海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
話が脱線したり、前置きが長くなったりしたとき、「その話はもういいから、さっさと先に進もう」と切り上げたくなること、ありませんか。ぐずぐずした空気を断ち切って本題に戻す、あの感覚です。
そんなときにぴったりの「get on with it」を、スパイコメディ『CHUCK』シーズン5第6話の前半、地下基地キャッスルで、恋の話を蒸し返されたケイシーが感傷を振り払って本題へ促すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「get on with it」の意味とニュアンス
get on with it
意味:(中断・脱線を切り上げて)さっさと先へ進める、本題に取りかかる
get on(乗って進む)に with it(それを持って)を組み合わせた表現で、脇道にそれた話や滞った作業を抱えたまま、本来やるべきことへ進んでいくことを表します。it は特定の何かを指すのではなく、「今やるべきこと・本題」を漠然と受けています。ぐずぐずしている状態を切り上げて前へ進むニュアンスが核にあり、命令形の Get on with it!(早くしろ・続けろ)で、前置きの長い相手や作業が滞っている相手をせかす使い方も多い言い回しです。get down to business が「本題に入る」開始に焦点を当てるのに対し、get on with it は「中断を切り上げて続ける・進める」という継続や再開に焦点がある、と押さえておくと使い分けやすくなります。
【ここがポイント!】
- get on(進む)+ with it(それを持って)で「本題へ進む」を表す口語
- it は「今やるべきこと」を漠然と指し、明示せずとも通じるのが特徴
- 命令形 Get on with it! で「早くしろ・続けろ」とせかせるのがコツ
『CHUCK』S05E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
凄腕スパイのヴァーバンスキーが国を離れたことを、モーガンにいじられるケイシー。恋仲になりかけていた相手の話を蒸し返され、一瞬本音をのぞかせますが、すぐにそれを振り払って作戦の本題へ促します。感傷を長く引きずらない、ケイシーらしい切り替えが見どころです。
Casey: Yeah, she was a hell of a woman. Still is. She’s not dead and neither am I. Let’s get on with it.
(ああ、大した女だったよ。今もな。あいつは死んじゃいないし、俺もだ。さあ、先に進もう)Sarah: Right, well, before Decker blew up, he was after this, the Omen.
(そうね。デッカーが吹き飛ぶ前に狙っていたのが、このオーメンよ)Chuck Season5 Episode6 (Chuck Versus the Curse)
シーン解説と心理考察
モーガンに恋の話を蒸し返され、感傷に浸りかけたケイシーが、それを断ち切るように本題へ促す場面です。she was a hell of a woman(大した女だった)と一瞬本音をのぞかせた直後、Still is(今もな)と言い直すあたりに、去った相手への思いと、それを認めまいとする照れが同居しています。Let’s get on with it. という一言は、湿っぽくなった空気を自分で切り上げ、任務モードに戻すスイッチのように機能しています。感情を長く引きずらず、すぐタスクへ意識を向け直す——軍人気質のケイシーらしい、ぶっきらぼうな切り替えがにじむ場面と言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
道の途中で立ち止まっておしゃべりしていた人が、「よし」と再び歩き出す——その「立ち止まりを切り上げて、また前へ進み出す」動きを思い浮かべると覚えやすい表現です。get on(乗って進む)に with it(それを持って)が付くことで、脇道にそれた話や滞った作業を抱えたまま、本筋へ戻っていくイメージが立ち上がります。劇中では、感傷に浸りかけたケイシーが、自分に号令をかけるように「さあ、先に進もう」と言います。止まっていた足をまた動かし出す画を、この場面に重ねると、get on with it の「さっさと取りかかる」感覚が体に残ります。
例文で覚える「get on with it」
get on with it は、脱線を切り上げて本題に戻る場面から、滞った作業を進める場面まで幅広く使えます。異なる場面の3つの例文で、その使い勝手を確かめてみましょう。
Enough talking—let’s get on with it.
(おしゃべりはもう十分、さっさと取りかかろう。)
会議や作業で本題に入る場面です。劇中のケイシーの用法に近く、前置きを切り上げて実務へ進む合図として使えます。
I know it’s boring, but we need to get on with it before the deadline.
(退屈なのはわかるけど、締め切り前に進めないと。)
気の進まない作業を進める場面です。乗り気でないことを認めつつ、それでも「前に進める」という含みが出ます。
A: Are you going to tell the story or not?
B: All right, all right, I’m getting on with it.
(A:その話、するの、しないの?)
(B:わかった、わかった、今からするって。)
前置きが長い相手をせかす会話です。進行形にすると「今まさにやっているところ」という軽いニュアンスが出ます。
あわせて覚えたい関連表現
get down to business
(本題に取りかかる、真剣に仕事に取り組む)
「本題・仕事に入る」という開始に焦点を当てた表現です。get on with it が中断を切り上げて続ける・進めることを言うのに対し、こちらはこれから取りかかる入り口を指します。
crack on
((主にイギリス英語で)てきぱき進める、精を出す)
イギリス英語の色が強く、「勢いよく進める」ニュアンスがあります。get on with it はより中立的で、相手をせかす含みも出せる点が異なります。
move on
(次へ進む、(気持ちを)切り替える)
「次の話題・段階へ移る」「過去を手放す」ことに焦点があります。get on with it が「今のこれを進める」で対象がそのタスク自体に向くのに対し、こちらは対象が次へ移っていく点が違います。
Note|get on with it / get down to business / move on の使い分け
「先へ進む」と言いたいとき、英語にはいくつもの言い方があります。get on with it もそのひとつですが、似た表現と並べてみると、それぞれ力点の置き方が少しずつ違うことが見えてきます。
まず get on with it は、「中断を切り上げて続ける・進める」という継続や再開に焦点があります。脱線した話や、滞っていた作業を、抱えたまま本筋へ戻していくイメージです。it が「今やるべきこと」を漠然と指すため、何をするかを明示しなくても通じるのが便利なところです。get down to business は視点が「開始」に移ります。前置きや雑談を終えて、これから本題・仕事に入る、その入り口を指す表現です。move on はさらに別の角度で、「次へ移る」ことに焦点が当たります。今の話題や段階を終えて次へ進むこと、あるいは過去のできごとを手放して前を向くことを言い、感情面でも使われます。同じ「進む」でも、続けるのか、始めるのか、次へ移るのか——どこに重点があるかで、選ぶ言葉が変わってくるわけです。
ケイシーのセリフに戻ると、Let’s get on with it は、感傷に浸る空気を切り上げて、中断していた任務へ戻ろう、という意味でした。get down to business(これから始める)でも move on(次へ移る)でもなく get on with it を選ぶことで、「止まりかけたものを、また進める」という含みが自然に立ち上がっています。
一つの it に、その場の本題を託せる。英語らしい身軽な表現です。
まとめ|ケイシーの号令から学ぶ「先へ進む」の一言
get on with it は、get on(進む)と with it(それを持って)を組み合わせることで、「中断や脱線を切り上げて、さっさと本題へ進める」を表す口語でした。it が「今やるべきこと」を漠然と受けるため、何をするかを言わずとも通じる身軽さを持ちます。
話が逸れたとき、作業が滞ったとき、あるいは前置きの長い相手をせかしたいとき——この一言があると、ぐずぐずした空気をひと言で断ち切って、前へ進む合図を送れます。
ケイシーが自分に号令をかけるように放ったこの表現を、あなたの会話のレパートリーに加えてみてください。
このエピソードを見るには
(タップすると各配信サービスの視聴ページへ移動します)
※配信状況は変更される場合があります(2026年5月時点)


コメント