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条件を丁寧に積み上げていったのに、出てきた答えがどう考えてもおかしい。計算が間違っているようには見えないのに、結論だけが現実離れしている。そんな行き詰まり方をした経験はありませんか。
そんなときに使われる「think outside the box」を、『BONES』シーズン1第13話の中盤、ブレナンとアンジェラが犯行の再現映像を前にして手詰まりになるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「think outside the box」の意味とニュアンス
think outside the box
意味:既成の枠にとらわれずに考える、前提そのものを問い直す
直訳すれば、箱の外側で考える。ここでの箱は、思考を無意識に囲っている前提や慣習を指しています。
大事なのは、この箱が外から押しつけられたものとは限らない点です。多くの場合、考えている本人が知らないうちに引いた線でできています。だから箱の外へ出るには、新しい発想を足すより先に、自分が何を当たり前だと思っていたかを見つける作業が必要になります。
ビジネスの場面で定着した言い方で、会議や採用の文脈で頻繁に現れます。行き詰まった議論の流れを変える一言としても、求める人材像を語る言葉としても使われます。
なお、劇中のように outside of the box と of を挟む形もありますが、会話では of を省いた形のほうが一般的です。
【ここがポイント!】
- 箱は外から与えられるより、考えている本人が引いた線でできていることが多い一言
- 新しい答えを探す前に、疑うべき前提を見つける作業を含んでいるのが特徴
- 議論が止まった場面で流れを切り替える合図として使えるのが実用上のコツ
『BONES』S01E13のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
被害者の頭蓋骨には、ベッドの支柱に打ちつけられた跡が残っていました。アンジェラがホログラムに条件を入力し、傷の角度から犯人の身長を割り出します。ところが画面に現れた人物像は、部屋の天井に迫るほどの高さでした。数字は正しいのに答えが成り立たない、その場面でブレナンが思考の向きを切り替えます。
Brennan: How tall would her assailant have to be to fit the evidence? That… that’s tall.
(証拠に合うとしたら、犯人の身長はどれくらいになるの? ……ずいぶん高いわね)Angela: 7’8″. Somebody you’d notice around the house.
(2メートル33センチよ。家の中にいたら誰だって気づくわ)Brennan: Let’s think outside of the box.
(枠の外側から考えてみましょう)Angela: What do you mean? Like, go nonhuman?
(どういうこと? 人間以外ってこと?)Brennan: No. What else explains striking the bedpost in that manner?
(いいえ。支柱にああいう当たり方をする説明が、ほかに何かあるはずよ)BONES Season1 Episode13 (The Woman in the Garden)
シーン解説と心理考察
ブレナンは自分で出した数字に対して、まず驚いています。証拠から導いた結論なのに、その結論が現実と噛み合わない。科学的な手続きを踏んだ結果が使えないという状況が、この場面の出発点になります。
興味深いのは、彼女がデータのほうを疑わなかったことです。傷の位置も角度も測定値です。疑うべきなのは測り方ではなく、その数字を解釈するときに置いた前提のほうだと切り分けている。ここに彼女の思考の順序が表れています。
アンジェラの返しも見どころです。枠の外と言われて、とっさに人間以外という発想へ飛びます。箱の外側を「もっと突飛な答え」と受け取るのは、この表現に対するごく自然な反応と言えます。
対するブレナンは、突飛さを求めていません。支柱に当たる別の当たり方はないか、と問い直しています。外していたのは犯人の身長という前提ではなく、殴られたという前提のほうでした。箱の外へ出るとは、遠くへ飛ぶことではないと分かる応酬です。
『BONES』流・覚え方のコツ
紙の上に9つの点が並んでいる絵を思い浮かべてみます。点は正方形に並んでいるので、目は自然にその四角を輪郭として読み取ります。ところが紙のどこにも線は引かれていません。四角を作っているのは、見ている側の頭のほうです。
劇中の行き詰まりも同じ形をしていました。犯人が立って殴ったという前提は、証拠のどこにも書かれていません。それでも全員がその四角の内側で身長を計算していた。
ペン先を紙の縁まで伸ばす動きと、殴られたのではないかもしれないと言い直す動き。どちらも同じ一手です。線が見えたときは、それを引いたのが誰なのかを確かめる。その感覚ごと覚えておくと、この表現の使いどころが分かります。
例文で覚える「think outside the box」
行き詰まった場面と、人物を評価する場面の両方で使われます。3つの例文で確かめてみましょう。
We’ve tried everything on the list. It’s time to think outside the box.
(できることは全部やった。そろそろ枠の外から考えるときだ)
会議が手詰まりになった場面です。It’s time to と組ませると、切り替えの合図としてはっきり働きます。
We’re looking for someone who can think outside the box.
(枠にとらわれない発想ができる人を探しています)
求人や採用の場面で頻出する形です。求める資質を短く伝える定型として定着しています。
A: The budget just doesn’t stretch that far.
B: Then let’s think outside the box — do we even need to own the equipment?
A: Renting. I hadn’t considered that.
(A:予算がどうしても足りません)
(B:では枠の外から考えましょう。そもそも機材を買う必要があるでしょうか)
(A:レンタルですか。考えていませんでした)
制約を前提ごと問い直す場面です。具体的な問いを続けると、掛け声で終わらずに済みます。
あわせて覚えたい関連表現
question the assumptions
(前提を疑う)
何を疑うのかを名指しする言い方で、説明的で誤解が生じにくいのが利点です。think outside the box が比喩で示すものを、そのまま言葉にした形になります。
break the mold
(型を破る)
mold は鋳型のことで、決まりきったやり方や慣例を壊すことを指します。思考の枠に向かう think outside the box に対して、こちらは出来上がった様式そのものが対象になります。
come at it from a different angle
(別の角度から取り組む)
同じ対象を違う位置から見直すことを表します。枠の外へ出るのではなく立ち位置を変える言い方なので、より穏やかで、相手の案を否定せずに提案できます。
Note|9つの点が教える、自分で引いた枠の強さ
think outside the box という言い方は、9つの点を使ったパズルとあわせて語られることがよくあります。心理学では洞察課題として古くから知られてきたもので、発想の切り替えを調べる実験に繰り返し使われてきました。
課題は単純です。3列3行に並んだ9つの点を、ペンを紙から離さず4本の直線ですべて通る。ところが多くの人は解けません。理由もはっきりしています。線を点の並びが作る正方形の内側に収めようとするからです。その制限はどこにも書かれていないのに、解こうとする側が自分で追加してしまいます。正解は、線を点の外側まで伸ばすところにあります。
この課題が示しているのは、枠が外部から与えられるものとは限らないという点です。指示にも図にも存在しない線が、解く人の内側で条件として働く。実験の面白さは、答えを聞いた後でも「そんな線を引いた覚えはない」と感じるところにあります。
ここまで来ると、think outside the box の box が何を指しているかがはっきりします。箱は課題の側にあるのではなく、解く人の側にあります。だから外へ出るために必要なのは、ひらめきよりも、自分がどこに線を引いていたかを見つける作業のほうです。
見えない線ほど、よく効きます。
まとめ|巨人という答えを捨てたとき
think outside the box は、思考を囲っている前提を疑い直すことを表す言い方です。突飛な発想を求める言葉に見えて、実際には自分が置いた条件を洗い出す作業を指しています。
この一言があると、議論が止まった場面で流れを切り替えられます。ただし掛け声で終わらせないためには、どの前提を外すのかまで続けて示すことが必要です。ブレナンが身長ではなく殴打という前提を疑ったように、疑う対象を名指しできると話が動きます。
数字は正しいのに答えが現実離れしている。そんなときは、計算ではなく前提を見る。行き詰まりの場面ごと、表現の引き出しに加えてみてください。


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