海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
人をからかったつもりが、思わぬ形で自分に返ってきてしまう、そんな気まずい瞬間が日常にもあるものです。
そんな状況を表す「the joke’s on someone」を、『フレンズ』シーズン6第1話の朝食シーン、離婚経験をネタにからかわれたロスが言い返す場面から、一緒に見ていきましょう。
「the joke’s on someone」の意味とニュアンス
the joke’s on someone
意味:結局笑われるのは(その人)自身だ、からかったつもりが自分に返ってくる
the joke’s on someone は、直訳すると「その冗談は(誰か)の上に乗っている」となる口語表現です。誰かをからかったりバカにしたりした側が、実はその状況こそ都合が悪い、あるいは恥ずかしいものだったと分かったときに使われます。
人称の部分は状況に応じて the joke’s on you / him / her / me のように変化します。からかわれた側が「その冗談、実はお前に返ってくるぞ」と切り返す場面や、いたずらを仕掛けた本人が結果的に一番損をする、といった場面で使われる定番の言い回しです。単なる仕返しというより、状況の皮肉さそのものを言い当てる表現と言えます。
【ここがポイント!】
- 「その冗談はお前の上に乗っている」が直訳、状況の皮肉さを表すのが核
- on you / on him など人称が状況に応じて変化する表現
- からかった側が実は損をする、という逆転構造を示すのがコツ
『フレンズ』S06E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
離婚経験のあるロスに対し、朝食の席でチャンドラーが「離婚弁護士代は3件目だから無料だろう」とからかいます。過去2度の離婚をネタにされたロスは、すかさずこう切り返します。なお、台本上の実際の発話は「the joke’s on you」という2人称の形です。
Chandler: Well, I think… I think Ross already has one. This one’s free, right? Because you paid for the first two so you get the third one for free.
(えっと、たしかロスはもう(離婚弁護士を)持ってると思うけど。この3件目はタダだよな? だって最初の2件分は払い終わってるんだから、3件目は無料でついてくるだろ。)Ross: Laugh it up. But the joke’s on you. Because we don’t need to get divorced, okay? We’re just going to get an annulment.
(笑ってろよ。でもその冗談、お前に返ってくるぞ。だって俺たちは離婚する必要なんてないんだから。俺たちはただ、婚姻の取り消し(アナルメント)をしてもらうだけだから。)Joey: An annulment? Ross, I don’t think surgery’s the answer here.
(アナルメント? ロス、それは手術で解決する問題じゃないと思うぞ。)Friends Season6 Episode1(The One After Vegas)
シーン解説と心理考察
過去2度の離婚を経験しているロスに対し、チャンドラーが「弁護士代は3件目だから無料」と軽口を叩く場面です。からかわれたロスは笑い返しながらも、「the joke’s on you」と即座に切り返し、自分たちは離婚するのではなくアナルメントで済ませるのだと主張します。
強気な切り返しの裏には、実際には3度目の離婚になるかもしれないという状況への焦りがにじみます。「離婚はしない」と言い切ることで、からかいをはね返そうとするロスの姿には、意地を張ってでも笑い返したい気持ちと、内心の不安の両方が同居していると言えます。ジョーイの「アナルメントは手術で解決する問題じゃない」という茶化しも、聞き慣れない単語への軽いボケとして会話にテンポを加えています。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
the joke’s on someone を覚えるコツは、「冗談」を物理的な荷物のようにイメージすることです。誰かが投げつけた冗談という荷物が、実は投げた本人の背中に乗っかって返ってくる――そんな絵を思い浮かべると、on という前置詞の「乗っている」感覚がそのまま意味とつながります。
ロスが「the joke’s on you」と言い返したとき、彼は言葉の力でこの荷物をチャンドラー側に押し戻そうとしていました。からかいの応酬の中で、誰の背中に冗談が乗っているのかが入れ替わる、そのイメージごと覚えておくと、とっさの切り返しにも使いやすくなります。
例文で覚える「the joke’s on someone」
からかいが自分に返ってくる場面で使える the joke’s on someone を、3つの例文で感覚をつかんでいきましょう。
I made fun of his old car, but the joke was on me when mine broke down first.
(彼の古い車をからかったけど、自分の車の方が先に壊れて、結局自分が笑われることになった)
自分の失言が裏目に出た場面です。過去形 was で語ることも多い表現です。
They laughed at my backup plan, but the joke’s on them now that it actually worked.
(みんなは私の代替案を笑ったけど、それが実際にうまくいって、結局笑われるのは向こうの方だ)
自分の判断が正しかったと分かる場面です。周囲の反応が一転する痛快さを表せます。
A: You really think that old app is still useful?
B: Well, the joke’s on you — it just got bought out for millions.
(A:あの古いアプリ、まだ役に立つと本気で思ってるの?)
(B:まあ、それはお前に返ってくる話だな。あのアプリ、数百万ドルで買収されたばかりなんだよ。)
相手の見くびった発言に対して、驚きの事実で切り返す場面です。
あわせて覚えたい関連表現
backfire
((計画やいたずらなどが)裏目に出る、逆効果になる)
the joke’s on someone が「からかいが返ってくる」ことに焦点があるのに対し、backfire はもっと広く計画や行動全般が意図と逆の結果を招くことを表します。
laugh it up
(せいぜい笑ってろ、笑いたいだけ笑え)
今回のシーンでロスが最初に口にした表現で、からかってくる相手に対して皮肉交じりに「今のうちに笑っておけ」と返す前置きとして使われます。
it’s on you now
(今度はお前の番だ、お前の責任だ)
状況や責任が相手側に移ったことを示す表現です。the joke’s on you が「からかいの矛先が返る」ことに限定されるのに対し、こちらはより広い場面で使えます。
Note|”the joke is on”という言い回しはどこから来たのか
the joke’s on someone という表現は、20世紀初頭の英語圏の口語の中で広まったとされる言い回しです。もともと joke という語自体が「悪ふざけ」「いたずら」を意味する場面で使われてきた歴史があり、いたずらを仕掛けた側と仕掛けられた側という2つの立場を前提にした表現として発達してきました。
英語には、こうした立場の逆転を on という前置詞ひとつで表す言い回しがいくつかあります。the tables are turned(形勢が逆転する)や the ball is in your court(今度はそちらの番だ)なども同じ発想に属し、状況や責任、あるいは笑いの矛先がどちらに乗っているかを空間的なイメージで語る点が共通しています。the joke’s on you もこの仲間で、冗談という抽象的なものを、まるで物理的に誰かの上に乗っているかのように扱っている点が英語らしい発想と言えます。
コメディ作品でこの表現が好んで使われるのも納得できます。誰かをからかう場面から一転してからかった側が墓穴を掘る、という展開はシットコムの定番の構造であり、the joke’s on you はその瞬間を一言で言い当てる、まさにお誂え向きの表現なのです。
ロスが放ったこの一言も、離婚経験をネタにされた側が、逆に「自分たちは離婚しない」という事実で切り返すという、まさに立場の逆転を体現する場面で使われていました。冗談の矛先がどちらを向いているか、という感覚を意識すると、この表現の面白さがより深く味わえます。
言葉の上でも、笑いは思いがけない方向に転がっていくものです。
まとめ|からかいへの切り返しに使える一言
the joke’s on someone は、誰かをからかった側が、実はその状況こそ都合が悪かったと分かったときに使う表現です。on の後ろの人称を変えるだけで、the joke’s on you / him / her / me と自在に切り返せる、そんな一言です。
からかわれて黙り込むのではなく、状況の皮肉さを言葉で切り返したいとき、この表現があれば会話の主導権を取り戻せます。ロスが「離婚はしない」という事実を武器に切り返したように、根拠を添えて使うと説得力が増します。
会話のレパートリーに加えてみてください。


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