「cut someone some slack」の意味と使い方|『CHUCK』S02E09で学ぶ英会話

「cut someone some slack」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

事情を抱えた相手をつい責めそうになって、「今は大目に見てあげよう」と思い直すこと、ありますよね。

そんなときにぴったりの「cut someone some slack」を、『CHUCK』シーズン2第9話の中盤、恩師に裏切られて荒れる同僚ケイシーへの理解を、サラがチャックに促すシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「cut someone some slack」の意味とニュアンス

cut someone some slack
意味:(人を)大目に見る、手加減する、多めに見てやる

slack は、ロープや帆の「たるみ」を指す言葉です。ピンと張り詰めていない、ゆとりのある状態。そのたるみ(slack)を相手に切り分けて与える(cut)——つまり、厳しく締め上げずに余裕を持たせる、というのがこの表現の成り立ちです。

相手の事情を汲んで「今回は責めずに大目に見る」というときに使います。とくに会話では、命令形の Cut me some slack. が「勘弁してよ」「大目に見てよ」と、自分への配慮を求める言い方として頻繁に登場します。全面的に謝るのでも、開き直るのでもなく、「事情を察してほしい」と柔らかく訴える——そんな中間的なニュアンスを持つのが、この表現の便利なところです。

【ここがポイント!】

  • 「cut someone some slack」の核は、張ったロープを緩めてたるみを渡すイメージ
  • 相手の事情を汲んで「今回は大目に見る」ときに使う表現
  • 命令形 Cut me some slack. で「勘弁して」と配慮を求められるのがコツ

『CHUCK』S02E09のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ケイシーに「お荷物」呼ばわりされ、任務から外されたチャック。落ち込む彼に、サラが「これはあなたの問題じゃない、ケイシーの問題なの」と語りかけます。恩師に裏切られたケイシーの心情を代弁し、理解を促します。

Sarah: Casey trained with Bennett for a long time, and when you have a mentor like that, a real trust develops between you, and Casey feels betrayed. I know it’s hard, but maybe you could cut him some slack.
(ケイシーは長いことベネットのもとで訓練を受けた。あんな師匠がいると、本物の信頼が生まれる。だからケイシーは裏切られたと感じてるの。つらいのはわかる。でも、少し大目に見てあげられないかな)

Chuck: Yeah, I guess I know how that feels.
(うん……その気持ちは、僕にもわかる気がする)

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シーン解説と心理考察

サラが cut him some slack と促すこのやり取りには、本作の人間関係の機微が表れています。彼女はケイシーの冷たい態度を擁護しているわけではなく、その裏にある「裏切られた痛み」をチャックに見せようとしています。

応じるチャックの I know how that feels.(その気持ちわかる)は、彼自身が元恋人ジルに裏切られたばかりだという事実と静かに重なっています。ケイシーの痛みを、自分の経験に照らして受け止める瞬間。この理解が、エピソード終盤でチャックがケイシーの本心を引き出していく展開へとつながっていきます。締め上げていたロープを少し緩めるような、サラの促しが会話の温度を変えています。

『CHUCK』流・覚え方のコツ

ピンと張り詰めたロープを思い浮かべてみてください。これは、相手を厳しく締め上げている状態です。そのロープを少し緩めて「たるみ(slack)」を作り、相手に手渡す——これが cut someone some slack の動きです。

劇中でサラがケイシーについて「少し slack を分けてあげて」と言うのは、チャックがケイシーに向けている非難のロープを、ほんの少し緩めてほしい、ということ。「張ったロープを緩めて、たるみを相手に渡す」という手の動きを思い描くと、なぜ slack(たるみ)が「大目に見る」になるのかが腑に落ちます。緩めた分だけ、相手に余裕が生まれるわけです。

このエピソードの他のフレーズ

例文で覚える「cut someone some slack」

cut someone some slack は、人をかばうときも、自分への配慮を求めるときも使えます。場面の違う3つの例文で見ていきましょう。

She’s going through a lot right now. Let’s cut her some slack.
(彼女、今いろいろ大変なの。大目に見てあげよう)
事情を抱えた同僚をかばうときの一言です。劇中のサラのセリフに最も近い、「相手の状況を汲んで手加減する」典型的な使い方になります。

Can you cut me a little slack on this deadline?
(この締め切り、少し融通してもらえませんか?)
納期の相談を上司にするときに使えます。a little を挟み、on+対象を添えると、「この件については少しだけ大目に見て」と丁寧に頼めます。

A: Why are you so hard on yourself? You just started.
B: You’re right. Maybe I should cut myself some slack.
(A:なんでそんなに自分に厳しいの?始めたばかりじゃない)
(B:そうだね。少し自分を大目に見てもいいのかも)
自分を追い込みがちな相手を気づかう会話の例です。cut myself some slack とすると、矛先を自分に向けて「自分にも余裕を持たせる」意味になります。

あわせて覚えたい関連表現

give someone a break
(大目に見る、勘弁してやる)
cut some slack とほぼ同じ意味で、より口語的でカジュアルな言い方です。ただし Give me a break! は「いい加減にして」という強い不満の表現にもなる点が、cut some slack とは少し違います。

go easy on
(〜に手加減する、優しくする)
厳しくしすぎない点は同じですが、go easy on は「最初から優しく扱う」、cut some slack は「本来責めるところを今回は見逃す」という含みの違いがあります。

let it slide
((過ちなどを)見逃す、大目に見る)
具体的なミスや言動を「とがめずに流す」表現です。cut some slack が人全体への配慮を指すのに対し、let it slide は個別の出来事を見逃すニュアンスになります。

Note|slack(ロープのたるみ)が「余裕・手加減」になるまで

cut someone some slack の意味を支えているのは、slack というひとつの単語が持つ歴史です。

slack はもともと、ロープや帆の「たるみ」を指す、航海や作業の現場の言葉でした。帆をぴんと張るのか、少したるませるのか——船の操作では、この張り具合の調整が重要な意味を持ちます。やがてこの「張り詰めていない状態」が、比喩として「ゆとり」「余裕」を表すようになります。さらに、その余裕を「切り分けて与える」という cut の動きと結びつくことで、cut someone some slack=「相手に余裕を分け与える=厳しくしすぎない」という表現が形づくられていきました。物理的なロープのたるみが、人の心づかいを表す言葉へと転じていった道のりです。同じ slack を使った slacker(怠け者)という語も、「張り詰めていない人」という同じイメージから生まれています。

この成り立ちを知ると、cut someone some slack が単なる「許す」ではなく、「張りつめた状態を少し緩めて余裕を渡す」という、具体的な手触りを持つ表現だと感じられます。

ロープのたるみひとつに、これだけの意味が宿っているのですね。

まとめ|サラの促しに学ぶ「大目に見る」一言

cut someone some slack は、張ったロープを緩めてたるみを渡すように、相手の事情を汲んで大目に見ることを表す表現です。責めるのでも見過ごすのでもなく、「今回は余裕を持たせる」という心づかいがこもっています。

このひとことを知っていると、誰かが他人に厳しすぎる場面で「少し大目に見てあげよう」と促せますし、自分が責められたときには「事情を察してほしい」と柔らかく伝えられます。日常会話でとても出番の多い、頼れる表現です。

自分も裏切りの痛みを知るからこそ、ケイシーの心情を受け止められたチャックの姿が印象に残る場面でした。

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