「up someone’s tailpipe」の意味と使い方|『メンタリスト』S01E03で学ぶ英会話

「up someone's tailpipe」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

締め切りが迫っているのに、催促の連絡だけが次々に届く。手を動かす時間より、返事を書く時間のほうが長くなっていく。そんな一日が誰にでもあります。

その状態にぴったりの「up someone’s tailpipe」を、犯罪捜査ドラマ『メンタリスト』シーズン1第3話の中盤、リズボンが海辺の建設現場で現場監督から話を聞く場面から、一緒に見ていきましょう。

目次

「up someone’s tailpipe」の意味とニュアンス

up someone’s tailpipe
意味:〜の真後ろに張りついて、絶えず急かしてくる

tailpipe は車の排気管のことです。後続車が車間を詰めて、排気管に突っ込まんばかりに迫ってくる。その運転中の光景をそのまま人間関係に持ち込んだのが、この言い回しです。背後から離れずに圧力をかけてくる相手について、be や get とともに使います。

主語になるのは、上司、取引先、施主、大家、本社など、こちらに要求を出せる立場の相手です。way up my tailpipe のように way を挟むと、べったり張りつかれている度合いが一段強まります。文句を言えない相手への愚痴として使われることが多く、話し手の側にはたいてい苛立ちと疲れがあります。ただしかなりくだけた言い方なので、同僚との雑談なら自然でも、報告書や取引先へのメールには持ち込めません。改まった場では be under pressure from などに置き換えます。

【ここがポイント!】

  • 核にあるのは、バックミラーいっぱいに後続車が迫っている、あの圧迫感
  • 主語は要求を出せる立場の相手で、逃げ場のなさがにじむ一言
  • かなりくだけた口語なので、使う相手と場所を選ぶのが大事なところ

『メンタリスト』S01E03のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

被害者が最後に目撃された海辺で、開発中の建設現場に捜査が入ります。現場監督のレイバーンが気にしているのは事件ではなく工期でした。どれくらいかかるのかと食い下がる彼を、リズボンは取り合いません。そこで彼の口から出たのが、この愚痴です。

Rayburn: How long you gonna be, you think?
(どのくらいかかりそうなんです?)

Lisbon: Mr. Rayburn, Christine Tanner’s murder may have occurred here. It takes as long as it takes.
(レイバーンさん、クリスティン・タナー殺害はここで起きた可能性があるんです。かかるだけかかります)

Rayburn: I already got the developer way up my tailpipe. We’re three weeks behind thanks to the crappy labor pool here.
(ただでさえ、施主にべったり張りつかれて急かされてるんですよ。人手がひどくて、もう3週間遅れてるってのに)

Lisbon: Anybody not show up lately?
(最近、来なくなった人は?)

The Mentalist Season1 Episode3(Red Tide)

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シーン解説と心理考察

殺人事件の捜査だと告げられてなお、レイバーンの関心が工期から離れないところに、この現場の切迫ぶりが表れています。捜査に非協力的というより、彼自身が別の圧力に押されて余裕を失っている。way up my tailpipe という言い方には、施主との距離がもう一切ないという実感がこもっています。

リズボンの It takes as long as it takes という返しも印象的です。何日かかるとも、急ぎますとも言わない。相手の圧力を引き受けない構えを、短い一文で示しています。急かす側と急かされない側が正面から向き合う、静かな押し合いの場面です。

この愚痴は、単なる不平として置かれているわけではありません。工期に追われ、人手も足りない現場では、確認が雑になります。誰かがいなくなっても気づかれない状況が、この一言でさりげなく説明されています。捜査の手がかりが、現場監督のぼやきの中に紛れ込んでいる運びが見どころです。

『メンタリスト』流・覚え方のコツ

高速道路で、バックミラーいっぱいに後続車のフロントグリルが映っている場面を思い浮かべてみましょう。車間はほとんどなく、少しでも速度を落とせばぶつかりそうな距離です。落ち着いて走ることも、車線を選ぶこともできません。up someone’s tailpipe は、その圧迫感をそのまま人間関係に移した言い方です。

劇中のレイバーンも、施主にこの距離まで迫られていました。工期は3週間遅れ、人手も足りず、そこへ現場が止まると告げられます。バックミラーいっぱいの車と、追い詰められた現場監督の顔を重ねると、この表現の逃げ場のなさが記憶に残ります。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「up someone’s tailpipe」

仕事の催促から実際の運転まで、背後から迫られる状況を語るときに使える表現です。三つの例文で、その使い方を見ていきましょう。

Legal has been up my tailpipe about the contract all week.
(法務部に、その契約の件で一週間ずっと急かされている)
同僚に催促のしんどさをこぼす場面です。部署名を主語にすると、組織ぐるみで迫られている感じが出ます。

The car behind me was right up my tailpipe the whole way.
(後ろの車が、ずっと真後ろにぴったりつけてきた)
運転中の出来事を話す場面です。もともとの車の文脈で使う形なので、この表現の成り立ちがそのまま体感できます。

A: Why the rush?
B: Corporate’s up my tailpipe about the numbers.
(A:何をそんなに急いでるの?)
(B:本社が数字のことでうるさくてさ)
忙しさの理由を短く説明する会話です。相手を名指ししつつ、愚痴を軽く流す言い方になります。

あわせて覚えたい関連表現

breathe down someone’s neck
(〜のすぐ後ろで見張る、監視する)
背後から迫るという点は同じですが、こちらは息がかかるほど近くで見張られている監視の感覚です。急かしてくる圧力に焦点がある up someone’s tailpipe とは、迫られ方が違います。

be on someone’s back
(〜にしつこく小言を言う)
繰り返し口うるさく言われることに焦点があります。距離の近さより、言葉による圧力を表す言い方です。

be under pressure from
(〜から圧力を受けている)
中立的で、会議や報告書でも使える標準的な表現です。くだけすぎる up someone’s tailpipe を改まった場で言い換えるなら、これが安全な選択になります。

Note|車社会が生んだ「距離感」の英語

アメリカ英語には、車の運転から生まれた言い回しが数多くあります。up someone’s tailpipe もそのひとつで、日常の運転体験がそのまま人間関係の言葉になった例だといえます。

車間を極端に詰めて後ろにつく行為には、tailgate という専用の動詞があります。名詞形の tailgating は交通違反として扱われ、州によっては明確に取り締まりの対象になっています。運転者にとって、後ろにぴったりつけられる不快さは説明の要らない共通体験です。だからこそ、この距離感を人間関係に流用するだけで、逃げ場のなさが即座に伝わります。同じ発想の表現はほかにもあり、手を引けと伝える back off、主導権を握っている状態の in the driver’s seat、急停止を促す hit the brakes などが日常会話に定着しています。日本語で満員電車や行列にまつわる言い回しが生まれるのと同じで、その社会でいちばん身近な移動の形が、言葉の距離感を作っていると言えます。

劇中でレイバーンが施主との関係をこの言葉で表したのも、建設現場という車の行き交う場所と無関係ではないのかもしれません。工期に追われ、後ろから絶えず押されている状態を、運転者の実感に置き換えて口にしています。

どんな乗り物で日々を移動しているか。その違いが、圧迫感の言い表し方にまで届いています。

まとめ|レイバーンのぼやきから学ぶ「急かされる」の一言

up someone’s tailpipe は、車間を詰めて迫る後続車の圧迫感を、そのまま人間関係に移した表現でした。主語になるのは要求を出せる立場の相手で、way を挟めばその度合いをさらに強められます。くだけた口語なので、使う相手と場所は選ぶ必要があります。

締め切りに追われている理由を、同僚に一言で伝えたいとき。この表現があると、状況の苦しさまでまとめて渡せます。

追い詰められた人の言葉が、身近な運転の風景から借りられているのは、その社会らしい発想なのかもしれません。

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