直訳では届かない言い回し|『BONES』S01E01で学ぶ英会話

『BONES』コラム: 直訳では届かない言い回し|『BONES』S01E01で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『BONES』シーズン1第1話では、FBI特別捜査官ブースと法科学者ブレナンが、事件を通じて初めてコンビを組みます。息の合わないふたりのやりとりには、言葉どおりに訳しただけでは意味が通じない言い回しが次々と登場します。

ブースが選ぶ言葉と、ブレナンの受け取り方のずれを、実際のシーンとともに見ていきましょう。

目次

「橋を架け直す」だけでは伝わらない

グアテマラ帰りの空港でブレナンを強引に確保したブースは、SUVの車内で機嫌を直そうとします。しかし、詫びる言葉を尽くすほど、かえって空気がこじれていく展開です。

ブースは助手のザックについてstonewalled(行く手を阻まれる、の意)という単語を使い、取り次いでもらえなかった不満を口にします。石壁(stone wall)に行く手を阻まれるイメージが、そのまま比喩になった表現です。

さらにブースは、関係を修復したい気持ちをmend bridges(壊れた橋を架け直す、つまり関係を修復する)という言い回しで伝えます。壊れた橋を架け直す作業を思い浮かべると、仲直りのニュアンスがつかみやすくなります。

ただし、ブレナンの反応は素っ気ないものでした。研究者らしく事実を積み上げて話すブレナンにとって、比喩を交えた言い回しは、意味を測りかねる遠回りな表現に映る場面です。

「握手の代わりに」つばを吐く?

ブレナンが「捜査に完全に参加させて」と条件を出すと、ブースは面食らいながらもこう返します。

Booth: What? Do you want me to spit in my hand? We’re Scully and Mulder.
(は? 手につばでも吐けって言うのか? 俺たちはスカリーとモルダーだぞ。)

Temp: I don’t know what that means.
(それがどういう意味か分からないわ。)

Booth: It’s an olive branch, just get back in the car.
(これは和解の申し出だ、いいから車に戻れ。)

BONES Season1 Episode1 (Pilot)

spit in my handは、握手の前に手につばを吐いて誓いを固める、という古い商取引の慣習に由来する言い回しです。相手に本気度を示す動作として使われますが、ブレナンにはただの奇妙な仕草としか映りません。

続くolive branch(オリーブの枝)は、争いの後に差し出す和解の申し出を表す定番の比喩です。ブレナンが意味を尋ね返す短いやりとりに、専門知識は豊富でも比喩表現には不慣れな性格が表れています。

「アヒルを並べる」も通じない

事件の規模が大きくなり、ブースが特別捜査班の指揮を執りたいと考える場面でも、同じすれ違いが繰り返されます。

Booth: A case this big and the Director is going to create a special investigation and if I line all my ducks up in a row I could maybe, maybe I can head it up.
(これだけの規模の事件なら、局長は特別捜査班を作るはずだ。俺がきちんと段取りを整えれば、指揮を任されるかもしれない。)

Temp: I don’t know what that means but I think I could be a duck.
(それがどういう意味か分からないけれど、私ならアヒルになれると思うわ。)

BONES Season1 Episode1 (Pilot)

get one’s ducks in a rowは、アヒルの親子が一列に並んで歩く様子から、物事の段取りをきちんと整えるという意味で使われる言い回しです。ブレナンは言葉どおりに「アヒル」だけを受け取り、自分がアヒルになれるかどうかという返答をします。

ここまでのやりとりを整理すると、次のようになります。

表現 直訳 実際の意味
stonewalled 石壁に阻まれた 行く手を阻まれた、拒まれた
mend bridges 橋を架け直す 関係を修復する
spit in my hand 手につばを吐く 本気の意思表示をする
olive branch オリーブの枝 和解の申し出
get one’s ducks in a row アヒルを一列に並べる 段取りを整える

比喩の由来を知っておくと、直訳では見えてこないニュアンスが具体的な情景として頭に残ります。

まとめ|比喩の由来を知ると会話が立体的になる

stonewalled、mend bridges、spit in my hand、olive branch、get one’s ducks in a rowといった言い回しは、直訳するだけでは本来の意味にたどり着けません。それぞれの比喩がどんな情景から生まれたのかを知ることで、会話表現としての厚みが増します。

次回も『BONES』の会話を通して、英語表現の背景を見ていきましょう。

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