの推測と重ねると、責任を放り出したという含みが一語に収まっているのが分かります。
リスボンの「保護がついていなかったんですか」という問いは、責任の所在を確かめる捜査主任の反応として響きます。この短いやり取りに、後半で表面化する CBI と地元警察の緊張が、すでに小さく芽を出しているのも見どころです。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
朝の点呼の場面を思い浮かべてみてください。名前が読み上げられ、次々に返事が返るなか、一人だけ返事がない。空いたままの列と、開いたままの点呼表。AWOL は absent without leave、「許可(leave)なしに、いない(absent)」という三語の頭文字です。
覚え方の軸は、その空席が「ただの不在」ではなく「自分から空けた席」だという一点にあります。劇中でも、守られる立場にいた証人が数週間前に姿を消していました。自ら放り出された席として絵にしておくと、この語が持つ責任放棄の手ざわりまで一緒に残ります。
例文で覚える「go AWOL」
人にも物にも使えて、深刻にも軽くも響くのが go AWOL の使いやすいところです。場面の違う3つの例文で、その幅を見ていきましょう。
Two of our volunteers went AWOL on the day of the event.
(ボランティアのうち2人が、イベント当日に来ないまま連絡もつかなかった)
運営の裏話を友人に聞かせる場面です。人が抜けた穴を、深刻になりすぎず軽い口調で説明できます。
My phone went AWOL somewhere between the office and the station.
(携帯が、会社と駅のあいだのどこかで行方不明になった)
なくし物の経緯を話す場面です。主語をモノにすると、擬人化されたユーモアが出て、落ち込みすぎない言い方になります。
A: Did Mark ever get back to you?
B: No. He’s been AWOL since Tuesday.
(A:マークから連絡あった?)
(B:ないよ。火曜からずっと音信不通)
同僚の様子を確かめ合う場面です。be AWOL の形にすると、消えたその瞬間ではなく、いない状態が続いていることを表せます。
あわせて覚えたい関連表現
go missing
(行方不明になる)
所在が分からないという事実だけを中立に伝える言い方で、報道でも使われます。go AWOL のような「持ち場を放り出した」という含みはありません。
go off the grid
(連絡網から外れる、消息を絶つ)
自分から連絡手段を断って、追われない状態に入ることを指します。本人の選択が前面に出る点で、義務からの離脱に焦点がある go AWOL とは向きが違います。
skip out on
(すっぽかして逃げる)
skip out on the meeting のように、何を放り出したかを目的語で示せます。go AWOL は目的語を取らず、消えたという状態そのものを言い切る形です。
Note|職場で口に出せる「無断欠勤」、出せない「無断欠勤」
go AWOL は使い勝手のいい表現ですが、どこで口にするかはきちんと選ぶ必要があります。同じ出来事を指していても、場面によって選ばれる語がはっきり分かれるからです。
同僚同士の雑談であれば、go AWOL はごく自然になじみます。「あいつまた消えたよ」に近い軽さで、多少の呆れを込めながら状況を共有できます。ところが、人事の記録や社外への連絡になると事情が変わります。そうした場では unauthorized absence(無断欠勤)、no-show(不参加・無断キャンセル)、unreachable(連絡不能)、failed to report(出勤報告なし)といった中立的な語が選ばれます。英語圏の職場では無断欠勤が評価や処分に直結するため、記録に残る文書ほど、感情の色がつかない語が求められるからです。冗談として成立するのは、本人がすでに戻っていて、事情が軽く、相手との距離が近いという三つがそろったときに限られます。当人に向かって You went AWOL. と言えば、それは冗談ではなく非難として届きます。
劇中でミネリがこの語を使えたのも、条件がそろっていたからです。話す相手は身内のチームで、対象は第三者。しかも記録に残る報告書ではなく、現場での口頭説明でした。同じ内容を書面にするなら、別の語が選ばれていたはずです。
言葉の強さは、意味だけでなく、置かれる場所が決めています。
まとめ|空いた席が語っていること
go AWOL は、誰かがいないという事実を伝える表現ではなく、いるべき場所が空いていることを伝える表現です。absent without leave という三語を思い出せば、そこに「許可なく」という条件がついていることも一緒によみがえります。
この一語があると、「連絡が取れなくて困っている」という長い説明を、短く言い切れるようになります。同僚の無断欠勤にも、行方不明になった携帯にも、返信の途絶えた相手にも使えて、しかも深刻さの度合いは口調と場面が調整してくれます。
劇中のミネリは、証人が消えた経緯を一語で片づけました。長く説明する代わりに一語で決める、そういう場面が会話には時々あります。手持ちの表現の引き出しに、静かに加えてみてください。


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