海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
同じ失敗や悪い習慣が何度も繰り返されてしまうとき、「この連鎖を、自分のところで終わらせたい」と強く願うこと、ありませんか。
そんな決意を表す「break the cycle」を、『BONES』シーズン11第14話の中盤、亡くなった母親の更生への思いを語る少女カラニのシーンから、一緒に見ていきましょう。
「break the cycle」の意味とニュアンス
break the cycle
意味:悪循環を断ち切る/負の連鎖を終わらせる
cycle は「巡り続けるもの・繰り返し」を表す語で、それを break(断ち切る)するのがこのフレーズです。終わりなく回り続けてきた流れを、どこかで意識的に止める、というイメージになります。
特徴的なのは、依存・貧困・虐待・暴力といった、本人の意志だけではなかなか抜け出せない根深いパターンに対して使われることが多い点です。とりわけ「世代を超えて受け継がれてしまう負の連鎖」を断つ、という文脈で重く響きます。単なる習慣の改善というより、繰り返されてきた何かを「自分の代で終わらせる」という、決意や再生のニュアンスを伴う表現です。
【ここがポイント!】
- 「回り続ける輪(cycle)を断ち切る(break)」が核のイメージ
- 依存・貧困・虐待など、根深く繰り返されるパターンに使われやすい
- 「自分の代で終わらせる」という決意や再生の思いがにじむ表現
『BONES』S11E14のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者ローラの娘カラニが、母の最後の願いを語っています。刑務所を出たローラは、本物の仕事に就いて過去を清算し、娘と家族としてやり直そうとしていました。その母の決意を、カラニが涙ながらに振り返るのが、この場面です。
Kalani: She said she wanted us to be a family. She said she wanted to take care of us. That she had a real job and that she was gonna break the cycle.
(私たちを家族にしたいって言ってた。面倒を見たいって。ちゃんとした仕事に就いて、悪い連鎖を断ち切るつもりだって。)BONES Season11 Episode14 (The Last Shot at a Second Chance)
シーン解説と心理考察
カラニの口から語られる break the cycle には、母ローラが背負ってきた過去の重さがにじむ場面です。薬物と犯罪、そして親子の断絶——そうした繰り返されてきた負の流れを、ローラは娘の世代で終わらせようとしていました。
このフレーズが、エピソードの主題である「セカンド・チャンス(やり直し)」と深く結びついているのも見どころです。break the cycle は単なる生活の立て直しではなく、過去から続く鎖を断って新しい未来へ踏み出すという、再生の宣言として響きます。母の願いを代弁するカラニの言葉だからこそ、その決意の切実さがいっそう胸に迫ります。
『BONES』流・覚え方のコツ
break the cycle は、回し車の中を走り続けるハムスターを思い浮かべると覚えやすくなります。同じところを延々と回り続ける輪——それが「the cycle(悪循環)」です。その輪のどこか一点を、手でパキッと break(断ち切る)すると、ハムスターはようやく外の世界へ出られます。
劇中の母ローラは、薬物と犯罪という終わりの見えない輪の中にいました。その輪を断ち切って、娘と一緒に外へ踏み出そうとしていたのです。ぐるぐると回り続ける輪を、ある一点でパチンと断ち切って前へ進む——その手の動きと、輪の外に開ける景色を一緒に思い描くと、「繰り返しを止めて抜け出す」という意味が定着します。
例文で覚える「break the cycle」
break the cycle は、繰り返されてきた良くない流れを断ち切る決意を語るときに活躍します。重みのあるこの表現を、3つの場面で見てみましょう。
I want to break the cycle and give my kids a calmer home.
(この連鎖を断ち切って、子どもには穏やかな家庭を与えたいんだ。)
自分が育った環境の連鎖を断とうとする場面です。世代を超えた負の流れを終わらせたい、という強い意志が込められています。
Therapy helped him break the cycle of negative thinking.
(セラピーのおかげで、彼は否定的な思考の連鎖を断ち切れた。)
心の悪循環からの回復を語るやり取りです。”break the cycle of 〜” の形で、断ち切りたい連鎖の中身を具体的に示せます。
A: We always end up blaming each other.
B: I know. We need to break the cycle somehow.
(A:私たち、いつも結局お互いを責め合っちゃうね。)
(B:そうだね。どうにかこの悪循環を断ち切らないと。)
こじれた人間関係を立て直そうとするシーンです。繰り返すパターンを二人で止めようと確認し合う使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
turn over a new leaf
(心を入れ替える/新たな出発をする)
人が態度や生き方を改めることを表す表現です。break the cycle が「繰り返されるパターンそのもの」を止める点に焦点を当てるのに対し、こちらは個人の心機一転に重きがあります。
start over
(一からやり直す)
ゼロから再出発することを指します。break the cycle は「過去から続く流れを断つ」という連鎖の文脈が前提になる点で、単なる仕切り直しとは異なります。
put an end to
(〜に終止符を打つ)
物事を終わらせる、汎用性の高い言い回しです。break the cycle は対象が「反復する悪循環」に限られるのに対し、put an end to はあらゆる物事の終了に使えます。
Note|the cycle が背負う重み——日本語にしにくい連鎖の感覚
break the cycle を訳すとき、「悪循環を断ち切る」という日本語がよくあてられます。ただ、この the cycle という言葉が英語で背負っている重みは、日本語の「悪循環」だけでは少しすくいきれないところがあります。
英語圏で break the cycle が使われるとき、その背景にはしばしば「世代から世代へと受け継がれてしまう負の連鎖」という発想があります。たとえば、虐待を受けて育った人が親になって同じことを繰り返してしまう、貧困の家庭に生まれた子がまた貧困から抜け出せない——こうした、個人の努力だけではどうにもならない、社会的・心理的に根を張ったパターンを指して the cycle と呼ぶのです。だからこのフレーズは、単に「悪い習慣をやめる」という軽さでは使われません。”break the cycle of abuse”(虐待の連鎖を断つ)、”break the cycle of poverty”(貧困の連鎖を断つ)といった形で、世代をまたぐ流れに自分の代で終止符を打つ、という重い決意とともに口にされます。日本語の「悪循環」が一個人の状況を指すことが多いのに比べ、英語の the cycle はもっと長い時間と複数の世代を視野に入れている、と捉えると理解が深まります。
母ローラの break the cycle も、薬物と犯罪、そして親子の断絶という、自分の人生に絡みついた連鎖を、娘カラニの世代で終わらせようとする願いでした。この一語の背後にある時間の長さを感じ取ると、彼女の決意の重さがより伝わってきます。
一つの言葉の奥に、いくつもの世代が透けて見える表現なのですね。
まとめ|カラニが語った「連鎖を断ち切る」を英語で
break the cycle は、繰り返されてきた良くない流れを、意識的に断ち切ることを表す表現です。「回り続ける輪を断つ」という核を持ち、とりわけ依存・貧困・虐待など、世代を超えて受け継がれる負の連鎖に対して、重い決意とともに使われます。
この表現を知っていると、「もう同じことを繰り返さない」という強い意志を、一語で力強く言い表せるようになります。過去から続く流れを終わらせ、新しい未来へ踏み出す——再生の願いを支える言葉です。
母の願いを代弁したカラニの言葉のように、繰り返しを断って前へ進む決意を表す一言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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